べっ甲に菊の手彫りと金塗りの櫛型かんざし【kzs109】

【着物のプロが監修】べっ甲の値段の手引き | 価格と本物の見分け方

はじめに

べっ甲とは? その魅力と特徴

べっ甲とは、タイマイという南の海に生息する海亀の甲羅から取れる希少な天然素材です。その美しい模様と光沢、そして独特の温もりが特徴で古くから和装小物などに使用されてきました。

べっ甲の最大の魅力は、独特の光沢と暖かな手触りです。飴色や琥珀、白甲と呼ばれる白色、さらには珊瑚や黒などさまざまな色合いが存在します。軽さと硬さを併せ持ち、肌に優しいのも特長。

たいへん加工しやすい素材であり、職人の手によってさまざまな細工やデザインが施されます。価格は素材の状態、大きさやデザインで大きく変動します。

この記事でわかること

この記事ではべっ甲の魅力や特徴を深く掘り下げるとともに、その価格や相場さらにはお手入れ方法や選び方などべっ甲に関するさまざまな情報を詳しくお伝えします。また、べっ甲製品の購入を考えている方や、すでに持っているけれどもっと知りたいという方に向けて役立つ情報を提供します。

特に、べっ甲の価格や相場に関する情報は多くの人が気になるポイント。オークションや店舗での取り扱い価格、そして買取価格などさまざまな角度からべっ甲の価値を探求していきます。合わせて、べっ甲製品の選び方やお手入れ方法、さらには本物と偽物の見分け方など実用的な情報もしっかりとお伝えします。

べっ甲の一般的な相場と価格

べっ甲商品の平均価格とその変動

べっ甲はその希少性と美しさから、多くのアクセサリーや和装小物に使用されています。べっ甲の眼鏡フレームやネックレス、ブローチ、簪(かんざし)などのアクセサリーは、女性を中心にたいへん人気があります。ですが、べっ甲製品の価格は製品の種類やサイズ、使用されるべっ甲の部分や品質によって大きく変動します。

べっ甲はタイマイの個体数の減少から絶滅危惧種に指定され、1993年以降ワシントン条約により輸入が制限されています。そのため現在国内に流通するべっ甲の多くは1992年以前の在庫であり、年々希少性は高まっています。とはいえ、密輸が横行していて国内の未加工のべっ甲の在庫数はわずかであり、製造業者数も変わらないと言います。

こういったべっ甲の闇は、輸入制限後も続く一定の市場のニーズが生み出したものです。そんな中、沖縄でタイマイの養殖にも成功したようですが、まだまだ研究段階です。こういった国内のべっ甲市場に対して、政府からの取引規制を訴える動きもあります。今後べっ甲が市場から消えるということもありえるということです。

ゆめやは着物の専門家であり、べっ甲の専門家ではありませんので、確定的なことは言えませんが、レンタルで提供しているかんざしのうち、この2点は、艶や陰影に奥行きがありますので、おそらく本べっ甲だろうと思います。

新品と中古、その価格の違い

べっ甲製品を購入する際に、新品と中古のどちらを選ぶかは購入者の好みや予算によって異なります。新品のべっ甲製品はその美しさや状態の良さを保証されていますが、その分たいへん高価です。一方、中古のべっ甲製品は新品に比べて手頃な価格で手に入れることができますが、使用感や小傷などがあることも考慮する必要があります。

新品の中でもブランド品や有名な職人が手がけたものは、その品質やデザインを反映してかなり高額になることが多いです。特別な技法やデザインが施されたもの、限定品やオーダーメイドとなると、さらに価格が上がることが予想されます。

一方、中古といって全ての製品が手頃とは言えません。いわゆるアンティーク品の場合は、新品以上に値が張ることも考えられます。

べっ甲製品を購入する際は、その製品の品質やデザイン、そして価格をしっかりと確認し自分の好みや予算に合わせて選ぶことが大切です。

べっ甲の買取について

全国の主要なべっ甲買取店舗一覧

  • なんぼや・八光堂:北は北海道から南は鹿児島まで、全国137店舗の創業40年の買取専門店です。
  • 緑和堂:京都、名古屋、東京、大阪に店舗を構える買取専門店です。べっ甲に精通した鑑定士が在籍しています。
  • :東京、大阪、福岡に店舗を構える美術品買取の専門店です。幅広い買取を得意とします。
  • バイセル:CMでお馴染み。宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、奈良と全国に店舗があります。
  • おたからや:北海道から沖縄まで、まさに全国に店舗をもち、べっ甲以外に象牙などの希少なものの買取も歓迎しています。

オンライン買取や無料査定などを行っている店舗も増えています。

買取価格を高くするためのポイント

べっ甲製品を高価買取してもらうためには、いくつかのポイントを心がけると良いでしょう。

  1. 製品の状態を良好に保つ:べっ甲製品は、虫食いや乾燥で劣化しやすい素材です。そのため、定期的な手入れや保管方法に注意を払うことで、製品の状態を良好に保つことができます。
  2. 付属品や箱を揃えておく:買取全般に言えることですが、オリジナルの箱や付属品があると買取価格が上がることが多いです。特にブランド物のべっ甲製品の場合、オリジナルの箱や説明書があるとその価値が高まります。
  3. 製品の情報を事前に調べる:べっ甲製品の種類やブランド、製造年などの情報を事前に調べておくと査定時に有利になることがあります。
  4. 複数の店舗で査定を受ける:一つの店舗だけでなく複数の店舗で査定を受けることで、最も高い価格を提示してくれる店舗を選ぶことができます。
  5. 季節やトレンドを意識する:買取全般にいえますが、タイミングによって価格変動することが多いです。べっ甲製品も季節やトレンドによって変動することがあり、査定時期も考慮して買取を検討すると良いでしょう。

大切にしてきたべっ甲製品を手放す際は、しっかりとその価値を評価してもらい納得のいく価格で買取してもらうことをおすすめします。

べっ甲商品の種類とその特徴

べっ甲メガネやかんざし、その他の関連商品

べっ甲製品といえば「べっ甲メガネ」が思い浮かびます。べっ甲は独特の暖かいさわり心地と体温で微妙に変形する特性があるので、使用者の身体に馴染むため、古くからメガネとして愛用されてきました。また、軽くて丈夫な点も相まって長時間の使用にも適しています。

和装に欠かせない「かんざし」も、べっ甲製がたいへん人気です。べっ甲のかんざしだけがもつ美しい光沢は、実に繊細で高級感があります。髪に挿した時の滑りづらさも、古くから愛用されてきた理由です。

他にも、べっ甲のネックレスやブローチ、ペンダントなどは日常のファッションに取り入れやすく、さりげないおしゃれを楽しむことができます。

その他にも、櫛や簪、和装小物など、さまざまな商品がべっ甲で作られています。これらの商品は、べっ甲の美しさを最大限に引き出すため、職人の手によって一つ一つ丁寧に作られています。

作家や作品による価格の違い

べっ甲製品はその製造過程やデザイン、そして作家によって価格が大きく変動します。

べっ甲製品にも種類があり、べっ甲のみで制作された製品は本べっ甲と呼ばれ高価です。そこでべっ甲の使用量を減らし価格を抑えるために、べっ甲を薄くスライスしてセルロイドと貼り付けた張りべっ甲というものもあります。最近は合成樹脂でべっ甲の柄を表現したものも有り、こういったものは安価でお手入れも楽であったり気兼ねなく使える印象です。

また産地によって江戸べっ甲、長崎べっ甲などありますが、特に違いがないと言います。ただ材料の色合いで価格が変わり、透明感のある飴色のものを白甲といい最も高価で、真っ黒な黒甲、飴色と黒がまだらになった茨布甲と続きます。

装飾としては漆塗りの上にものを置いていく象嵌や、同じく漆塗りの上から貝で模様を描く螺鈿、彫りにピタリとものをはめて柄を描き出す芝山などいずれも高度な技術が有名です。細工が細かく、材料も高価になるほど品質も良いものとされます。芸術作品のようなものは一生ものです。

べっ甲の本物と偽物の見分け方

本物のべっ甲の特徴と手入れ方法

べっ甲は、その希少性から、市場にはべっ甲以外の材質でできた「なんちゃってべっ甲(今回は偽物と呼びます)」が出回っています。そこで本物のべっ甲の特徴を解説した上で、特性を踏まえたお手入れについて紹介します。

べっ甲の断面はタイマイの成長とともに瓦状に層を作っていて、言わば木の年輪のような構造をしています。そのため、鑑別方法もべっ甲の断面に層があるかどうかで判断します。ですが、動物の爪を素材とした偽物も同様に層状に見えるため、その場合は重量で判断されます。べっ甲は往々にして爪製よりも軽い事が多いためです。

ただし、漆塗りの場合は層が見えないことや装飾の重さによって判断がつきづらい場合もあり、不慣れな方には難しいです。そのため、専門店で鑑定してもらうのが一番間違いないと言えます。

ちなみに、べっ甲の甲羅の層一枚一枚の中には水を通す管が張り巡らされていて、その管が熱で形を変えることにより理想の形に加工することができます。またタンパク質でできているため汗や汚れが付着したままだと、割れやささくれなどの劣化を起こします。紫外線や湿度変化、温度変化が激しい環境は、人の肌が荒れるのと同じように大敵です。直射日光を避け、温度・湿度が一定の場所で保管することをおすすめします。

べっ甲製品を長く使用するためには、普段から柔らかい布で乾拭きをすることです。それでも光沢が戻らない場合は、早急に専門の職人に相談することがお手入れのポイントです。

いわゆる偽物のべっ甲、ゆめやでは「べっ甲調」と読んでいますが、細工が細かく、1人に対して大量に必要になる花嫁かんざしは、べっ甲調のものを取り揃えています。「べっ甲調の菊の花にパール調の花芯の花嫁かんざし」は、菊の彫りに真珠調の細工を付けた花嫁かんざしです。これとは別に珊瑚調の細工を付けた「黄色いべっ甲調の菊の花に珊瑚調の花芯の花嫁かんざし」もございますので、あわせてご覧ください。

偽物を見分けるためのポイントと参考情報

べっ甲と偽物の見分けは難しく、購入時には注意が必要です。以下は、偽物を見分けるためのポイントと参考情報をまとめました。

  • 甲羅の層の確認:本物のべっ甲には、断面を見たときに層が確認できます。漆塗りやプリントがしてあると分かりづらいので経験を要します。
  • 重さ:べっ甲の特徴はたいへん軽量で硬い素材です。ただし、プラスチックも同様に軽いため高度な模造品の鑑別には経験を要します。
  • 価格:べっ甲は希少であるため、価格が高くなることが一般的です。あまりにも安価な商品は、偽物の可能性が高いです。
  • 購入場所:信頼性のある店舗や、専門のべっ甲製品を取り扱う店での購入をおすすめします。
  • 参考情報:べっ甲の専門サイトやべっ甲に関する書籍などを参考にすることで、より詳しい知識を得ることができます。

最後に、べっ甲製品を購入する際はその商品の情報や店舗の評価などをしっかりと確認することが大切です。それによって、本物のべっ甲の魅力を十分に楽しむことができるでしょう。

まとめ

べっ甲商品を購入、買取する際の注意点

べっ甲は、その希少性と美しさから多くの女性たちに愛されています。ですが、その人気ゆえに市場には本物と偽物が混在しています。可能であれば信頼性のある店舗で専門スタッフに相談しながら購入するか、専門サイトを参考にしながら購入することをおすすめします。

買取も複数の業者で相見積もりをとることと、専門サイトなどでの情報収集が大切です。

今後のべっ甲の価格動向と期待

べっ甲の希少性の高さはこれからも当分は変わらないでしょう。現在のような市場のニーズが続く限り、密輸も続いていくものと考えられます。将来、政府がさらに厳しい規制をかけた場合は、今よりもべっ甲の希少性は高くなることでしょう。

タイマイの国内養殖など新たな試みが軌道に乗りべっ甲の安定供給ができるようになれば、市場の価格も今よりも下がるでしょうから、密輸の量も減少することが考えられます。私たちにできることは信頼できる店舗で適切な価格で売買することであり、そのためにも事前に専門サイトで調べることが今後のべっ甲の未来につながるのです。

ゆめやのかんざしをもう一つご紹介しましょう。べっ甲からヒントを得たのでしょうか、透明感のあるピンクの花嫁かんざしです。白無垢や色振袖で挿されると、とってもかわいらしい花嫁さんになれますよ。

 

〈参考記事〉
https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/210630-JTEF-Bekko-report_J.pdf
https://nanboya.com/kottou-kaitori/kottouhin/bekkou/
https://www.ryokuwado.com/?gclid=Cj0KCQjw0bunBhD9ARIsAAZl0E0dgR78jFpyf-co4Ihx5QUm3PD_UMmaS4fzWwSUQsFZehGThE6_2AIaAny0EALw_wcB
https://baku-art.jp/?a8=8ME.uML6QfwVTZEeMHwFVjGMOEi0OZNbkH5j9iWeZeX6QfEMVf561fE6bTl9r9GwIe-ZWgEsIME.Ss00000023923001
https://campaigns.speed-kaitori.jp/ad/lisg/sem/bst-speed-kaitori/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=buysell&utm_content=big&utm_term=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%AB_e&cq_con=124056205863&cq_plac=&cq_net=g&cq_pos=&cq_plt=gp&gad=1&gclid=Cj0KCQjw0bunBhD9ARIsAAZl0E0sRDB-rVkkZZ4Aqg3UyrO9rCkebC96Jj8sWtVosGPl60NBOH0luDwaAq5dEALw_wcB
https://lp.otakaraya.jp/simei/?network=google_g&placement=&keyword=%E3%81%8A%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%84&device=&gclid=Cj0KCQjw0bunBhD9ARIsAAZl0E3KWjq90fO3eMYp-NcegsnzYDZzfIh0jeoCBTNbMIgrw4NH3Ci2Hc4aAlp0EALw_wcB
https://www.culture.city.taito.lg.jp/bunkatanbou/craft/craftsmen/japanese/page_08.html#:~:text=%E3%81%B9%E3%81%A3%E7%94%B2%E3%81%AF%E3%80%81%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%81%8B%E3%82%89%E4%B8%AD%E5%9B%BD,%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
http://www.unohara.jp/history/
https://edo-bekko.com/knowledge/#:~:text=%E3%81%B9%E3%81%A3%E7%94%B2%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%8F%E5%88%86%E3%81%91,%E6%9C%80%E3%82%82%E9%AB%98%E4%BE%A1%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
https://okachi-machi.com/d614.html

https://www.shichinokura.com/p5642.html#:~:text=%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%8B%E5%81%BD%E7%89%A9%E3%81%8B%E3%81%AE,%E3%81%AE%E9%9B%86%E5%90%88%E3%81%AB%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
http://www.bekko.or.jp/story.html
https://bekko-isogai.jp/contents/about-bekko.html

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
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監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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