仏前式イメージ

仏前式の魅力と基本、数珠の意味|神前式と違いやマナーについても解説

はじめに

結婚式には挙式と披露宴があります。挙式とは新郎新婦が結婚を誓い合う儀式のことで、そのあとに行われる披露宴は、結婚したことをゲストに披露する場のことです。

日本で挙げられる挙式のスタイルは、西洋的な教会式と日本的な神前式、仏前式、それとは別に人前式の計4パターンが主なものとして存在します。教会式はキリスト教の神へ結婚の誓いを立てるのに対し、神前式は神道に基づいた神様に二人の結婚を報告します。仏前式は仏と先祖へ二人の結婚を報告し、人前式は式に集まったゲストを証人として二人の結婚とする儀式となり、それぞれの儀礼や雰囲気があります。

この記事では、その中でも日本の伝統的な式である仏前式を中心に解説していきます。

仏前式の魅力とは

教会式はチャペルで行われ、神前式は神社や神殿、人前式はレストランなどで行われるのに対して、仏前式は、寺院や自宅で行われるという特徴があります。その厳かでありながらも落ち着いた雰囲気は、日本の伝統文化への敬意を表す場であり、かついずれの式とも違う心温まる儀式です。

数珠の深い意味

仏前式では数珠が重要な役割を果たします。念珠とも呼ばれるように、念ずるときに用いる108つの珠を繋いだ法具で、この108(百八)とは人間の持つ百八煩悩を象徴していると言われます。僧侶は終生仏教の教えを守るよう新郎新婦を諭し、二人が互いを認め許し合う誓いとして数珠を渡すのです。

着物がもたらす仏前式の心と魂

仏前式における着物は、日本の伝統と美を象徴する重要な要素です。新郎新婦が選ぶ伝統的な衣装は、彼らの誓いの重さと、式の格調を高めます。新郎は黒紋付羽織袴、新婦は白無垢や色打掛、引き振袖などの婚礼衣装を身に纏い、仏前式の雰囲気をさらに豊かにします。

仏前式の流れとマナー

格式高い儀式である仏前式なので、そこには一定の流れとマナーが存在します。ここでは、詳しく解説していきます。

仏前式の流れ

仏教も様々な宗派に分かれているため、内容や順番に違いがありますが、一例として以下に示します。

  • 入堂:一同、本堂へ入堂し仏壇に向かって着席します。
  • 司婚者入堂:僧侶が入堂しますので、一同は合掌で迎えます
  • 啓白文朗読:僧侶は仏と先祖に結婚式を執り行うことを報告し、新郎新婦の将来の幸福を祈る啓白文を読み上げます。
  • 念珠授与:僧侶より新郎新婦へ念珠(数珠)が贈られます。新郎は房が白、新婦は房が赤で、受け取った念珠は左手の親指を除く四指に掛けます。
  • 司婚の辞:僧侶が新郎新婦に結婚の誓いを求め、新郎新婦は誓いの言葉を述べて契りを交わします。
  • 誓詞朗読:新郎新婦は仏前に結婚の誓いを読み上げます。
  • 焼香:新郎新婦は焼香の後、合掌礼拝します。
  • 誓杯:神前式の三々九度に当たる儀式で夫婦固めの儀です。盃を交互にのみ交わします。
  • 親族固めの儀:一同で盃を空けて、両家の繋がりを確かなものとします。
  • 法話:僧侶による結婚をお祝いする説話を拝聴します。
  • 退堂:一同、退堂します。

以上となります。近年は、結婚に際しては結婚指輪の交換がつきものなので、念珠授与の後に指輪交換が行われることも多いようです。

式における伝統

仏前式においてのマナーはいくつかあります。一つ目は、ゲストは礼服での参加です。自宅で行う場合もありアットホームな印象になりがちですが、儀礼であるため礼服が基本です。二つ目は、ゲストを含め参加者全員数珠が必要となります。正式には、宗派ごとに数珠の仕様が違いますが、持参していれば問題ありません。

仏前式に映える新郎新婦の和装の選び方

仏前式での和装選びは、式の印象を大きく左右します。新郎の衣装は一択です。

  • 黒紋付羽織袴:黒の長着に黒の羽織と縞袴に白の羽織紐や白の鼻緒の雪駄など、小物は白で統一したのが新郎の衣装となります。長着と羽織には日向紋の五つ紋が入ります。

新婦の衣装は主に3種類あります。

  • 白無垢:純白の掛下という長着に純白の打掛を羽織る最も格の高い着物で、挙式のみに着用が許されています。純粋無垢の象徴であり、神聖性の意味も込められています。
  • 色打掛:白無垢と同様の作りですが、錦の刺繍や友禅染めや絞り染めなどの高度な技法が一面に施された豪華絢爛な着物です。
  • 引き振袖:成人式で着られる振袖よりも袖が長く、裾も引きずる程長い優雅な着物です。特に、黒地の引き振袖は格が高いとされています。


以上の中から選びますが、結論から言えば好みで選んで良いと思います。ただ、格の高い寺院で行う場合は着物も古典柄のものが格が高いので好まれます。

織り出された鶴が輝く白打掛一式【utk09】
正絹地に無数の鶴が織り出されたアンティークの白無垢です。お蚕ぐるみの言葉にふさわしい逸品で、全身すべてを輝くような美しい正絹でコーディネートしました。鶴の羽には紗綾形が織り出され、背中の紋にも鶴が織り出されています。

仏前式と神前式の違い

伝統的な婚礼の儀式である仏前式と神前式ですが、その違いは意外に知られていません。ここでは仏前式と神前式の違いについて解説していきます。

伝統の交差点:仏前式と神前式

仏前式と神前式の根本的な違いは、その宗教的背景にあります。前述の通りではありますが、仏前式は仏教の教えを基に行われる挙式スタイルなので、お寺、あるいは自宅で行われます。対して、神前式は神道に則って行われる挙式スタイルなので、主に神社で執り行われます。そのため、式の目的も違ってきます。仏前式は仏に二人の結婚を誓うとともに先祖にこれを報告するというのに対して、神前式は神様に報告するという形になります。式の流れやマナーは類似しています。神前式の流れとしては、

  • 入場:一同、拝殿に入場します。神職を先頭に入場する点が、仏前式との違いです。
  • 修祓の儀:式を前に神職が一同を祓い清めます。神前式ならではですね。
  • 祝詞奏上:神職が神様に二人の結婚を報告します。
  • 三々九度の儀:仏前式で言う誓杯のことです。違いは大、中、小の盃で交互に飲み交わすことと、順番の違いくらいです。
  • 誓詞奏上:新郎新婦が神様に結婚の報告をします。
  • 玉串奉奠:神様に自分の心を捧げる儀式と言います。
  • 親族盃の儀:両家一同で盃を交わします。仏前式と同様です。
  • 斎主挨拶:神職が儀式の終了を神様に報告します。
  • 退場:一同、拝殿から退場します。

以上のような流れとなります。衣装等のマナーも基本的には同じです。唯一、仏前式は数珠が必要ですが、神前式には不要です。

それぞれのメリット、デメリット

双方、日本の伝統的な儀式です。ともに儀式としての歴史は古く格式があるのが特徴です。その中でも、仏前式のメリットは、アットホーム感です。自宅で行う場合はもちろん、寺院で行う場合も親族のみが基本になるため、和やかな式となります。また、式の全行程を屋内で行うため、天候に左右されず、日取りの制限もないので、いつでも良いです。デメリットは、結婚式を行える寺院が限られることと、一般認知の低さにあります。

対して、神前式のメリットは、普及率の高さです。受け入れている神社は多いので、口コミが多いので安心です。また、仏前式ほどではないにしろ、家族のみで行うことが多いので比較的和やかな式になります。デメリットは、神社で行う場合は天候に左右されることと、六曜に左右されるため、日取りが限られることです。

それぞれの雰囲気で選ばれるのが良いでしょう。

新郎新婦が知るべきこと

仏前式も神前式も挙式のスタイルであるため、披露宴を行う場合は仏前式で寺院、自宅で行うにしろ、神前式で神社で行うにしろ、別で会場を用意する必要が多いです。ホテルでの結婚式の場合、仏前式、神前式のどちらのスタイルにも対応していることが多く、披露宴も同施設内で行えるので便利です。ただ、仏前式と神前式も、挙式だけで見ればとてもコストパフォーマンスに優れる式です。挙式のみを行う場合、挙式+披露宴を行う場合と式全体の予算を考慮して決めていくことも大切です。

仏前式の準備と式場選び

仏前式結婚式の計画は、新郎新婦が共に歩む人生の新章の幕開けを意味します。この静謐で荘厳な式は、伝統と家族の絆の重要性を象徴しています。準備段階では、式場の選択から衣装、小物の調達、そして式の流れに至るまで、数多くの詳細が関わってきます。これらの要素を慎重に考え合わせることで、新郎新婦と参列者にとって忘れがたい経験となります。

仏前式準備のAtoZ

仏前式の成功の鍵は、準備に掛かっています。まずは式場選びです。両家の宗派の違いや考え方の違いがあるため話し合いが求められます。宗教の問題はとてもセンシティブですので、慎重にことを進めましょう。この時、式場(ホテル)に相談するか、ブライダルプロデュース会社に依頼するか、自身で全て準備するかも決めます。予算や希望が明確になったところで、次の準備に入ります。

式場選び

自宅で行う場合は、司婚者となる僧侶を招聘します。そして、必要な仏具を準備します。それも踏まえて、寺院に相談に行きましょう。お寺で行う場合も、ホテルで行う場合も同様で、僧侶あるいはホテル側と相談しながら進めていきます。ブライダルプロデュース会社へ依頼する場合は、担当者を通して決めていきましょう。

衣装選び

衣装は先述の通り、新郎は黒紋付羽織袴、新婦は白無垢、色打掛、引き振袖のいずれかを用意する必要があります。ご自宅に代々ある場合は、状態確認をして必要に応じて処置をすれば良いでしょう。購入する場合は、呉服屋を利用するのが一般的です。しかし、非常に高価であり、以降着る機会はないので、近年はレンタルが主流です。呉服屋は着物の専門店なだけはあり、レンタルに関しても最も品揃えは良いです。オンラインでのレンタルサービスもあるため、手軽にレンタルが可能です。ただし、画面では詳細な色柄や実際のサイズ感が分かりづらいので可能な限り、試着出来る店舗を選ぶのが吉です。

御所車と帳幕の上を鳳凰が舞う黒引き振袖【fuh07】
ゆめやでも1、2を争う豪華さの手刺繍と手描き友禅、丸に桔梗の五つ紋付きアンティーク黒振袖です。鮮やかな吉祥柄が描かれた紅白幕が張り巡らされ、御所車と鳳凰が手描き、手刺繍されています。蜀江紋様が織り出された金地の帯に、白い絞りの帯揚げ、地紋様が織りだされた白い帯締めを合わせました。

参列者のためのガイド

仏前式への参列は、ゲストにとっても分からないことが多いものです。しかし、参列者もまた式の重要な存在であり、この伝統豊かな式においては、その振る舞いが式全体の雰囲気を形作るものです。和装の着こなしから数珠の適切な使用、挙式中の行動規範まで、ここでは参列者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

参列者の和装マニュアル

前述の通り、参列者の衣装は礼服です。

  • 新郎新婦の父、祖父、兄弟、仲人:モーニングコート、黒紋付羽織袴
  • 新郎新婦の母、祖母、姉妹、仲人:アフタヌーンドレス、黒留袖、色留袖、振袖(未婚の場合)
  • 男性ゲスト:ブラックスーツ、ダークスーツ、外出着
  • 女性ゲスト:ドレス、ワンピース、スーツ、訪問着、附下、紋付色無地

つまり、通常の結婚式同様の格好で良いということです。

数珠選びとそのマナー

これも前述の通り、参列者も数珠が必要となります。また可能であれば、主役である新郎新婦よりも派手にならないよう素材や色合いに気を使い、控えめで落ち着いたものを選ぶのが良いでしょう。

挙式での心得

仏前式に参列するにあたり、いくつかの心得があります。式が始まる前には余裕をもって会場に到着し、静かに席に着くようにしましょう。また、式中は正座であるため、膝が悪いなど長時間の正座が難しい場合は、事前に新郎新婦に相談をしておきましょう。会場によっては、事前の椅子の用意が必要だからです。

仏前式での写真撮影

仏前式結婚式の写真撮影は、一生に一度の瞬間を美しく切り取る、まさに挑戦です。ここでは、仏前式における写真撮影について見ていきたいと思います。

撮影で捉える瞬間

新郎新婦の誓いの交換、家族による祝福、そして伝統的な儀式の一つ一つが、写真に捉えるべき貴重な瞬間です。しかしこれらを写真に収められるかどうかは、事前の確認が合ってできることです。自宅で行う場合は、あまり問題になりませんが、寺院によっては禁止されている場合もあります。事前に写真の許可を取っておくようにしましょう。

和装写真の極意

和装の美しさと伝統を如何にして写真に映し出すか、これは撮影者の腕に掛かってきます。参列者にカメラ好きな方がいるのであれば、その方にお願いするのが最も格安に最高の瞬間を収められる方法かもしれません。

しかし、プロのカメラマンだからこそ撮れる一枚というのもあります。一生に一度の晴れ舞台ですから、プロに依頼することも検討されてはいかがでしょうか。着物レンタルの中には、様々なサービスを付けているものがあります。その中には、レンタル店と提携しているカメラマンの撮影を格安で受けられるサービスなどもあったりします。様々なサービスを見比べて、最適解を導き出しましょう。

まとめ

仏前式は、アットホームでありながらもその厳かな雰囲気と深い精神性で、参列者の心に長く残る特別な経験を提供します。ここでは、仏前式で体験できる感動的な瞬間と、和装の作り出す美しさ、そして仏前式を成功させるための実践的なアドバイスを深掘りしていきます。

心温まる仏前式について

仏前式には、心を打つ多くの瞬間が存在します。読経の響き、新郎新婦の堅い誓い、そして家族の絆を象徴する数々の儀式が、この式を特別なものにしています。これらの一瞬一瞬が、仏前式の本質を伝え、参列者の記憶に深く刻まれます。特に、両家の絆を新たに結ぶ儀式は、多くの参列者にとって感動的なハイライトとなります。

和装の美とは

和装は、日本の美意識を象徴する芸術作品です。新郎新婦の装いから参列者の衣装に至るまで、和装は式の格を一層引き立てます。素材の質感、染めや織りの細かな技術、そして色彩の調和は、新郎新婦の美を際立たせます。これらの要素が組み合わさることで、仏前式の雰囲気はより一層深まり、記憶に残る美しい光景を創り出します。

仏前式成功のためのアドバイス

仏前式の成功は、細部にわたる準備と深い理解にかかっています。伝統的なマナーや儀式の流れを学び、適切な和装や数珠を選ぶことは基本中の基本です。さらに、式の精神的な価値を尊重し、その意味を深く理解することで仏前式は形だけではない、本当の心の繋がりを与えてくれます。先祖を思い、家族を思うその気持ちに支えられ、新郎新婦の新たな門出が素晴らしいものになることをお祈り致します。

〈参考記事〉
https://nihon-kekkon.com/article/knowledge/id27655/
https://nihon-kekkon.com/article/knowledge/id26790/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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