絞りイメージ

【3歳七五三】子どもに正絹・絞りの着物を着せたい!その魅力と特徴

はじめに

ゆめやは1985年から、正絹のアンティーク着物を専門に扱い、それぞれの着物が持つ物語を大切にしています。今回の記事は、3歳の七五三の着物についてです。特に、女の子の着物には最高級の正絹着物が最適です。そんな数ある正絹の着物の中でも、注目の「絞り」の美しい着物についてここでは解説していきます。お子さまの一生に一度の行事のご参考になれば幸いです。

七五三準備の第一歩

多くの場合、3歳の女の子にとって七五三は、人生で初めて着物を着る機会だと思います。そんな機会に最適な着物とは何なのか、素材や着物の種類について解説します。

3歳の七五三に最適な素材とは

七五三とは、平安時代から続く子供の成長と健康を願う伝統的な行事です。歴史ある行事であるからこそ、日本の民族衣装に身を包み、その日を祝いたいと思うご家族も多いことでしょう。科学技術の進んだ現在は、着物の素材も多様になっています。しかし、最高級にして最上級の着物は昔ながらの正絹の着物であり、お子さまの着物の素材として最もおすすめできるのも正絹です。

正絹とは、天然素材である絹100%で織られた着物のことを指します。絹のタンパク質構造は人の肌に近いため、肌触りが良く、また敏感な子どもの肌にも優しい素材です。正絹は吸湿性と放湿性に富んでおり、季節を問わず子どもが快適に過ごせる環境を提供します。独特の艶やかな光沢があり、染色率の良さもその特徴です。

その他にも、正絹は耐久性にも優れています。適切なケアを行っていれば、品質を保ちながら何世代にも渡って使えるほど丈夫です。七五三だけでなく、以降に行われる改まった場面やお孫さんの世代にも受け継ぐことができるため、長い目で見ると経済的な選択とも成りえます。さらに、正絹の着物は時間が経つにつれて風合いが増し、着るほどに身体に馴染み、より美しい着姿を作り出します。

このように、3歳の七五三に正絹の着物を用意することは、大きなメリットがあります。

三つ身と被布のセット

3歳の七五三で女の子は、主に三つ身被布と呼ばれる着物のセットを着用します。三つ身とは2歳〜4歳くらいまでと、とても着用期間が限られた祝い着です。大人の着物との違いは、着物自体に紐を付けて着やすくしてある点にあります。小柄のお子さまの場合は、お宮参りで使用した一つ身を3歳の七五三の祝い着として着せる場合もありますが、その歳のお子さまに丁度良く仕立てられた三つ身に比べると、野暮ったく見えるものです。

その上に合わせる和装のベストのようなものを被布と呼びます。江戸時代中期頃に一般化した被布は、当初は男性の着物だったそうです。その後、次第に男性の羽織に対する女性の外出時のおしゃれ着として、同時にその保温性の良さから、子どもの着物にも取り入れられたようです。現在は、3歳の七五三衣装くらいでしか見られなくなりました。その特徴は、中に綿が詰められているため肌寒い七五三の時期でも暖かくかわいらしい着姿になるところです。

被布を用いない場合は、三つ身に兵児帯と呼ばれる柔らかい帯を締めた恰好が一般的です。また、3歳の七五三のお祝いは女の子がすることが多いですが、地域によっては男の子も行うことがあります。その場合の衣装も女の子同様に、三つ身と被布のスタイルが多いです。ただし、その場合は男の子らしい青や水色の着物が選ばれます。

アップルグリーンに羽子板、花手鞠の三歳祝着」を着用した、3歳の女の子のコーディネートです。雲取模様を背景に手毬や羽子板、花紋様を描いた祝着に、鮮やかな黄色の帯を締めました。祝着の色に呼応して、被布は朱色で愛らしく。被布の飾り房がコーディネートのアクセントです。足元は、黄色の鼻緒の草履で帯と色合いを統一。被布を脱いでもおしゃれな取り合わせです。

色と柄で選ぶ、3歳の七五三着物

3歳の七五三では、着物の色と柄の選び方が大切なポイントになります。着物全般に言えますが、色と柄には古くから様々な意味や願いが込められています。それらを知ることで、七五三を行う意義がより深いものになるでしょう。

華やかな色に込められた願い

赤、白色は、3歳の七五三において最も格が高く、かつ人気のある着物の色です。赤色は、生命力とエネルギーを象徴し、お子さまの健やかな成長と幸福を願う色です。また、鳥居の色にも用いられるように魔除けの意味もあったと言います。その他にも、赤ん坊の赤とかけて始まりや門出を祝う色だともいわれます。これは、干支が一巡する歳の記念である還暦の際に着る赤いちゃんちゃんこと同様の意味です。

白色は、純粋さと清潔感を表し、こちらも新しいスタートを祝う通過儀礼に最適です。花嫁の白無垢が白いのも、この純粋さと掛けていると言われますし、それは、死装束の白も現世の穢れを洗い流した姿で来世へ向かうという意味が込められていることからも伺えます。その他にも、古代の太陽信仰と絡めて、太陽光の象徴として神聖性の意味も込められていたと言います。現代でも、神職の衣服が白いのはこのためだと言います。

これらの伝統色に合わせて、近年は様々な色の祝い着が生み出されています。クラシックな印象を求める場合は、赤や白を基調としたものが良いです。対して、よりモダンなアプローチを目指すのであれば、現代的な発色の良い色を選ぶと良いでしょう。

七五三の装いを完成させる柄

七五三の祝い着を含む着物には、様々な柄が施されています。その柄には、一つ一つに意味が込められています。多数の柄を分類分けすると、古くから伝わる古典柄と近代的なモダン柄に大別されます。

特に、古典柄は歴史的な意味合いも強く、着物としての格も高くなると言われます。古典柄にもルーツによって、四君子文様、有職文様、吉祥文様、元禄模様など細かく存在しています。例えば、有職文様の代表的な柄である立涌は雲や蒸気がたちわく様を模した柄と言われ、そこから運気などの上昇を願掛けています。吉祥文様からも一つ挙げます。当時は、贈り物に熨斗鮑を添えたと言います。その熨斗鮑を模様化したものを熨斗柄と呼び、古くから縁起が良い柄として愛されてきました。このように、柄から古き良き日本の文化を感じることができます。

桃から黄へのぼかしに絵羽模様の一つ紋付三歳祝着」黄色から桃色へぼかしを施した地に、四季の花を色鮮やかに描いたアンティーク祝着です。日本美が輝く古典的なデザインで、周りを差がつく祝着姿を叶えます。

それに対してモダン柄は、明確な年代があるわけではありませんが、現代的な幾何学模様や洋花などをモチーフにした柄のことを指します。例えば、赤いバラは西洋では愛情の象徴ですが、そのままの意味が込められているとも言えますし、あくまでデザインとして用いられているとも言えます。ですから、古典柄ほどは明確に意味が込められてはいないことが一般的です。また、近年のキャラクターものもモダン柄と言えるでしょう。

深緋色にオレンジの雲取、四季の花薬玉の三歳祝着」赤色と橙色の雲取模様に、花薬玉を描いたアンティーク祝着です。和のモチーフながら、ぼかしを多用した洋画風のデザインがモダンな印象をもたらします。

古典柄など古き時代の柄をレトロ柄とした場合に、特に、大正時代から昭和時代初期のアールヌーボー、アールデコの影響を受けた柄をレトロモダン柄と呼ぶこともあります。以上のように、柄は着物に願いや思いを込め、またスタイル表現としてのツールとしても使われます。

赤地にピンク色の雲取と、御所車や四季の花の三歳祝着」赤色とピンク色を背景に御所車や檜扇、貝桶や鼓などの吉祥紋様を細やかに描いたアンティーク祝着です。レトロモダンなカラフルな色合いが、子どもらしい可愛らしさを引き立てます。

3歳の七五三着物、レンタルか購入か

三歳の七五三を迎えるにあたり、お子さまにとって最適な着物を選ぶことは、この特別なお祝いの日の記憶を美しく彩る重要な要素です。しかし、その着物をレンタルするか購入するかは、非常に悩ましい問題です。ここでは、レンタルと購入のそれぞれの善し悪しを詳しく比較し、ご家族にとって最良の選択をするための情報をご提供します。

レンタルのメリット・デメリット

着物のレンタルは、特に経済性と便利さで大きなメリットがあります。正絹を用いた着物で特に高度な技術で織られた高価な着物を、お手頃な価格で体験できるのはレンタルならではの利点です。また、着物レンタルは近年便利に進化しています。着物は体型を選ばないとは言われますが、肌ざわりや柄の位置を確認するためには試着の必要があったため、来店をしての予約が一般的でした。しかし、ゆめやは自宅に居ながら着物の選定から試着、予約、返却の一連の工程ができるプランを提案しています。小物を含めたトータルコーディネートでの提供となるため、着物に不慣れな方にも安心してご利用いただけます。

一方で、レンタルのデメリットはフルオーダーメイドのような自由度がないことや、他人と着物が被るといった点にありますが、近年はこの点も改善されてきています。確かに地方では、呉服屋が限られるため取り扱っている着物に限りがあることで、選択肢が狭く、着物が被ることはあったでしょうが、オンラインの発達により全国と繋がったことで、自宅に居ながら選択できる着物の幅が格段に広がり、合わせて、着物が被ることも減りました。また、ゆめやの扱うアンティーク着物は100年以上も前の着物であることから、1点物が基本です。こういった点からも、余程こだわりがない限りは満足のいく着物が見つかるでしょう。

アンティークきものレンタルゆめやでは店舗はもちろん、オンラインからも祝着のレンタルを承っています。ご希望の商品詳細ページより祝着のご着用日を選択していただくと、2日前までにご指定の住所へお届けいたします。事前にどんな祝着か確認できる「自宅で下見プラン」もご用意していますので、イメージ通りの装いで七五三に臨んでいただけます。祝着をご着用後は、当日中に専用伝票で返送していただくだけでお片づけ完了です。レンタルならではの手軽さで、愛らしい祝着姿を心ゆくまでお楽しみください。

購入を選ぶ理由

着物を購入することの最大の魅力は、その思い出の品がいつまでも手元に残るという点にあります。正絹の着物であれば、時間が経過しても価値を保ち続け、将来的にお孫さんやその先へも受け継ぐことができるため、まさに一生の宝物となります。

一方で、購入には高額な投資が伴います。子どもの着物であっても本格的なものは仕立てに数十万円もすることがあります。また、品質を維持するためには、手間と費用がかかります。正絹は丈夫な素材ではありますが、湿気に弱く、虫食いにもあいやすいという弱点があります。そのため、最低でも年に2回の虫干しは必須です。保管場所も虫が付きづらく湿度管理がしやすく、直射日光を避ける必要があります。そのため、専用の桐の着物タンスが良いと言われますが、小さくても数万円からです。

万が一、汚れや色落ちがあった場合のお手入れも個人で行うことは難しいです。そこで多くの場合、専門のクリーニング業者に依頼することになりますが、1回当たり数万円はざらです。

しかし、こだわりを形にしたい方、ジャストサイズで最高の着物をお子さまに着せたい方には、とても素敵な選択肢であることには変わりありません。

3歳の特別な日を彩る、絞りの着物のフルセット

3歳の七五三の着物レンタルは、着物に必要なものが揃った「フルレンタル」が一般的です。ここでは、その中身を見ていきたいと思います。合わせて、ゆめやがおすすめする絞りの着物の世界について解説していきます。

七五三フルセットの中身とは?

七五三におけるフルセットは、お子さまがこの特別な日に必要とするあらゆるものを含んでいます。具体的には、以下のアイテムがセットに含まれることが多いです。

  • 正絹の着物:三つ身、あるいは三つ身と被布のセットが一般的です。
  • :被布セットの場合は帯が付かない場合もありますが、三つ身だけの場合は兵児帯が付属します。
  • 長襦袢:着物の下に着るもので、着物を汗などから守るのと合わせて着物の滑りを良くして着心地と動きやすさを良くしてくれます。

この他に、足袋、草履、巾着や髪飾りなども付属します。レンタル店によってはオプションになっていることもありますので、事前に確認をしましょう。

ゆめやでは家族構成や年齢に合わせてお選びいただける、お得な七五三プランをご用意しています。「七五三・兄弟姉妹プラン お子さま2人のセット(計2点)」七五三のお子さま2人、合計2着のプランです。「七五三・親子プラン お子さま1人とお母様のセット(計2点)」七五三の祝着1着と、お母さまの訪問着1着のプランです。どちらのプランもお子さまの性別を問わず、七五三のどの年齢の祝着でも自由にお選びいただけます。やわらかく体に沿う正絹の祝着に身を包み、思い出に残る晴れの日を迎えていただけます。

絞りの着物の魅力

最高級の着物には、職人の高度な技術が使われています。その一つである絞り染めの歴史は古く、奈良時代にまで遡ると言います。絞り染めとは着物を染める技法の中でも、布を括って染め分ける技法の総称で様々なものがあります。

鹿の子絞りは、糸で細かく括ってできる柄が小鹿の背の柄に似ていることから名づけられました。縫い締め絞りは、読んで字のごとく糸で縫い締めることで防染を行う絞りの技法です。いずれの絞りも力加減、ほんの少しの間隔の違いでも仕上がりが変わってくる高度な技法であり、何よりも染め上げてみないことには出来上がりが分からないという一発勝負の作品です。それを着物全体に施す総絞りが、如何に職人の手間と集中力を要したかがお分かりいただけると思います。

しかし、そんな繊細な着物だからこそ、一生に一度の3歳の七五三で身に纏っていただきたいと思います。

記念撮影に映える七五三着物

3歳の七五三に、お子さまの最高の写真を残したいと思うのは全ての親御さんが思うことでしょう。ここでは、そんな最高の記念撮影のアイデアをご紹介します。

撮影におすすめの着物スタイルとは?

撮影におすすめの着物スタイルはどんな姿でしょうか。もちろん、撮影環境によってもイメージは変わってきます。伝統的な神社や建物、または家族の思い出の場所や公園といったロケーション撮影もあれば、写真館での撮影もあります。ただ、いずれの場合も、着物の美しさを最大限に引き出し、お子さまを最高に魅力的に撮影するのであれば、正絹の着物が最適です。特に、自然光の中での着物の光沢感はお子さまの顔色を明るくしてくれます

それを踏まえて、デザインは撮影環境を考慮して考えてみましょう。神社などの和を感じさせる風景の中では、古典柄をメインにしたクラシックなスタイルが素敵です。特に、鮮烈な赤の美しさを引き出せるのはお子さまの特権です。洋風な建物や風景での撮影であれば、モダンスタイルやハイカラなスタイルが最適です。お子さまの個性とのバランスを見ながら、慎重に選択しましょう。

撮影を彩る小物

小物は、着物のスタイルを左右するアイテムであり、また撮影の小道具としても最高のアクセントになります。例えば、髪飾りで考えてみましょう。つまみ細工の可愛らしいかんざしがあるだけでも、古典的な印象になります。対して、ベレー帽を合わせると一気にモダンな雰囲気に様変わりします。このように、小物の使い方次第で着物の印象は大きく変わります。

また、鞠や紙風船、番傘などは撮影の際に、和の印象を強調するのに大活躍してくれます。もちろん、モダンな演出にも小道具があると便利です。例えば、額縁一つあるだけで家族写真のバリエーションは増えます。額縁から飛び出したようなユニークな写真など個性的なことにも挑戦ができます。全ては、親御さんのアイデア次第です。記念すべき日を、全力で楽しみましょう。

まとめ

七五三は、お子さまの成長を祝う大切な儀式です。そんな特別な日であるからこそ、伝統衣装である着物が良く映えます。繊細な絞りや染めなど、職人の技術と心が込められた着物は、芸術作品であり歴史と文化を今に伝える語り部です。これらの着物を選ぶことで、お子さまの七五三は単なるイベントではなく、家族の絆を深め記憶に残る美しい瞬間となるでしょう。是非、最高の七五三をお迎えください。

七五三

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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