和装花嫁衣裳選びのコツ・第2回 抑えておきたい黒引き振袖のポイントとは?

結婚式・婚礼での和装。

興味はあるけれど、ウエディングドレスと違って、わかりにくい、難しそう、そもそも何から考えれば良いかわからない。

そんなプレ花嫁さんのために、和装花嫁衣装選びのコツをご紹介するコラム連載第2回です。

前回に引き続き、テーマは「黒引き振袖」。第1回で魅力をお伝えした黒引き振袖について、今回は、柄や袖丈、振袖との違いなど、もう少し詳しく解説いたします。


抑えておきたい黒引き振袖のポイント

目次

1.黒引き振袖の柄の量
2.袖の長さ
3.振袖と「引き振袖」の違い
4.「白無垢」と「黒引き振袖」の両方が着たい!
5.「黒引き振袖」にするか「色引き振袖」にするか

1.黒引き振袖の柄の量

まずは、質素・倹約家として好まれる、柄が少なめのものがあります。袂の下だけ、きものの裾だけに、吉祥の柄が描かれています。結婚式の後は、袂を切れば留袖としてお召しいただけますね。「婚礼のために仕立てた衣裳は一生使いますよ」という、倹約家ならではの絵柄です。お引き摺りになされば、懐かしく好感のもてる絵柄の量ですね。

そして、紋だけが入った黒一色のものがあります。テレビや映画などで、江戸時代の嫁入りに多く見られる黒紋付です。こちらも、袂を切って黒留袖として一生使うものです。紋だけが入った黒一色のきものというのは、悲しいイメージを持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、もともとはこの形が正装でした。伝統文化の世界では、現代でも黒一色の衣裳で演奏や演技をおこないます。お祝いごとのお引き摺りにももちろん通用します。真っ黒なきものに、金色の帯と紅白の持ち物。半襟も赤になさって、由緒正しい古の花嫁衣裳になりますよ。

近年馴染みがあるのは、全体的に絵柄が施された黒引き振袖です。袂全体や帯から下に、思い切った吉祥の絵柄を施し、衿や肩にも程良く絵柄が配置されています。たいへん豪華でモダンな黒引き振袖ですね。

2.袖の長さ

言わずと知れた独身女性の第一礼装は、訪問着などと比べて袖の長い「振袖」ですが、袖の長さには3段階があります。格上から、「大振袖(本振袖)」「中振袖」「小振袖」となります。

成人式で一般的に着用されるのが「中振袖」で、袖の長さは二尺五寸(94.5cm程)です。ご親類の結婚式などでもお召しいただけます。

ちょっとしたお呼ばれや、卒業式で袴と合わせてお召しいただけるのが「小振袖」で、袖の長さは二尺(75.6cm程)です。卒業式まで着るつもりで仕立てて、成人式でお召しになるお嬢さんもいらっしゃいます。

そして「大振袖」、一番本式の振袖ですので「本振袖」とも呼ばれます。袖の長さは三尺以上(113.4cm以上)です。お召しになると袖が床に届きそうな長さです。近年は身長の高いお嬢さまも多いので、三尺より長くお作りになる方も増えてきました。ご自分の結婚式で花嫁衣裳としてお召しになる「大振袖」です。

余談ですが、身長が高いお嬢さまは、「大振袖」が「中振袖」のようなバランスになるため、成人式でお召しになる方も多いようです。袖が長い分、絵柄が多くなりますので、さぞ豪華な成人式でしょうね。

きものの世界では、長さの単位を昔のまま「尺」や「寸」で表します。「曲尺(かねじゃく)」と「鯨尺(くじらじゃく)」の2種類があり、きものは「鯨尺」で表します。「一尺」が約37.879 mm、「一寸」はその10分の1で「約3.788mm」です。

竹やステンレスの定規、巻尺(メジャー)の裏側には「尺」で目盛りを刻んであるものを見かけますね。これが「尺」ですが、和裁用の定規は「鯨尺」、大工さんの定規は「曲尺」で刻まれています。ご購入の際はご注意ください。ちなみに「曲尺」の一寸は約30.303 mmで短いため、「短尺」と呼ばれることもあるそうです。

3.振袖と「引き振袖」の違い

インターネット画像やカタログなどをご覧になった方は、「振袖と比べて、ふんわり、どっしり、豪華だなあ」という印象をお持ちではないでしょうか。

実は、帯や持ち物以外にも、きもの自体の仕立て方に違いが3つあるのです。

まずは「ふき」です。裾や袖口などの裏生地を表生地から見えるように引き出し、中に綿を詰める仕立てです。江戸時代は一寸もの厚さに仕立てていたそうですし、訪問着や留袖にもうっすらと「ふき」を仕立てていました。今では、花嫁衣装や、歌舞伎などの舞台衣装に残っているだけでしょう。重みがありますので、バタバタとひるがえることなく、落ち着きや重厚感を醸し出しますし、その厚みはふんわりとした幸せそうな花嫁さんを表現してくれます。

次に「比翼」です。もともとは、いちばん表のきものの内側に、もう1枚真っ白いきものを着ていたのですが、重たい、動きにくいということもあり、表のきものの内側に部分的に縫い付けて仕立てるようになりました。もう1枚きものを着ているように見せるために、襟元、袖口、裾などの内側に、「ふき」よりも更に見えるように白い布を縫い付けます。この比翼にもふっくらと綿が入っています。「お引き摺り」で歩くときに、白い比翼がふんわりと覗いて、たいへん優雅です。

最後に「寸法」です。振袖はおはしょりを出して着付けますが、「引き振袖」はおはしょりを作らずに帯を結びます。振袖と比べて、衿を大胆に抜いてうなじをたっぷりと見せますし、身頃や脇の調整が必要になる場合もあります。引きずったときに、いちばん美しく見える形に仕立てるのですね。

このように工夫を凝らした、「お引き摺り」用の仕立て方があるのです。成人式に着た振袖を「お引き摺り」としてお召しになりたい場合は、期間に余裕を持ってお衣裳屋さんにご相談くださいね。ご自分のきものではなく、お母さまやお祖母さまの振袖が残っていたら、生地も正絹の光沢や柔らかさにあふれているでしょうし、絵柄も手描き、手刺繍の可能性が高いです。レトロな雰囲気でしっとりとした「引き振袖」に仕上がりますよ。

仕立て直しの料金はお衣裳屋さんによって違うでしょうが、ご参考までに、きものが10~20万円ほど、長襦袢が5~10万円ほどかかるようです。

4.「白無垢」と「黒引き振袖」の両方が着たい!

大丈夫です。両方お召しいただけます。

神前結婚式から、披露宴会場前でのお出迎えまでを「白無垢」になさり、「新郎新婦入場」で「黒引き振袖」になさるのも良いですし、入場までを「白無垢」になさって、「お色直し」で「黒引き振袖」になさっても素敵です。髪型の変化も楽しめそうですね。

5.「黒引き振袖」にするか「色引き振袖」にするか

悩むところですね。格調高い雰囲気を大切になさるなら「黒引き振袖」で、カジュアルな雰囲気を演出したいなら「色引き振袖」という感じですが、きものの柄や髪型の工夫で、「黒引き振袖」もカジュアルにお召しいただくことができます。

「両方着る」という選択肢もありますね。神前結婚式からお出迎え、または入場までを「黒引き振袖」になさって、入場やお色直しで「色引き振袖」になさるという手があります。

着付け師さんも髪結いさんもプロですから、あらかじめプランを伝えておけば、肌着、下着、着付け方法、髪型でどう変化を付けるかなど、いろいろとアイディアを持っています。まずは花嫁さんのご希望や夢、理想を語ってください。最高の花嫁さんを作りましょう。


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