賑やかな御所人形の黒留袖【tom07】

【初心者向け】結婚式で留袖を美しく着こなす!親族のための着方と選び方

はじめに

結婚式は、人生において非常に特別な瞬間の一つです。この大切な日において、留袖は参列する親族女性の正装として、長年にわたり愛されています。留袖を選ぶ際には、いろいろな慣習やマナーを理解しておく必要がありますが、普段の洋装とは大きく異なる留袖を、どのように選び、着用するか、疑問や不安を抱える方が少なくありません。本記事では、結婚式で留袖をまとう意義深さと、安心して留袖を着用するすべをご紹介します。

留袖とは何か

留袖は、日本の伝統的な礼装の一つです。ここでは、留袖の歴史的背景と文化的価値、さらに留袖の種類とその特徴について詳しく解説していきます。

留袖の歴史と文化的価値

留袖の歴史は古く、日本の着物文化と深く結びついています。もともとは室町時代に貴族や武家の女性が着用していたもので、その後、江戸時代に入るとより広く普及しました。留袖は、主に既婚女性が重要な式典や行事に参加する際に着用するものであり、格式高い装いとして現代においても重要な位置を占めています

留袖の種類と特徴

留袖には主に二つの種類があります。一つは「黒留袖」であり、もう一つが「色留袖」です。黒留袖は、その名の通り、地色が黒の、裾には華やかな模様が入った、格式が最も高い着物です。一方、色留袖は、黒以外の色を基調とした留袖であり、ややカジュアルな場や親族以外の人が着用することもあります。

このように、留袖は「どういったシーンで」「どのような立場の人が」着用するかによって、選ぶべき種類が異なります。今回は「結婚式における新郎新婦の親族が」留袖を着用する際の意義やマナーについて、もう少し深く掘り下げてみましょう

結婚式における留袖のマナー

結婚式は、新郎新婦はもちろんのこと、参列する親族にとっても記憶に残る重要なイベントです。ここで親族女性が着用する留袖には、さまざまなマナーが存在します。本章では、結婚式において親族が留袖を着用する意義と、留袖選びのポイント、親族で留袖を揃える際の注意点について解説します。

親族としての役割と留袖の重要性

結婚式における親族の役割は非常に重要です。特にお母さまや祖母お祖母さまなどの直接の親族は、新郎新婦を支え、祝福する立場として、結婚式の主役たる二人の背後でしっかりと構える必要があります。このような場において、留袖を着用することは、親族としての責任と誇りを象徴する行為です。留袖を通じて、親族は新郎新婦とその結婚に対する深い尊敬と祝福の気持ちを表現します。

また、留袖は結婚式における女性親族の間での一種の連帯感を生み出す役割も担っています。姉妹や叔母、いとこなど、年齢や立場を問わず、留袖を着用することで、一族としての結束を示すことができます。このように、留袖は単なる服装以上の意味を持ち、結婚式という特別な日における親族の役割と絆を象徴する重要なアイテムなのです。

留袖を選ぶ際のポイント:色と柄

結婚式で着用する留袖を選ぶ際の最も重要なポイントは、色と柄です。特に、以下のポイントを押さえて留袖を選ぶことが重要です。

  • 色の選び方黒留袖は、結婚式における最も正式な装いです。黒色の地に豪華な模様が施された留袖は、格式高い場にふさわしい選択肢とされ、新郎新婦のお母さまやお祖母さまなどの近い親族が着用します。黒色は他の色と比べて目立ちすぎず、新郎新婦を引き立てる役割も果たします。一方、お母さまやお祖母さま以外の親族女性が着用する場合、色留袖も選択肢の一つです。
  • 柄の選び方留袖の柄は、季節の花や伝統的な模様が用いられることが多いです。結婚式では、幸福を象徴する柄や、家族の絆を表す柄が好まれます。また、柄の配置にも注目し、バランスの良いデザインを選ぶことが大切です。
  • 紋の意味: 留袖には通常、家紋が入ります。五つ紋が入った留袖は最も格式が高く、親族としての立場や家族の歴史を象徴する重要な意味を持ちます。自分の家紋を正しく理解し、適切に選ぶことが重要です。

親族間で統一感を出す意義と注意点

結婚式において、親族間で留袖を揃えることは、結束力と一体感を表現する美しい伝統です。しかし、全員が完全に同じ留袖を揃える必要はありません。むしろ、以下のポイントに注意しながら、バランス良く留袖を選ぶことが推奨されます。

  • 新郎新婦の意向を尊重する結婚式の主役は新郎新婦です。彼らの希望や結婚式のテーマに合わせて留袖を選ぶことが重要です。事前に新郎新婦と相談を重ね、結婚式全体の雰囲気に合った留袖を選びましょう。
  • 立場に応じた選択:お母さまやお祖母さまなど、直接の親族はより格式の高い黒留袖を選ぶことが望ましいです。一方で、叔母やいとこなど少し遠い親族は、やや控えめなデザインを選ぶことが礼儀とされています。
  • 場の格式に合わせる:結婚式の場の格式や場所によって、留袖の選び方も変わります。正式な式場での結婚式では、より格式高い黒留袖を選び、カジュアルな場では色留袖を選ぶなど、場に応じた選択が求められます。
  • 柄のバリエーション:親族間で留袖を揃える際は、似たようなテーマの柄を選びつつ、それぞれに個性を持たせることが大切です。これにより、統一感は保ちつつも、おのおのの個性や美しさを引き立てることができます。

ここで、ゆめやで取り扱いのある二種類の留袖をご紹介します。まず左側は、おめでたくうれしい気持ちが一層増してくる、にぎやかなアンティーク黒留袖です。手描き友禅でぼかしが施され、御所人形、扇、小さな鯛、梅が描かれています。金色の紙吹雪の下で舞い踊る宴が催され、お祝いの気持ちを着物全体で表した一着となっています。帯は、白と朱の菱紋様の上に、吉祥紋様が描かれた袋帯を合わせました。お子さまやお孫様のお祝いの席に、国際交流の場に、どうぞお召しになってください。

次に右側は、光沢のある綸子地の現代物の色留袖です。一つ紋付きの柔らかいベビーピンク色に、波紋様が描かれ、漂う丸紋の中には、松、藤、橘、梅、紅葉などが丁寧に細かく手刺繍されています。衿や裾は比翼仕立てになっており、格調高い留袖です。帯は、西陣の川島織物の袋帯を二重太鼓に結びました。七宝柄の中に、さらに吉祥紋様が組み合わせられ、おめでたいお席にふさわしい品格を備えています

結婚式における留袖のマナーを守ることは、ただの形式ではなく、新郎新婦への敬意と愛情を示す行為です。色や柄を選ぶ際のポイントを押さえ、親族間でも統一感を出すことで、結婚式の格式を保ち、新郎新婦への敬意を示すことができます。

留袖の正しい着用と立ち居振る舞い

留袖を美しく着こなすことは、結婚式などのフォーマルな場での礼儀とも言えます。留袖の着用方法には、基本的な着方と小物の合わせ方という二つの重要な側面があります。これらを適切に行うことで、留袖の真の美しさを引き出し、格式ある装いを完成させることができます。ここでは、留袖の着用における基本的なステップと、小物を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

基本的な着用方法

留袖を着る際には、以下のステップに従って丁寧に行うことが重要です。

  1. 下着の準備:着物を着る前に、適切な下着を身につけます。和装ブラジャーを使用することで、胸元を平らにし、着物が美しく見えるようにします。
  2. 肌襦袢を着る:肌襦袢は着物と直接肌が触れないようにするためのものです。肌着を着ることで、着物が汚れるのを防ぎます
  3. 裾除けをつける:裾除けは、着物の下部分が直接足に触れないようにするためのものです。裾除けをつけることで、歩行時の着物の動きがスムーズになります
  4. 長襦袢を着る:長襦袢は着物の下に着るもので、着物と同じように左前が右前を覆うようにして着ます。長襦袢の衿は、着物の衿よりも少し外側に見えるように調整します。
  5. 留袖を着る:留袖を着る際は、背中心を正しく合わせ、前身頃を適切に折り合わせます。帯を締める前に、衿元と裾の長さを整えます。
  6. 帯を締める:留袖に合った帯を選び、適切に締めます。帯結びは、場の格式や自身の役割に応じて選ぶことが重要です。
  7. 小物をつける:帯締めや帯揚げなどの小物を適切に配し、全体のバランスを整えます。

小物との合わせ方

留袖を着る際には、小物の選び方が全体の印象を大きく左右します。以下のポイントに注意して、小物を選びましょう。

  • 帯締めと帯揚げ:帯締めと帯揚げは、留袖の色や柄に合わせて選びます。一般的には控えめな色合いのものを選ぶことが多いですが、全体のバランスを見ながら決めましょう。
  • 草履とバッグ:草履とバッグは、留袖と同じくフォーマルなものを選びます。色やデザインが留袖と調和することが大切です
  • 足袋: 足袋は白が基本です。清潔感があり、格式ある装いを完成させます。
  • アクセサリー:アクセサリーは、控えめで上品なものを選びます。派手すぎるものは避け、留袖の美しさを引き立てる役割を持たせましょう。

留袖の着用方法は、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的なステップと小物の選び方を押さえることで、誰でも美しく着こなすことができます。結婚式などのフォーマルな場で留袖を着る際は、これらのポイントを参考にして、伝統的な美しさを大切にした装いを心がけましょう。

留袖着用時の立ち居振る舞い

留袖を着用した際には、立ち居振る舞いに関しても、以下のようなエチケットが求められます。

  • 慎重な行動:留袖を着た場合、その動きや振る舞いには特に注意が必要です。急な動作は避け、落ち着いた行動を心がけましょう
  • 言葉遣い:留袖を着ている際は、言葉遣いにも気をつける必要があります。礼儀正しく丁寧な言葉遣いを心掛けることが大切です
  • 配慮ある態度:結婚式における他のゲストや新郎新婦に対して、常に配慮ある態度を示すことが求められます。周囲への気配りや思いやりのある行動が重要です。

留袖を着ることは、単なるファッションスタイルではなく、その人の社会的立場や内面的な美しさを表現する機会です。留袖を着用する際には、その社会的意味合いを理解し、適切な振る舞いを心がけることが重要となります

レンタルか購入か:結婚式における留袖着用

ここまでで、留袖の歴史や種類、選び方から、着用方法や立ち居振る舞いまでご紹介してきました。これらを理解したうえで、結婚式で実際に留袖を着用すると決めた場合、留袖を購入するか、あるいはレンタルサービスを利用する必要があります。どちらを選べば良いか迷う方も多いでしょう。ここでは、購入とレンタル、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

レンタル留袖と購入留袖のメリット・デメリット

留袖をレンタルするか購入するか、それぞれの選択肢には次のようなメリットとデメリットがあります。

  • レンタルのメリットレンタルにおける最大のメリットはコストパフォーマンスの高さです。また、必要な時にだけ、さまざまなデザインからそのシーンに合う一着を選べるため、自分の好みや結婚式のテーマに合わせやすいです。また、保管やメンテナンスの手間が省ける点も魅力の一つです。
  • レンタル留袖のデメリット:一方で、レンタル期間や返却の手続きに制約があるため、計画的に利用する必要があります。

  • 購入留袖のメリット:購入留袖のメリットは、完全に自分の好みに合わせた留袖を選べることと、大切な記念品として永く保持できることです。家族間で受け継がれる価値もあります
  • 購入留袖のデメリット最大のデメリットはコストです。高品質な留袖は非常に高価であり、保管やメンテナンスにも手間とコストがかかります。

多くの場合、一生に一度の特別な機会に自分だけの留袖を着たい場合は購入を、コストを抑えたい場合や一度限りの使用を考えている場合はレンタルがおすすめと考えられます。それでもレンタルするか購入するかに迷ったら、以上のポイントを考慮し、慎重に選択することが、成功への鍵となります。

レンタルを選んだ際の注意点

レンタルする際には、サイズやデザインを事前に確認し、必要な場合は早めに予約を入れることが大切です。また、レンタル契約の条件をよく読み、返却期限や損害時の対応について理解しておくことも重要です
本記事が留袖選びやレンタルサービスの利用に際しての不安を少しでも解消し、自分に合った選択をするための助力となれば幸いです。

まとめ

結婚式における留袖の選び方と着用は、日本の伝統と文化を体現する重要な役割を担っています。この記事を通じて、留袖の選び方から着用方法、レンタルと購入の違いまで、幅広い情報を提供しました。最後に、留袖選びと着用の際にチェックしておくべきポイントをまとめます。

留袖選びと着用の最終チェックリスト

留袖を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • 結婚式のテーマや色合いに合わせた留袖を選ぶ。
  • 新郎新婦や他の親族との服装の調和を考慮する。
  • 留袖の種類(黒留袖、色留袖)を式の格式に合わせて選ぶ。
  • 家紋の有無や種類を確認する。
  • レンタルか購入かを予算と今後の使用頻度を考慮して決める。
  • サイズが適切か確認する。
  • 小物(帯、帯締め、帯揚げ、草履、バッグ)を留袖と合わせる。
  • 着用時のエチケットやマナーを予習しておく。

結婚式で留袖を着ることの大切さと楽しみ方

留袖を着ることは、結婚式という特別な日において、親族としての尊厳と誇りを示す行為です。留袖はただの服装ではなく、家族の歴史や文化、絆を象徴する大切なもの。留袖を選び、着用する過程自体を楽しむことで、結婚式の思い出がより一層深いものになります

  • 伝統を学び、伝える:留袖選びを通じて日本の伝統や文化に触れ、次世代にその美しさを伝えていきましょう。
  • 家族との絆を深める:留袖選びや着付けの際に、家族とのコミュニケーションを楽しみ、絆を深める良い機会になります。
  • 自分だけのスタイルを楽しむ:自分に合った留袖や小物を選ぶことで、品のある中にも個性を表現し、自分だけのスタイルを楽しむことができます

留袖を着ることは、家族や親族としての幸せと誇りを共有する貴重な瞬間です。この美しい日本の伝統を大切にしながら、結婚式を心から楽しんでください。

<参考記事>
https://kitsuke-school.jp/basic/1614/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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