【プロ監修】卒業式での母親の着物選び | おすすめの種類と色・柄
はじめに
お子さまが、学び舎での日々を思い返しながら、新しい門出へと歩み出す卒業式。そんな特別な日に、着物で参加したいと考えるお母さまも多いのではないでしょうか。日本の伝統的な服装である着物は、卒業式のような晴れのシーンにふさわしい衣装の一つです。そこで今回は、お子さまの卒業式に着物で参加したいという母親に役立つ情報をお届けします。
卒業式に母親が着物を選ぶ理由
卒業式で母親が着物を選ぶ理由はさまざまです。大切なお子さまの晴れ舞台だからこそ、特別な装いで参加したいという思いが強くなりますね。
- 華やかさ: 着物は日本の伝統的な衣装として、他の服装と比べてひときわ目を引く存在です。色や柄が豊富で、卒業式の華やかな雰囲気に合わせることができます。
- 格式: 和装は、洋服にはない堅実さを感じさせてくれます。卒業式のようなフォーマルな場でも、格式を保てます。
- 伝統: 卒業式は、お子さまが新しい人生の門出を迎える大切な日です。そんな日に、日本の伝統を感じることができる着物を選びたいと思う方もいるでしょう。
着物は、あまり着ない方からすると、取り扱いや着付けが難しく感じるところもあるかもしれません。しかし、最近は「レンタル」や「着付けサービス」が充実しているので、初心者の方でも安心して着物を着て卒業式に参加することができます。
卒業式におすすめの着物の種類とは?
着物には、さまざまな種類があり、中には卒業式に着るのに不向きな着物もあります。では、具体的に卒業式にはどのような着物を着ていけばよいのでしょうか。
お子さまの卒業式に着ていく着物としておすすめなのが、「訪問着」「付け下げ」「色無地」です。いずれも卒業式などのフォーマルな場でよく選ばれる着物ですが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
訪問着
- 色と柄: 絵羽模様が施された着物で、さまざまな色や柄のものがあります。卒業式では、落ち着いた色合いが好まれます。
- 用途: 訪問着は、友人の結婚式やお子さまの卒業式、入学式、パーティーなどフォーマルなシーンで着ることが多いですが、カジュアルなシーンにも着ていくことができます。
「手描き友禅春秋柄の淡い花浅葱色の訪問着」青みがかったグレイ地に、花模様を優雅に描いた手描き友禅の訪問着です。ペールトーンのやわらかな色合いでまとめた上品な装いは、幅広いご年代にお召しいただけます。
付け下げ
- 色と柄: 訪問着と同様、さまざまな色合いのものがありますが、柄は控えめなものが多いです。
- 用途: 正式な場ではもちろん、カジュアルな場でも着用できるのが魅力です。
「アイボリーにチューリップが咲く春の付け下げ」裾に向かってグラデーションが掛かった淡い黄色地に、品のよいチューリップ柄が目を惹く付け下げ。晴れの日にふさわしい優美な柄ゆきです。
色無地
- 色と柄: 柄がない黒以外の無地の着物なので、帯や小物によって雰囲気が変わります。
- 用途: 紋の数によって格が変わるため、フォーマルからカジュアルまで幅広い場面に着ていくことができます。
「若苗色に織り柄の一つ紋付色無地」背中に花菱の一つ紋が入った、格式高い色無地です。すがすがしい若草色に、花や鶴の地模様が美しく浮かび上がります。ほのかな光沢を帯びた地風が、上品な華やぎを添えます。
いずれもお子さまの卒業式に着て行くのに適した着物です。着物で卒業式に参加したい母親は、自分の好みやシーンに合わせて、最適な一着を選んでください。
以降、卒業式に着ていく着物を選ぶ際のポイントやコーディネートなどを説明していきます。この記事を通して、卒業式での母親の着物選びが少しでも楽しく、そしてスムーズに進むことを願っています。
卒業式の母親におすすめの着物スタイルとは?
お子さまの大切な日である卒業式に、母親としてどのような服装で参加するかは、悩むところでしょう。日本の伝統衣装である着物は、そんな特別な日にふさわしい装いの一つです。ここでは、卒業式に参加する母親向けに、どのような着物のスタイルがよいかご紹介します。
卒業式にふさわしい着物の色や柄は?
卒業式の主役はあくまでもお子さまのため、母親の着物は、落ち着いた色合いのものが好まれます。特に卒業式は、別れの場でもありますから、淡いブルーやパープル、ブルーグレーといった寒色系の色を着る方も多いようです。
また、淡いピンクやグリーンの着物も春らしさがあり、春の式典にふさわしい装いといえるでしょう。シックな雰囲気にしたい方は、濃いグレーの着物を選ぶのもおすすめです。
柄も大ぶりで華やかなものより、上品で落ち着いた印象のあるものが好まれます。季節感を出したい方は、藤や牡丹といった春の花を使った着物を選ぶのもすてきです。柄選びに迷ってしまう方は、柄のない色無地を着ていくのもおすすめです。
どんな色や柄を選ぶ場合も意識したいのが、落ち着いた色や柄であるということ。卒業式は、お子さまが主役のイベントであるということを意識し、派手な色や柄の着物は避けましょう。お子さまの晴れの日を祝福するような装いを意識したいですね。
年齢別のコーディネートの考え方
着物は、年齢によって似合うデザインが変わってきます。若い時に似合っていた着物が、年齢を重ねてからも似合うとは限りません。ここでは、卒業式に着て行く着物について、年齢別にそれぞれどんなデザインが似合うのかご紹介します。
- 20代: 落ち着いたなかにも明るさを取り入れた、若々しさを生かしたデザインがおすすめです。
- 30代~40代: 上品さを重視しつつ、華やかさも忘れないバランスの取れたスタイルが人気です。
- 50代~60代: 落ち着いた色合いが似合いますが、あまり地味すぎると印象が暗くなってしまうので、色や柄の選び方には注意しましょう。
ゆめやの訪問着から、年代別におすすめのコーディネートをご紹介します。
左端「淡いピンクベージュに菊、牡丹、菖蒲が咲く訪問着」20代におすすめのコーディネートです。若々しさを引き立てる華やかな着物に、桜色の可憐な袋帯を合わせました。春らしいやわらかな色合いを、重ね襟と帯締めの鮮やかな橙色で引き締めています。気品のある装いは、着物になじみが薄い方にも受け入れやすいでしょう。
中央「手描き友禅桜や桐、花の本の蜂蜜色の訪問着」30代~40代におすすめのコーディネートです。桜や桐、千代紙を手描き友禅で描いた着物に、金糸をたっぷり織り込んだ豪華な袋帯を合わせた、お祝いの席である卒業式にふさわしい格調高い装いです。重ね襟・帯揚げ・帯締めは、若葉色で統一して上品な印象に。華美になり過ぎない、上質感のある着姿が楽しめます。
右端「ライムグリーンにドロンワークと手刺繍の訪問着」50代~60代におすすめのコーディネートです。ライムグリーンの地色に繊細な手刺繍を施した上品な着物に、波模様がきらめく帯を合わせて印象的に。着物・帯揚げ・帯締めのトーンを合わせて、大人の落ち着きを醸し出しています。
上記は、あくまでも参考であり、必ずこの年齢だからこの着物を選ばなければいけないというわけではありません。大切なのは、TPOを踏まえつつ、自分に合った着物を選ぶことです。
購入やレンタルをする場合は、事前に試着をしてから購入をすると安心です。母親として、最高のスタイルで卒業式に臨むことで、お子さまの思い出にも残ることでしょう。
レンタル着物の選び方とポイント
お子さまの卒業式に適した着物を持っていないという方は、レンタルを利用するのがおすすめです。レンタル店を利用すれば、手軽に着物を着ることができます。
しかし、着物をどのように選べばよいのか、サイズはどうすればよいのか、コーディネートはどのように組み合わせるべきなのかなど、さまざまな悩みを抱えている方も多いでしょう。ここでは、母親が卒業式に着ていく着物をレンタルする際のポイントをご紹介します。
体に合わせた着物を選ぶ
まず、大切なのが、自分の身長や体型に合った着物を選ぶということです。体にピッタリと合った着物は、見た目にも美しいものです。
着物のレンタルショップでは、さまざまなサイズの着物を取り扱っていますが、140cm台のような方や170cmを超えるような方は、注意が必要です。レンタルショップによっては、低め・高めの身長に対応した着物をあまり扱っていないこともあります。
扱っている着物の数が少ないと、好みのデザインの着物がないことも考えられるため、事前に着物のサイズについて問い合わせてから訪問すると安心です。ぜひ、自分のサイズに合った着物を着て、お子さまの卒業式に参加してくださいね。
また、レンタル予約をする間に、試着をするのも忘れないようにしましょう。サイズはもちろん、デザインが自分とマッチするのかも確認できます。試着ができない宅配レンタルなどは、サイトに記載されている表記を確認し、自分のサイズと照らし合わせましょう。
小物のコーディネートを考える
着物に必要な小物の中には、装飾の役割を果たしているものも多いです。それゆえ、卒業式で着る着物を選ぶ際には、小物の合わせ方も大切です。ここでは、その中から、帯、足袋、草履、帯揚げについてご紹介します。
- 帯
卒業式では、金銀糸が使われた、フォーマルな帯を合わせます。帯は、コーディネートのポイントとなる部分なので、着物との相性など全体のバランスを考えながら合わせましょう。 - 足袋
足袋には、色や柄の入ったものもありますが、卒業式は、お子さまの卒業を祝うフォーマルな場面です。カジュアルな色柄物の足袋は避け、白色のものを選びましょう。 - 草履
草履もカジュアルなものを選ぶのは避け、卒業式という場にふさわしい、フォーマル用の草履を身に付けてください。 - 帯揚げ
帯揚げは、着物のアクセントにもなってくれる存在です。着物と同系色の帯揚げを使うのもよいですし、あえて差し色となるような色を選んでもすてきです。
着物は、小物一つ一つが、全体のバランスを取る上で重要な存在です。全体が調和することを意識し、小物を選ぶ楽しさを味わいながら、コーディネートを組み立ててみてください。
着物のデザインによる違い
どんな着物のスタイルが自分に合うのか、迷う方も多いのではないでしょうか。ここからは、いくつかの着物のデザインをご紹介します。自分の好みやなりたいイメージに合わせて、最適なスタイルを選んでください。
- 古典柄
伝統的な色や柄を取り入れたデザインで、卒業式の場にふさわしい品格ある装いがかないます。 - モダン柄
モダンな雰囲気の現代的なデザインを取り入れた着物もあります。独自のデザインやカラーを持つものもあり、個性的な装いがかないます。 - シンプル
色や柄が控えめなシンプルな着物は、小物で変化をつけやすく、さまざまな場面で使うことができます。
左端「薄紅色に雪輪、菊、松の訪問着」雪輪や菊、小花や撫子といった古典柄が目を惹く訪問着です。光沢のある綸子地は、華やかな場に相応しい高級感があります。
中央「黒地に市松やたたき模様の粋な訪問着」黒い綸子地に市松やたたき模様、水紋などが描かれたモダンな訪問着です。シックに大人の魅力を演出する粋な1枚。帯や小物の合わせ方次第で、多彩なコーディネートをお楽しみいただけます。
右端「青磁色グラデーション辻が花の訪問着」金通しの入った白地に美しいグラデーションを施した、シンプルななかに職人技が光る訪問着です。さりげなく肩と裾に辻が花文様の絞り染めがあしらわれ、合わせる帯によって華やかにもシックにもお召しいただけます。
着物の着付けについて
着物を選んだあとで考えるべきは「着付け」の方法です。卒業式は親子で写真を撮ることも多く、記録として残ります。後から、着付けをちゃんとしておけば良かったとならないよう、事前にしっかりと準備をしましょう。
卒業式に着ていく着物は、自分で着付けることもできますが、着物の着付けに慣れていない方は、プロの着付け師に頼むと安心です。費用負担はありますが、美しい着姿を実現できます。レンタル店が着付けを実施している場合もあるので、借りるタイミングで問い合わせるとスムーズでしょう。
一方、自分で着付ける場合は、前もって準備をすることが大切です。着付けに慣れている方でも卒業式当日は、お子さまの準備などもありますから、何かと慌ただしく過ごすことになります。時間に余裕を持って行動すると安心です。事前に着物や帯、小物類など必要なものを用意し、着付けの流れを確認しておきましょう。
卒業の記念に家族写真を撮影
お子さまの卒業の記念に、家族写真を撮りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
家族写真は、セルフで撮影することもできますが、きちんとした形で残したいご家庭は、プロに依頼をするのもおすすめです。費用はかかりますが、プロならではの美しい写真を残すことができますよ。
記念写真を撮影するのにかかる費用は、撮影するスタジオやロケーション、撮影枚数、現像枚数などによって変わります。色々な店舗を比較して、自分たちに合ったプランを選びましょう。
卒業の記念として家族写真を撮る場合は、お子さまが卒業証書を持って写っている場合も多いです。見た瞬間にお子さまの卒業記念ということがわかる一枚です。卒業式で卒業証書を受け取った後すぐに撮影してもよいですし、時間が取れない場合などは、後撮りを検討してもよいでしょう。
まとめ
母親の卒業式の着物選びを再確認
今回は、お子さまの卒業式に着物で参加したい母親向けに、着物の選び方などをご紹介しました。着物は、お子さまの晴れ舞台を彩るのにふさわしい、日本の伝統的な衣装です。着物を着て、彩を添えてみてはいかがでしょうか。
以下は、今回ご紹介した記事の中でも特に押さえておきたいポイントです。改めて確認をしていきましょう。
- 卒業式に適した着物を選ぶ: お子さまの卒業式には、訪問着や付け下げ、色無地の着物がおすすめです。悪目立ちしないよう、上品で落ち着いた色や柄の着物を選ぶとよいでしょう。
- サイズの確認: 身長や体型に合わせた着物を着るようにしましょう。レンタルの場合は、事前に試着をすると安心です。
- 小物のコーディネート: 帯や草履などの小物類も着物のスタイルに大きく影響します。お子さまの卒業式では、着物の色や柄に合わせて、小物も上品な選び方をすることが大切です。
- レンタルの利用: 着物を持っていない方は、レンタルを利用するのがおすすめです。卒業式に適した着物を借りることができます。
お子さまの卒業式を控えている母親は、ぜひ今回の記事を参考に、着物選びを進めてみてください。すてきな着物姿で、お子さまの門出を祝福できることを願っております。