椿尽くしの黒留袖【tom10】

【着物のプロが監修】結婚式に留袖を着て出席したい!レンタル利用術

はじめに

この記事では、留袖のレンタルを考える際に押さえておきたい基本知識や結婚式で留袖を着ることの意味などについて詳しくご紹介していきます。

日本の伝統的なフォーマルウェアの一つである留袖は、特に結婚式などの格式が求められるシーンで着用される女性の礼装です。留袖を選ぶ際には、サイズや色、柄といった要素が重要となり、特に黒留袖は最も格式が高いものとされています。留袖によって結婚式という祝賀の場を尊ぶ気持ちを表現し、さらに親族間の結びつきを深める意味合いも持ちます。

留袖レンタルの基本知識

留袖レンタルは、挙式や披露宴といった結婚式において重要な役割を果たします。

新郎新婦の母親や親族の女性が着用することが多い留袖ですが、購入するとなるといささか高価であるため、レンタルという手段を選択する方が増えています。レンタルならサイズやデザイン、いろいろなタイプの留袖から選べる上に、クリーニング代や保管の手間を省くこともできるなど便利さもあります。

留袖レンタルの流れとしては、まず来店予約をして試着、気に入った留袖を選んで契約し、結婚式当日に着用、使用後は返却するというプロセスになります。一連の流れをスムーズに進めるためにも、結婚式の日程が決まったら予約に向けて早めに動き出すことが大切です。

結婚式で留袖を着る意味とは

結婚式で留袖を着ることには、深い意味が込められています。

留袖に描かれる柄には、例えば鶴や亀、松竹梅といった長寿や繁栄、幸福を願う意味があります。特に黒留袖では、その豪華な金彩や刺繍が結婚式という特別な日の華やかさを一層引き立ててくれます。

留袖を着ることで新郎新婦への祝福の気持ちを表現するとともに、着る人自身も親族や主役に近い立場としての喜びや誇りを感じることができます。また結婚式における留袖の着用は、親族間の結びつきを象徴する行為でもあります。留袖を通じて、家族の歴史や文化を次世代に伝え、結婚式という一生に一度の大切な日を祝うのです。

留袖レンタルには多くの選択肢があり、また結婚式で留袖を着ることには大きな意味が込められています。次の章では留袖レンタルの流れと準備について、さらに具体的なポイントを交えて解説していきます。

留袖レンタルの流れと準備

多岐にわたる準備が必要な結婚式ですが、招かれた立場としても留袖レンタルは計画的に行う必要があります。ここではそんな留袖レンタルの流れと、レンタルに向けて準備すべきことについて解説します。

レンタルの手順

留袖をレンタルするにあたっては、以下のような流れが一般的です。

結婚式の日程が決まったら、まずはレンタルする留袖の色や柄、スタイルを考える必要があります。次に、実際に留袖をレンタルできる店舗をリサーチしてから来店予約を入れます。この時点でサイズやデザインの希望を伝え、試着の予約も行っておくとよいでしょう。試着は留袖のフィット感や着心地を確認するための絶好の機会です。

予算内に収まる留袖を選ぶことができたら正式にレンタル契約を結び、合わせて小物も一緒にレンタルするものがあるか確認します。結婚式前に受け取った留袖を当日に着用して、あとは返却するだけです。一般的にはクリーニングや長期間の保管の手間もありません。

必要な準備物

留袖レンタルを準備する際には、以下も必要になります。

  • 身長やサイズの把握:正確なサイズを知っておくことで、留袖を選ぶ際にかかる時間の短縮にもつながります。
  • 和装小物:長襦袢や足袋、草履など、結婚式当日に使用する予定の小物があれば、それらも合わせてレンタルで用意できるか確認します。
  • 予算計画:レンタルの価格範囲をあらかじめ決めておくと、選択肢を絞り込みやすくなります。

留袖レンタルにおいて特に注意すべきは、結婚式の数カ月前には予約に向けて検討を始めることです。特に春や秋など結婚式の人気シーズンであったり、週末の結婚式などでは予約も埋まりやすいため、できる限り早めの行動がおすすめ。留袖だけでなく必要な小物も同時にレンタルできればスムーズです。

以上、ここでは留袖レンタルの基本的な流れと準備に必要なものについて解説しました。続いては、留袖のサイズ選びのポイントを詳しくご紹介していきます。

留袖のサイズ選びのポイント

留袖を選ぶ際に重要なのはサイズです。留袖は日本の伝統衣装であるため、西洋の衣服とは異なるサイズ基準があります。ここでは、留袖選びにおけるぴったりのサイズの見つけ方と、体型に合った留袖の選び方について解説します。

ぴったりのサイズの見つけ方

留袖のサイズ選びで最初に考慮すべきは、身長と「身丈」です。身丈とは着物の衿の中央から裾までの長さのことをいい、留袖では一般的に身長と同程度か、身長よりも気持ち長めの身丈がぴったりのサイズとなります。

身丈と身長との差がおおむねプラスマイナス5cm以内に収まるようであれば着付けの中で「おはしょり」による微調整が可能ですが、それ以上に差があると着姿にも影響が出る恐れも。自前の留袖や新たに留袖を購入するなどであれば仕立て直しによってサイズを補正することが可能ですが、レンタルの場合は交換対応となります。

着物レンタル店のホームページなどでは詳細なサイズ表を参照できるため、ご自身の身長と照らし合わせてみるようにしましょう。

体型に合った留袖の選び方

留袖を選ぶ際には、体型に合わせて選ぶことも重要です。

各レンタル店では着物のサイズによって商品ごとにS、M、Lといった区分をしてくれているところもあります。Sサイズは158cm、Mサイズは166.7cm…というように各サイズに身丈を対応させているほか、裄(ゆき)袖丈も各サイズによって異なります。

ふくよかな方は身幅に余裕のある留袖を選ぶことで、快適に着用することが可能です。逆に細身の方は、細めの身幅でスッキリとしたラインを強調できる留袖を選びましょう。帯の結び方や小物の選び方にも工夫を凝らすことで、体型を美しく見せることができます。

留袖のサイズ選びは、結婚式における着姿や着心地を左右する重要な要素となります。自分の体型に合った留袖を選ぶことで、結婚式の日をより特別なものにすることができますよ。次は、留袖レンタルで注意すべき点について詳しく解説していきます。

留袖レンタルで注意すべき点

留袖をレンタルする際には、計画的な行動が成功の鍵です。ここでは、特に注意すべき二つの大きなポイントについて詳しく見ていきましょう。

予約のタイミング

留袖レンタルの最初のステップは、適切なタイミングでの予約です。結婚式の日程が決まったら、できるだけ早く留袖の予約を入れることをおすすめします。

特に春や秋といった結婚式の人気シーズンは、希望する留袖が早くに予約で満杯になることもあります。またオーダーメイドの小物を加える場合や、特別なサイズが必要な場合はさらに余裕を持ったスケジュールで予約を行う必要があります。結婚式の3~6カ月前には留袖の選定を始めておくのが理想的です。

下見と試着の重要性

来店予約が済んだら、次に下見と試着です。写真やカタログだけでは分からない留袖のフィット感や素材感を確認するためにも、実際に店舗を訪れて試着することが大切です。

試着をすることで、留袖のサイズを変更する必要があるか、補正下着や小物が留袖と合っているかなどをチェックすることができます。また留袖の色や柄がカタログや画面越しに見た印象と合っているかを確認する絶好の機会でもあります。

試着時には、座ったり歩いたりといった動作も試してみるとよいでしょう。結婚式当日を快適に過ごせるかどうかにも直結する、動作確認を事前に行うことができます。

留袖レンタルを成功させるためには、予約のタイミングや下見や試着の重要性を理解し、計画的に行動することが不可欠です。結婚式当日の留袖姿を快適に美しく整えるためにも、じっくりと時間をかけて選ぶことが大切です。続いては、結婚式の留袖選びにおける色や柄の意味について詳しく解説していきます。

結婚式の留袖選び:色と柄の意味

着物の中でも、とりわけ留袖は色や柄が大きな意味を持っています。特に黒留袖は結婚式における最も正式な着物とされていますが、それ以外の色や柄にも深い意味があります。

黒以外の色の留袖はあり?

伝統的に、結婚式で母親や親族の女性が着用する留袖は黒が基本です。既婚女性の第一礼装ともいわれる黒留袖はその豪華な刺繍や金彩で知られ、結婚式という特別な日の格式を象徴しています。

一方で黒以外の色を基調とした留袖、色留袖も選択肢として人気です。既婚・未婚問わず着用でき、黒留袖と比べカジュアルな印象を与えることができる色留袖ですが、結婚式などにおいては落ち着いた色合いが選ばれることが多く、薄い紫や薄ピンク、黄緑色などが好まれます。

結婚式に招待する側の母親であれば最も格式の高い五つ紋の黒留袖がベター、親族として色留袖を着用する場合は黒留袖と格を合わせるためにも三つ紋を入れる、など、紋の数によって格式を調節する必要があります。親族同士などでも事前に相談しておくとよいでしょう。

ゆめやの留袖から、黒留袖を2点ご紹介します。

「椿尽くしの黒留袖【tom10】」は、椿と梅が描かれた、アンティーク黒留袖です。返った裾の裏にも椿が描かれ、裾の奥には椿が見え隠れします。計算された紫の配色も効いており、細かなところにまで気を抜かない女の気概がにじみ出た、粋な留袖です。帯は、金地に扇面文が描かれた吉祥紋様の帯を結びました。末が広がっていくことから、縁起のよい絵柄とされています。お身内の結婚式やパーティーにふさわしい留袖ですね。

「桃の実と軍配、鼓の黒留袖【tom12】」は、中国のデザインを色濃く受け継いだ、宝尽くしの、かわいらしいアンティーク黒留袖です。鼓、笛、鳳凰、桐、桃、巻物、軍配など通常の留袖ではあまり目にしない珍しい図柄があしらわれています。帯は貝合わせの帯を結び、帯揚げ、帯締めは白でまとめました。日本の宝尽くしとは、少し違うかもしれませんが、おめでた尽くしには間違いありません。中国との関わりのある、おめでたい席で、お召しになるのはいかがでしょうか。

柄で分かる留袖のメッセージ

留袖の柄には、幸福や繁栄、長寿を願うさまざまな象徴的な意味が込められています。例えば長寿の象徴である鶴亀松竹梅は、夫婦円満や永遠の幸福を願うメッセージが込められています。また御所車宝船といった柄も、幸運や栄華栄達といった良い意味を持っています。

留袖の柄一つ一つに込められた意味をきちんと理解しておくと、結婚式の雰囲気や新郎新婦へのお祝いの気持ちも上手に表現できます。このように留袖の色と柄は、単に結婚式における装いというだけでなく、そこに込められた願いやメッセージを伝えるための重要な手段にもなりえます。適切な留袖を選び、新郎新婦への祝福の気持ちを形にしましょう。

次は、留袖レンタルのフルセット内容について、具体的なアイテムとその選び方について詳しく見ていきます。

留袖レンタルのフルセット内容

留袖レンタルのフルセットには、結婚式で必要となる主要なアイテムが一式含まれています。フルセットをレンタルするだけで留袖を着こなすのに必要なものが全て揃えられるため、別途アクセサリーや小物を探す手間を省くこともできます。

フルセットに含まれるもの

一般的に、留袖レンタルのフルセットには以下のアイテムが含まれます。

  • 留袖:結婚式に合わせて着用する、黒留袖または色留袖の本体。
  • 長襦袢:留袖の下に着用する襦袢。
  • :礼装にふさわしい、格調の高い文様の入った袋帯。
  • 帯締め・帯揚げ:帯を美しく見せるためのアクセサリーとなるパーツ。
  • 草履:和装に合わせる履物。
  • バッグ:和装に合わせたデザインのバッグ。
  • 足袋:和装用の靴下。レンタルにおいても、足袋は新品をサービスでもらえることがほとんどです。
  • その他の小物:髪飾りや末広(扇子)など、留袖スタイルを完成させるための小物類。

これらのアイテムがセットになっていることで、結婚式当日に必要なものを取りこぼさずに済むわけです。

小物選びのコツ

留袖レンタルのフルセットには基本的なアイテムが揃っていますが、小物選びには以下のようなポイントがあります。

  • テーマに合わせる:結婚式のテーマや雰囲気に合わせて帯や小物の色を選んでもよいでしょう。全体のコーディネートが引き締まります。
  • 個性を出す:基本的なアイテムを基調に、ところどころで個性を出せる小物(髪飾りや末広など)を選ぶと、独創的な装いに。ただし親族としての節度は大前提ですよ。
  • 快適さを考慮する:特に草履や足袋は長時間着用することを考慮して、見た目だけでなく快適さも重視して選びましょう。

留袖レンタルのフルセットを選ぶ際にはこうした点も考慮しておくことで、結婚式当日にも快適に着物を楽しむことができます。適切なアイテム選びで、格式高い留袖をより一層美しく着こなせるようにしてください。

まとめ

今回の記事では、留袖レンタルと結婚式における留袖選びについてご紹介してきました。改めて、以下のチェックリストとポイントを参考に準備を進めていきましょう。

留袖レンタルのチェックリスト

  • 予約のタイミング:結婚式の3〜6カ月前には留袖を予約しましょう。
  • サイズの確認:身長、体型に合った留袖を選びましょう。
  • デザインと色の選定黒留袖か色留袖かは立場を考えて。色留袖の場合はどの色にするか、柄もどんなものがいいかをよく吟味しましょう。
  • フルセットの内容確認:レンタルセットに含まれるアイテムをチェックし、足りないものがないか確認しましょう。
  • 試着:可能であれば実際に留袖を試着し、見た目と快適さを確認しましょう。

結婚式を彩る留袖選びのポイント

  • 小物でアクセント:帯締めや帯揚げ、髪飾りなどの小物選びで、留袖スタイルにアクセントを加えましょう。
  • プロの意見を参考に:不安や疑問がある場合は、着付け師やレンタルショップのスタッフに相談しましょう。プロの意見を取り入れることで、より洗練された留袖スタイルを完成させることができます。
  • 快適さも考慮:見た目の美しさだけでなく、長時間着用しても快適な留袖を選ぶことが大切です。

留袖は華やかな結婚式においてもひときわ気品を漂わせる着物です。適切な準備とチョイスによって特別な日をさらに美しく、忘れられないものにしましょう。今回の内容が、結婚式での留袖選びに役立つことを願っています。

〈参考記事〉
https://www.yumeyakata.com/formal/tomesode/set.html
https://kimono.support/mitake-kitake/
https://yourstyle.net/size/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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