和裁イメージ ゆめやの作業風景

【初心者必見】和裁における縫い方の種類と技術| 着物作りを学ぶ

はじめに

和裁は、着物を作るための技術です。この技術では、洋裁とは異なる布の扱い方や縫い方があり、それぞれに独自の名前や方法があります。この記事では、和裁の世界への第一歩として、基本的な縫い方の種類や、それを行う上で必要な針や糸、布の使い方などを紹介します。また、着物を仕立てる際に欠かせない基本的な技術や道具についても触れていきます。これから和裁を始めたいと思っている方や、着物に興味があるけれどもどこから手をつけていいかわからないという方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

初心者が知っておくべき和裁の世界

和裁と聞くと多くの人が着物を思い浮かべるでしょう。しかし、実際に和裁を始めようとすると、何から手をつけていいかわからないことが多いですよね。和裁は文化であり、芸術であり、長い歴史を通じて培われてきた技術の集大成であると言えます。ここでは、和裁の世界に足を踏み入れる前に知っておくべき基礎知識と、和裁を始める際に必要な道具や素材について紹介します。

初めての和裁:道具と素材選び

和裁を始めるにあたって、最初に必要なのは適切な道具と素材を選ぶことです。基本的な道具としては、針、縫い糸、裁ちばさみと小ばさみ、ものさし、くけ台、そして布です。特に、裁ちばさみは布を裁断する際に欠かせない道具で、切れ味と扱いやすさが和裁の品質を左右します。針と糸選びも重要で、用途に応じて適切な太さや長さの針を選び、糸は布の種類に合わせて選ぶ必要があります。

素材選びでは、何を作るかによって異なりますが、一般的には正絹や綿が好まれます。特に、正絹はその美しさと質感で和裁の魅力を最大限に引き出しますが、扱いが難しく価格も高いため、初心者は綿から始めることをおすすめします。綿は扱いやすく、練習用としても最適です。

着物作りの基本:素材の準備

着物を作るには、まず適切な布を選び、正確に寸法を測って裁断することから始まります。和裁では布を無駄なく使用するのが特徴で、不要な部分を切り落とすことをしません。裁ち方によって、着物の最終的な見た目に影響を与えるため慎重に行いましょう。また、布の裁断にあたっては、正確な寸法測定が不可欠です。身長や体型に合わせて、着物が美しく見えるように調整する必要があります。

着物作りでは、縫い目が表に出ないように縫う技術も求められます。特に、裾や袖口などの部位ごとに縫い方が異なり、それぞれの部位に最適な縫い方を選択することが重要です。和裁の技術は、ただ単に衣服を縫い合わせる以上のものであり、着物一つ一つに職人の思いが込められています。

アンティークきものレンタルゆめやでは、時代を超えて愛され続ける着物を厳選して取り揃えています。アンティーク着物はそのままでは袖を通すことができない状態のものも多く、ゆめや熟練の和裁士が手間暇をかけてお直しています。傷みやほつれを丁寧に補修したり、サイズを仕立て直したり…。大切に受け継がれてきた着物を今の時代に合う形に蘇らせて、お客様にお届けします。

和裁の心:針と糸の選び方

和裁では、布を生かし、着物の美しさを引き出すために、針と糸の選び方が大切になります。最も相性の良い道具を選ぶことは、和裁独自の繊細さを表現するための第一歩です。ここでは、和裁における針と糸の選び方のコツをご紹介します。

和裁にぴったりの針の選択

和裁で使用する針には、長さや太さによってさまざまな種類があります。細かい作業には細く短い針が向いている一方で、厚手の布を扱う時には少し太めの長い針が適しています。針の長さは、作業のしやすさに影響するため、自分の手になじむものを選ぶとよいでしょう。

特に和裁を始めたばかりの方には、扱いやすくて幅広い用途に対応できる中太の針を試すことをおすすめします。経験を積むにつれて、さまざまな針を使い分けることで、更に繊細で美しい縫い目を表現できるようになります。

糸の選び方

和裁には、手縫い用の糸を利用するのが一般的です。また、使用する布に応じて糸の種類を選びます。例えば、正絹の布には絹糸を、ポリエステルの布にはポリエステルの糸を選びます。また、糸選びの基本は布の地色に合わせることです。縫い目が目立たないよう、布に溶け込む色を選ぶと、より洗練された仕上がりになります。

和裁は、布と対話しながら布が持つ美しさを最大限に引き出して一つの作品を作り上げる技術です。針と糸の選び方に心を配ることで、和裁の深い魅力に触れ、豊かな作品を生み出すことができるでしょう。

縫い方の種類とその技術

和裁には、日本の伝統と文化が息づいています。着物を形作る多様な種類の縫い方には、それぞれ特徴的な技術があります。基本から応用に至るまで、これらの縫い方を学ぶことで、着物作りの深い魅力に触れることができます。ここでは、和裁の縫い方を身につけるための、基礎となる技術を掘り下げていきましょう。

ぐし縫いから始める和裁の基礎

和裁における最初の一歩はぐし縫いです。ぐし縫いは本縫いとも呼ばれ、布を縫い合わせる時に最も多く用いられる縫い方です。和裁の練習を始める時はぐし縫いで針の使い方を覚えます。この、針の運び方のことを運針と呼びます。布と針の両方を器用に動かして、ぐし縫いをしていきます。技術が高い和裁士のぐし縫いは、スピード感があるだけではなく、縫い目が真っすぐで均等の間隔になっています。正確な運針ができ、美しいぐし縫いが和裁の基礎になっています。

くけ縫いとその応用

和裁で用いられるもう一つの重要な縫い方の種類がくけ縫いです。くけ縫いは、着物の裾や袖を縫う時に用いられる縫い方です。生地を三つ折りにして、折られた布の間を針と糸が進んでいきます。そのため、裏からは縫い糸が見えることはありません。また、布の表にもほとんど縫い糸は見られず、小さな点のような縫い目がわずかに見えるだけです。非常に高い技術が求められる縫い方ですが、和裁においては身につけるべき必須の縫い方です。

和裁技術の学習は、単に着物を作る技術を身につけるだけではなく、日本の伝統文化や美意識に触れることをも意味します。ぐし縫いからくけ縫いまで、各ステップを踏むことで、和裁の技術の高さと、それを通じて表現される文化の深さを実感することができるでしょう。

着物を仕立てる前の準備

和裁を始める前に、正確な寸法の取り方と布の裁断が重要です。これらの初歩的なステップを丁寧に行うことで、着物作りの基盤が築かれ、仕立て上がりの品質に大きく影響します。ここでは、着物を仕立てる前に必要な準備工程を、わかりやすく解説していきます。

正しい寸法の測り方

着物の仕立てにおいて最も重要なのは、正確な寸法を測ることです。寸法が正確でなければ、どんなに美しい生地もその価値を十分に発揮することができません。寸法を測る際には、次のポイントに注意しましょう。

  • 体のサイズを正確に測る:身長、裄丈(首の付け根から手首のくるぶしまでの長さ)、身幅など、基本的な体のサイズを測ります。
  • 縫い代は縫い込む:和裁では生地を裁断する際に縫い代を切り落とすことがありません。そのため、寸法によっては余分な生地が余ってしまいます。余った生地は内側に折り返し、縫い込むようにします。そうすることで、糸を解くと元々の反物に戻すことができ、違う寸法で仕立て直しをすることができます。

布裁断と準備のポイント

和裁の布の裁断工程では、洋裁とは異なる繊細さが求められます。この工程において丁寧に準備をすることで、最終的な仕上がりに大きな影響を与えます。以下は、布裁断において重要なポイントです。

布の特性を理解する
使用する布がどのような特性を持っているかを把握することは、裁断工程において非常に重要です。例えば、絹や紬など布の種類によっては、伸縮性や縮みやすさが異なり、これを考慮した裁断が必要です。また、布の表と裏を正確に識別し、布の流れや質感を理解することも、裁断の精度を高めるために必要です。

柄合わせを考慮する
着物の美しさは、柄の調和に大きく左右されます。伝統的な文様や柄物の布を使用する場合、裁断前に全体の柄の流れや配置を綿密に計画することが重要です。特に留袖や訪問着など、柄が繋がって一枚の絵のようになる絵羽模様の着物を仕立てる際には、柄合わせを十分に考慮しなければなりません。それ以外の着物の種類においても、柄の出方によって着物の印象が異なるため、細心の注意を払い、裁断計画を立てる必要があります。

はさみと裁ち板
精度の高い裁断のためには、適したはさみを使う必要があります。また、布を裁断する際には、裁ち板と呼ばれる板の上に布を置いて直線に裁ちます。洋裁は型紙などにそって布を裁断するため、場所によっては丸く裁断したり、斜めに裁断したりします。しかし和裁は、布に対して縦または横にのみ裁断します。このように、裁断方法自体も和裁と洋裁では大きく異なっています。

着物を仕立てる過程において、これらのポイントに注意を払いながら準備を進めることで、最終的な仕上がりの品質が大きく異なります。正確な寸法測定と、これらのポイントを踏まえて布を裁断することで、美しい着物を仕立てるための基礎となります。

美しい着物を仕立てる技術

和裁の世界では、一着の着物を仕立て上げるまでに数多くの技術が必要とされます。これらの技術は、長い年月をかけて磨かれ、今日に至るまで受け継がれてきました。着物を美しく見せるためには、布の取り扱い方から縫い方に至るまで、細部にわたる注意が必要です。ここでは、美しい着物を仕立てるための基本的な技術に焦点を当て、特に各部位別の縫い方と布の縫い合わせ方について詳しく解説します。

各部位別の縫い方

着物を構成する各部位の縫い方には、それぞれ特有の方法があります。着物の美しさは、これらの部位をどのように縫い合わせるかにかかっています。例えば、袖や衿など、目に見える部分の縫い目は特に丁寧に仕上げる必要があります。

  • 袖の縫い方:袖は着物の中でも目に入りやすい部分であるため、縫い目を隠して美しく見せる縫い方が求められます。袖を縫う際に用いられる縫い方の種類が、「くけ」と呼ばれる技法です。
  • 衿先の縫い方:衿は顔周りに影響を与え、着物の印象を大きく左右します。特に衿先は綻びやすいため「半返し縫い」という一針縫ったら半分返して、次の一針を縫い進むという種類の縫い方をします。

これらの縫い方には、それぞれに合った針の選び方があり、使用する道具によっても縫い上がりの質が変わってきます。また、和裁においては、縫い目の長さや間隔も大切な要素です。美しい縫い目を保つためには、一定のリズムと均一な力加減で針を使う技術が必要です。

生地の美しい縫い合わせ方

着物は、細長い反物を組み合わせて作る衣服です。洋服と異なり、反物を直線で裁断するため、布と布を縫い合わせることが必要です。布の縫い合わせ方にもいくつか種類があり、場所によって使い分けます。

  • 合わせ縫い:布と布を合わせる際の基本的な縫い方です。
  • 二度縫い:一度縫ってできた縫い代をもう一度縫う縫い方です。このような縫い方をすることで、縫い代が開かなくなるとともに、縫い目を補強する役割もあります。この縫い方は、背縫いなどに使われます。

和裁にはさまざまな種類の縫い方がありますが、それらを使い分けることによって見た目にも美しく、そして丈夫な着物を仕立てることができます。多種類の縫い方を習得するには時間がかかりますが、苦労して身につけた技術をもって仕立てられる着物は、何ものにも変え難いものになるでしょう。

色と布で表現する着物の魅力

着物を仕立てる上で、色彩と布の選択は、着物の美しさを左右する重要な要素です。美しい色彩の布は、和裁士が腕を振るうにふさわしいものです。ここでは、色と布地を選ぶ際のポイントを深掘りし、着物に映える色の選び方と布の選び方、扱い方について解説します。

着物の色の選び方

色はその着物が持つ印象を大きく左右します。色の選び方一つで、着る人の雰囲気や季節感を表現することができるため、色選びは非常に重要です。

  • 季節感のある色選び:日本の四季を表現する色の選び方は、着物の魅力の一つです。春には桜の花びらを思わせるピンクや、夏には涼しげな浅葱色、秋には紅葉のような赤やオレンジ、冬には雪の白や深い紺を選ぶなど、季節に合わせた色を選ぶことが大切です。
  • 着る人の肌色や雰囲気に合わせた色選び:着る人の肌色や雰囲気に合わせて色を選ぶことも、美しく着物を着こなす秘訣の一つです。明るい肌色の人にはパステルカラーが、日焼けした肌には濃いめの色がよく映えます。
  • 年齢や着る場面に応じた色選び:年齢や着る場面に応じた色選びも重要です。若い女性は明るい色や華やかな柄が似合いますが、年配の方やフォーマルな場では落ち着いた色が適しています。

色選びには、個人の好みだけでなく、季節感着る人の特性場の雰囲気を考慮することが求められます。着物は、これらの要素が調和することで、さらに美しく見えるのです。

灰白色の花菱に牡丹と菊が描かれた単衣の色振袖」清涼感のある淡い灰色地に、牡丹と菊を艶やかに描いた単衣の色振袖です。単衣は5~6月、9~10月の限られた期間にのみ着用できる季節感に満ちた着物です。こちらは春と秋の絵柄により、合わせる帯によってどちらの季節でもお楽しみいただけます。

ぼかしに小舟と花々が描かれた夏物の色振袖」ピンクとベージュのぼかし地に、涼し気な水辺の情景を描いた夏物の色振袖です。薄いジョーゼットに、ふっくらとした手刺繍が映える華やかな一枚。桔梗や撫子など夏の草花が、季節限定のおしゃれを演出します。

綸子に八重梅と橘が描かれた一つ紋付訪問着」大きな橘を織り出した鮮やかな桃色地に、波に踊る八重梅を描いた訪問着です。古典美が光る華やかな色柄が、着る人の若々しさを引き立てます。

ドラブ色の紬に牡丹の一つ紋付き付け下げ」シックなドラブ色の紬地に、垣根と牡丹を描いた一つ紋付きの付け下げです。上品な落ち着きがあり、年齢を重ねた方も美しく着こなしていただけます。

布の選び方と扱い方

着物の布地は、その質感や織り方によっても大きく印象が異なります。適切な布の選び方と扱い方は、着物を長く美しく保つために不可欠です。

  • 季節や用途に応じた布の選び方:夏用の着物には涼しい紗や絽を、冬用には暖かい正絹袷や紬を選ぶなど、季節や用途に応じた布地を選ぶことが重要です。また、カジュアルな場では木綿の着物が適しています。
  • 質感や織り方の違いを楽しむ:着物の布地には、さまざまな質感や織り方があります。紬はその独特の質感が魅力的で、絹の光沢が美しい正絹の着物は、フォーマルな場にふさわしいです。これらの違いを楽しむことも、着物の楽しみの一つです。
  • 布の扱い方:着物の布地はデリケートなものが多いため、取り扱いには注意が必要です。特に絹は水や摩擦に弱いため、汚れた場合は専門のクリーニングに出すことが望ましいです。また、着物は畳んで保管する際には、しわにならないように気を付けましょう。

色と布地の選び方、扱い方を学ぶことで、着物の奥深さと、着物の持つ無限の可能性を感じることができます。着物一つ一つに込められた思いや美しさを大切にし、それを次の世代にも伝えていくことが、私たちの使命です。

まとめ

本記事を通して、和裁の基礎から始まり、美しい着物を仕立てるために必要な技術、色と布地の選び方に至るまで、和裁と着物の奥深い世界を少しでも紹介できたことを願っています。

この記事が、和裁や着物に少しでも興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。和裁は始めようと思えば、誰でも始めることができます。初心者からプロフェッショナルまで、和裁の道は深く、学ぶべきことが尽きません。一針一針に心を込めて、自分だけの着物を仕立ててみませんか?

〈参考記事〉
https://www.kimonoichiba.com/media/column/132/
https://kotaro-kimono.org/wasai-tools/
https://www.kimonoichiba.com/media/column/134/
https://book.nunocoto-fabric.com/1012
https://jp.mkimono.tv/sewing-thread/
https://kotaro-kimono.org/sewing-kuke/
https://tanpopo-wasai.jp/oshitate/718/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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