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【初心者向け】帯留のおしゃれな使い方 | 和装小物で差をつける

はじめに

着物の美しさを引き立てる小物は数多く存在します。その中でも、帯留は特に目を引くアクセサリーです。今回は帯留の基本的な役割や魅力、そしておしゃれな帯留の選び方の基本についてご紹介します。

帯留とは? その役割と魅力

帯留は和装小物の一つで、帯締めにつけるアクセサリーです。帯留の魅力はそのバリエーションの豊富さにあります。帯留により、同じ着物や帯でも帯留を変えるだけでガラリと印象が変わるのです。

おしゃれな帯留の選び方の基本

帯留を選ぶ際の基本的なポイントは、シーンや目的に応じて帯留を選ぶことです。例えば、フォーマルな場では金や銀、正絹などの高級な素材の帯留や、伝統的な柄のものが適しています。一方、カジュアルな日常の着物や夏の浴衣には、カジュアルな季節をかたどったデザインや遊び心のある帯留が良く似合います。

また、最近ではブローチとしても使用できる帯留やリバーシブルの帯留など、機能性とデザイン性を兼ね備えた商品も増えています。これらを利用することで、さらに幅広いコーディネートが楽しめます。

多くの和装小物店やオンラインショップでさまざまな帯留が取り揃えられていますので、自分に合ったお気に入りの一品を見つけてください。

帯留の種類と特徴

帯留は着物の美しさを引き立てるアクセサリーです。その種類や特徴はたいへん多岐にわたります。まず、帯留の伝統的な側面やさまざまな素材、モチーフやデザインの違いについて詳しく解説していきます。

伝統的工芸品としての帯留

帯留は日本の伝統的工芸品として長い歴史を持っています。安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、着物の帯は長く、幅も広くなっていき、それに伴って帯の結びも複雑化します。その結果、解けやすくなった帯を固定するものが必要となりました。当時は胴〆と呼ばれていた紐が、今の帯締めの原型になります。帯締めと呼ばれるようになったのは江戸時代後期のことです。その直後帯留も誕生したそうです。

その後、幕末に帯留が一大ブームとなるのは、刀装具を加工したものを花魁などが帯留として愛用したことからだったようです。明治期に入ると廃刀令により、刀装具の職人たちはそのまま帯留の職人となり、西欧文化のあおりを受けていたことで、ますます帯留はアクセサリーとしての要素だけが残り、現代まで人々に楽しまれているのです。

帯留の魅力は、その繊細な細工や手の込んだデザインにあります。伝統的な技法を受け継ぐ職人の技や心意気が込められていて、持っているだけで特別な気持ちになれるアイテムと言えるでしょう。

ゆめやのコーディネートでも帯留を使うことがあります。螺鈿・漆塗り・べっ甲の帯留は、伝統的な美しさを持っています。

素材別の帯留:金、銀、真珠、シェルなど

帯留の素材はたいへん多岐にわたります。中でも、金や銀といった貴金属や宝石などの高級な素材は、その輝きや高級感で特に人気がありフォーマルなシーンで好まれます。

真珠やシェルを使用した帯留も、その独特の輝きや色合いで多くの女性から愛されています。特に、真珠の帯留は上品で女性らしい印象を与えます。

またガラスや石、木などさまざまな素材を組み合わせた帯留も存在します。これらの帯留はカジュアルな着物や浴衣に合わせるおしゃれな帯留です。

モチーフやデザインの違い:花、動物、幾何学模様など

帯留のモチーフやデザインは、その時代や流行によってさまざまに変わってきました。中でも、花や動物をモチーフとした帯留は、古くから多くの女性に愛されています。桜や梅、菊といった日本の四季を感じさせる花々や、猫や鶴、魚といった動物たちが繊細な細工で表現されています。

また幾何学模様や抽象的なデザインの帯留も人気で、着物にモダンな印象を与えます。

このように帯留はその種類や特徴、デザインによってさまざまな表情を見せてくれます。自分の好みや使用する着物や帯のデザインに合わせて、最適な帯留を選ぶことで和装の魅力をさらに引き立てます。

おしゃれな帯留の選び方

帯留の選び方一つで、着物全体の印象が大きく変わることもあります。今回はおしゃれな帯留の選び方について、シーンや着物の種類、色やデザインそして和装小物とのコーディネートのポイントを中心にご紹介します。

シーンや着物の種類に合わせて

帯留を選ぶ際の最初のステップは、どのようなシーンや着物に合わせて使用するのかを考えることです。帯留はおしゃれ使いの印象があることと、遊び心のあるものも多いため帯留を使用することが相応しくない場合があります。

彩りが求められるような成人式や結婚式などのフォーマルなシーンでは、金や銀などの貴金属や、ダイヤ、ルビー、サファイア、真珠などの宝石が無難なようです。

ただし、立場や着用する着物によっても選ぶべき帯留は変わってきます。例えば、親族の結婚式で着用する着物が紋なしの色無地であれば、蒔絵や象牙などの伝統的な柄の帯留がおすすめです。ですが、これも着用する年代によって変わるため一概には言い切れません。

以上のようなことからも、帯留をつけないという選択肢もいれて十分検討する必要があります。シーンを考えるとは、相手への気遣いから始まるのです。

一方、夏の浴衣やカジュアルな小紋にはどのような帯留でも問題ないと思います。それこそ粋なものを選んで着物を楽しむことです。

このように、帯留選びは難しいように感じますがそういった部分も日本の文化であり、奥ゆかしい相手への心遣いは侘び寂びにも通ずるものがあると思います。

色やデザインで印象を変える方法

帯留の色やデザインは、和装の印象を大きく左右します。例えば、白やピンク、紫などの淡い色の帯留は、優雅で女性らしい印象を与えます。一方、黒や金、銀などの色は、落ち着いた上品な雰囲気を演出します。

デザインに関しても花や動物、幾何学模様などさまざまなモチーフがあります。季節やシーンに合わせて桜や梅、菊などの季節の花をモチーフにした帯留や、猫や魚などの動物モチーフの帯留を選ぶと一層の季節感や遊び心を楽しむことができます。

和装小物とのコーディネートのポイント

和装の魅力を最大限に引き出すためには、帯留だけでなく和装小物全体とのコーディネートが重要です。例えば、帯締めや帯揚げ、扇子など、和装小物の色やデザインを統一することで全体のバランスがとれたコーディネートを楽しむことができます。

また、帯留の大きさや形、素材感も他の和装小物とのバランスを考えながら選ぶと良いでしょう。例えば、シンプルな帯締めには華やかなデザインの帯留を合わせるとアクセントとして効果的です。

帯留選びを通して自分らしい和装のスタイルを見つけ、着物を楽しめたら素敵だなと思います。

ゆめやでも、アメジスト・磁器・木工など、天然の材質や、精巧な彫りの帯留を使うことがあります。

人気の帯留デザインとブランド

和装のアクセントとして欠かせない帯留。そのデザインやブランドには、さまざまな魅力が詰まっています。

トレンドを取り入れたおしゃれな帯留

近年、和装に関心を持つ女性たちの間で、トレンドを取り入れた帯留が注目されています。例えば、ガラスやスワロフスキーを使用したキラキラと輝くデザインが人気です。他にもレース生地を使ったものは涼し気な印象を与えてくれるので、夏の浴衣などにおすすめです。

また、現代のファッションとの融合を楽しむためにブローチやアクセサリー感覚で使用できる帯留も増えてきました。これにより、洋服にも和を取り入れて楽しむことができるようになりました。

伝統的なデザインの帯留とその魅力

一方で、伝統的なデザインの帯留も根強い人気を持っています。花や動物の彫り物や、七宝などの幾何学模様の伝統的なモチーフを取り入れた帯留は、和装の美しさを一層引き立ててくれます。

伝統的なデザインは、その歴史や背景を知ることでさらに深い魅力を感じることができます。帯留一つ一つには物語が詰まっています。

帯留の正しい使い方とアレンジ方法

帯留は正しい使い方やアレンジ方法によって、魅力を引き出すことができます。今回は帯留の基本的な付け方からアレンジ方法、そしておしゃれな活用方法までを詳しくご紹介します。

帯留の基本的な付け方

帯留は、本来は帯を留めるための和装小物です。基本的に帯締めに通して使いますが、通常の帯締めは幅があるため帯留が通らないことがままあり、幅の狭い三分紐や四分紐などを使うことが一般的です。

前もって帯締めに帯留め通しておき、まずは前で結びます。細い紐なのでしっかり結んでおくことがコツです。結び目を後ろに回しお太鼓に隠して、帯留の位置を整えれば完成です。

アレンジ方法で楽しむ帯留の魅力

帯留のアレンジ方法は無限大です。帯留の位置を変えるだけで、全く違った印象を楽しむこともできます。例えば、帯の左側や右側にずらして取り付けることで、カジュアルな印象を与えることができます。

また、帯留を複数使うことでも粋な感じを演出できます。このように帯留のアレンジ方法を工夫することで、和装の魅力をさらに引き立てることができます。

おしゃれな帯留の活用方法

帯留は、和装だけでなく洋服とのコーディネートにも活用することができます。例えば、ブローチやアクセサリー感覚で洋服の襟元やポケットに取り付けることで、独特の魅力を楽しむことができます。

また、帯留をヘアアクセサリーとして使用することもできます。髪を結んだ際のアクセントとして帯留を取り付けることで、さらに華やかな印象を与えることができます。このように帯留は和装だけでなく、さまざまなシーンでの活用が可能です。

逆に、洋服用のアクセサリーも帯留として活用できます。帯留の金具はインターネットなどで手に入りますので、オリジナルの帯留も簡単につくれます。帯留を活用して、自分らしい和装スタイルを楽しんでください。

帯留のお手入れと収納方法

帯留は日常的なお手入れや適切な収納方法、さらには修理やメンテナンスのポイントを知っておくことで長く美しく使用することができます。

帯留の日常的なお手入れ方法

帯留は、使用後に汗や汚れが付着することがあります。材質などにもよりますが、使用後は柔らかい布で優しく拭き取ることをおすすめします。特に貴金属は油分などでくすんでしまうことがあるので、その場合は専用のクリーナーで磨くと良いです。

保存時の注意点と収納アイディア

帯留を長く綺麗に保つための収納はとても重要です。直射日光や湿気を避けることで変色を防げます。また、帯留同士が接触しないようにそれぞれを個別に包んで収納すると良いでしょう。

収納アイディアとしては、アクセサリーケースや小物入れを活用する方法があります。帯留専用の収納ケースも販売されているので、複数の帯留を持っている方は専用の収納ケースを利用すると便利です。

修理やメンテナンスのポイント

帯留は長く使用していると金具が緩んだり、小さな傷がついたりすることがあります。そのような場合は、専門の工房やブランドの修理サービスを利用することをおすすめします。

また帯留のメンテナンスとして、定期的に全体を点検することも大切です。特に帯留の金具部分は使用頻度や経年によって緩みやすいので、しっかりと固定されているかどうかを確認することが必要です。

まとめ

和装の魅力を引き立てる帯留。この小さなアイテムが着物や浴衣の印象を大きく変えるなんて驚きですね。今回は帯留の魅力や選び方、使い方、お手入れ方法など帯留に関するさまざまな情報をお伝えしてきました。最後に帯留を楽しむためのポイントと、これからのトレンドについて再確認してみましょう。

帯留を楽しむためのポイント再確認

帯留を最大限に楽しむためには、活用シーンに合ったものを選ぶことが大切です。帯留をつけるかつけないかも含めて、フォーマルシーンとカジュアルシーンで選ぶ帯留は変わります。素材、色、デザインの特性を踏まえておくことで粋な印象を楽しむことができます。

また帯留の選び方や使い方、お手入れ方法などを知っておくことで、帯留を長く美しく使用することができます。

これからの帯留のトレンドと期待

和装の世界は伝統を大切にしながらも、新しいトレンドやデザインが次々と生まれています。それは帯留も例外ではありません。近年はスワロフスキーやガラスを使用したキラキラとした帯留や、カジュアルなデザインの帯留が人気を集めています。

これからさらに個性的なデザインや、異なる素材を組み合わせた帯留が生み出されて行くでしょうし、コーディネートもより多様化されていくことが予想されます。

大切なことは、日本人らしい気遣いのあるファッションであることです。これからも、帯留の魅力を最大限に活かし、自分らしい和装スタイルを楽しんでくださいね。

〈参考記事〉
https://www.hana-wakou.co.jp/komonohana/blog/zathugaku17_19578/
http://www.kyoto-tsubomi.sakura.ne.jp/obidome-history.html
https://www.antiques-store.com/kottosya/11781.html
https://www.kimonoichiba.com/media/column/686/
https://www.gofuku-kawachiya.co.jp/enjoy/enjoy-2
https://kitsuke-lesson.info/column/accessory/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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