川面を帆掛け船が走る黒留袖【tom02】

【結婚式】留袖って?黒留袖と色留袖の違い、着物レンタル活用術など

はじめに

留袖は、日本の伝統衣装の中でも特に格式高い衣装としての地位を持つ和装で、現代でも女性が着用する着物の中でも最も格式の高い第一礼装として、結婚式などのフォーマルな場面で着用されています。

今回の記事では、長い歴史と文化を有する留袖の特徴や独特の魅力、その多様な表現性などについて深く掘り下げていきたいと思います。

留袖の世界へ:絹のぜいたくと伝統の手描き美

留袖の魅力は、着物自体が醸し出す品格と雰囲気にあります。

特に100%絹で作られた正絹の留袖は、触れるだけでその高級感とぜいたくさを感じられます。伝統的な手描き友禅などによる絵羽模様も職人の技術と心が込められた作品であり、それぞれに独自の物語を持っています。季節を感じさせる花柄や日本古来の美意識を映し出す古典柄などは、着る人だけでなく見る人にも深い感動を与えてくれます。

このようなことから、留袖はただの衣服を超えた歩く芸術品ともいえる存在となっています。

留袖の色彩と金彩:華やかな世界の入口

留袖の世界は色彩に満ちています。留袖には黒地に絵羽模様があしらわれた「黒留袖」と黒以外の地色の「色留袖」とがあり、どちらも絵羽模様は裾の部分にのみ施されています。

中でも金彩の技法が施された留袖は、その豊かな輝きで周囲の注目を集めます。自然光や室内の灯りによってさまざまに変わる金彩の表情は、留袖の持つ無限の可能性を象徴しているともいえます。

この金彩と組み合わされる絵羽模様のさまざまな色は、着る人の個性や立場、出席する場の雰囲気などを考慮して選ばれ、特別な日の装いに深みと華やかさを加えます。そういった留袖を選ぶ過程自体が、自己表現の一形態ともなりえるのです。

留袖の種類と特徴:黒留袖と色留袖

先ほどご紹介した黒留袖と色留袖の違いを見てみましょう。

女性の着物において特に格式高い衣装とされる留袖の中でも、既婚女性の第一礼装と呼ばれるのが黒留袖です。その品格を示すように五つ紋が入り、結婚式や披露宴における礼装として新郎新婦の母親や祖母、新郎新婦と関係が深い仲人夫人などが着用します。

色留袖は黒留袖と比較すると少しカジュアルなシーンにも対応できる着物といえます。こちらは既婚・未婚を問わず着用できますが、その一方で着用するシーンによって格式を示す紋の数を変える必要があるのが色留袖に特徴的な点といえます。

着用する場面や立場に応じて選び方が変わってくるため、その中からご自身にぴったりの一着を見つける喜びというのも格別なものがあります。留袖の選び方は、その人のセンスや場の雰囲気を反映する大切なプロセスともいえるでしょう。

「鹿の子紋様と古典柄の檜扇と菊の黒留袖【tom01】」は、昭和の初めころに作られた、錦紗縮緬(きんしゃちりめん)に菊づくしの五つ紋付アンティーク黒留袖です。真っ黒に染められた正絹に、花車、檜扇、菊が手描きされ、部分的に手刺繍や、金泥・銀泥(きんでい・ぎんでい)が丁寧に施されています。まだ仕付け糸が付いたまま、譲り受けました。帯にも、白地に扇が手刺繍されています。扇の中の牡丹や梅も手刺繍で描かれ、手仕事の温もりを感じる一品です。

留袖の選び方

留袖選びは、新郎新婦にとっての特別な日を彩るための重要なプロセスです。素材の選択から柄の意味、さらには色合いや金彩の組み合わせまで、留袖が持つ美しさと格調を際立たせる要素を理解することがすてきな留袖を選ぶための第一歩となります。

ここでは、そんな留袖選びにおけるポイントを紐解き、どのようにして自分に最適な留袖を見つけ出すかについてのアドバイスをお話しします。

素材の選択:正絹の留袖の高級感

留袖の魅力を最大限に引き出すための鍵は、なんといっても素材にあります。

高級な素材の代表格である正絹は、その上質な光沢と滑らかな肌触り、優れたドレープ性などで、留袖に深い高級感をもたらしてくれます。経年による自然な風合いの変化なども楽しむことができる正絹の留袖は、長い時間をかけて愛用することで、より一層の価値を増していきます。

着るほどに体になじみ、美しいシルエットを保つ正絹の留袖は、きっと特別な日の装いも格上げしてくれることでしょう。

留袖の文様を読む:御所車や鶴亀、松竹梅などの意味

留袖に施された文様は、見た目の美しさだけでなく、その背後にも豊かな物語と意味合いを持っています。

例えば、平安時代に貴族が乗っていた牛車を文様に表した御所車。貴族の優雅な生活の象徴であることから、高貴で典雅な雰囲気を演出してくれます。

鶴や亀は広く知られているように長寿や繁栄の象徴。松竹梅は常緑の松、力強く直立する竹、春にいち早く花を咲かせる梅の組み合わせで、生命力や長寿を表します。

こうした古典柄は縁起の良い「吉祥文様」と呼ばれ、それを身に纏って臨む場にも祝福の意味をもたらしてくれることから、結婚式など重要な式典での装いにも最適です。留袖の柄一つ一つに込められた願いを理解することで、その美しさにもさらなる深みが加わります。

色と金彩の美学:留袖選びの決め手

留袖の地色や絵羽模様に用いられる金彩も、留袖の魅力を大きく左右する要素となります。黒留袖から色留袖まで選択肢は多岐にわたりますが、その中でも金彩が施された留袖は、繊細な光の加減でさまざまな表情を見せ、装いに豊かな彩りと動きをもたらします。

留袖を選ぶ際、「黒か黒以外か」に関してはご自身の立場に依存する選び方になるものの、そこから先のどんな色を選ぶかという部分は着用する場の雰囲気やご自身の好みなどを検討材料として、最も心に響くものを選ぶことができます。

留袖選びは、自分自身の着こなしというだけにとどまらず、日本の伝統美を称える行為でもあります。正絹のぜいたくな質感、文様に込められた意味、豊富な色の組み合わせなどを通じて、特別な日にふさわしい唯一無二の留袖を選び出す喜びを堪能してください。

「川面を帆掛け船が走る黒留袖【tom02】」は、白黒のぼかしの中に青海波と帆掛け船が見事に手描き、手刺繍された、昭和初期の五つ紋付きアンティーク黒留袖です。当時は斬新なデザインだったことでしょう。裏には赤い紅絹という生地が使われています。麻布のお嬢さまが、お嫁に行かれるときにお誂えになった留袖です。帯は、おめでたい図柄の松竹梅、菊、笹、梅が手刺繍で描かれています。お身内の大切なお席に、粋なアンティーク黒留袖でご出席なさってはいかがでしょうか。

留袖のレンタルと購入

結婚式や披露宴などの場にふさわしい装いである留袖。フォーマルな場に臨むにあたり、留袖を調達するには大きく分けて「レンタル」「購入」という二つの方法があります。

どちらの手段を取るかは留袖を着用する頻度、予算、あるいはご自身の価値観などによって変わってきます。ここでは留袖を着物レンタルで用意することの利点、反対に留袖を購入することの意義、そして留袖を探す際のお店選びなどについて、それぞれ詳細に掘り下げてみたいと思います。

留袖レンタルのメリット:高価な着物を手軽に

留袖を着物レンタルサービスで用意することの最大のメリットは、そのコストパフォーマンスの良さ手軽さにあります。

一生のうち何度も訪れるわけでもない機会のためにわざわざ高価な留袖を購入するというのは、見方によってはもったいない気がしてしまうかもしれません。その点、結婚式の期間だけレンタルを利用すれば、手頃なレンタル価格で留袖を着用することができます

また、購入すると同じ色柄の留袖を何度も着ることになりますが、レンタルならその機会ごとにさまざまな色や最新のデザインを選べるのもメリットです。レンタルサービスは和装小物一式や着付けのサービスなどを含むセット商品が用意されている場合も多く、当日までの準備の手間も大幅に減らすことができます。

着用後は返却するだけなので、購入する場合と違って繊細な着物を保管したり専門のクリーニングに出したりといった煩わしさもありません。こうしたことから、特に普段着物を頻繁に着る機会がない方にとって、レンタルは魅力的な選択肢となります。

留袖を購入することの意義:一生ものの記念として

レンタルの利点がこれだけあるのに対し、それでも留袖を購入することの魅力はどこにあるのでしょうか。

最大の意義は、購入することで得られる個人的な価値と記念としての意味です。

自分自身や家族のために迎え入れた留袖は、世代を超えて受け継がれていく家宝にもなりえます。購入した留袖は結婚式を終えても家に残るため、今後着用するたびにその日の思い出が呼び起こされ、さらに時間が経つにつれてその価値も増すことでしょう。

ご自身の体型や好みに合わせて自由に仕立て直しができる点も購入のメリットといえます。留袖は決して安価なものではありませんが、以上のような意味から家族の伝統や個人的な愛着がいつまでも形に残る、一生ものの投資であるともいえるかもしれません。

購入とレンタル、どこで留袖を探す?

留袖を探す場所は、レンタルか購入かによって異なります。

留袖のレンタルは、実店舗のレンタルショップに加えてネットの着物レンタルサービスなどでも利用することができます。いずれも最新のトレンドやさまざまなスタイルの留袖を豊富に取り揃えており、スマートフォンや自宅のパソコンなどからそのラインナップを気軽に見比べることが可能です。

購入の場合は、専門の着物店やアンティークショップが良質な留袖を提供しています。専門店では一つ一つの留袖についてプロのスタッフから詳しい説明を受けることができるので、ご自身の着用予定や長期的な計画など、さまざまな思いを相談してみるのもよいでしょう。きっと着物店ならではのアドバイスを行ってくれるはずです。

この章で述べてきたように、レンタルと購入にはそれぞれに異なるメリットがあります。大切なのは、ご自身の予算やフォーマルな場に合致するニーズ、ライフスタイルなどに適したチョイスをすることです。いずれにしても最適な留袖を選んで、特別な日をより美しく、思い出深いものにできるようにしましょう。

留袖のお手入れと保管

日本の伝統と文化を象徴する衣装である留袖。だからこそ、適切なお手入れと保管によってその価値と美しさを長期にわたって保ちたいものです。

ここでは、前章で留袖を購入した場合などにおけるクリーニングの方法や保管のテクニック、修復や仕立て直しなどについて、具体的に見ていきます。

留袖の正しいクリーニング方法:美しさを長く保つ秘訣

留袖のクリーニングは、素材の特性を理解した和装専門のクリーニング店に依頼するのが確実です。

特に正絹など自然由来の素材を使用した留袖は、適切な処理を施さなければたやすく汚れやシミができてしまいます。着用後はよほど自信がない限り自分で手洗いや洗濯などは行わず、できるだけ早く専門店のクリーニングに出して汚れを落とすことが大切です。

留袖の色褪せや生地の傷みを防ぎつつ、長年にわたって留袖の美しさを保つためにも心得ておきましょう。

留袖の保管テクニック:素材を守る方法

留袖の保管には、湿度管理が非常に重要です。直射日光を避け、なるべく風通しの良い場所で保管するようにしてください。

留袖はシワにならないようきれいに折り畳んで「たとう紙」で包みます。乾燥した晴れの日には陰干しを行うことで虫害や湿気によるカビを予防しましょう(「虫干し」)。

たとう紙は定期的に交換する、桐たんすを活用するなど、保管環境を適切に整えることで、留袖の美しい状態を長く保つことができます。

留袖の補修と仕立て直し:受け継がれる美を再生する

留袖が傷んでしまった場合やサイズの変更が必要な場合などには、補修や仕立て直しを検討しましょう。着物を専門にお直しを行っている店舗に持ち込めば、留袖の生地や柄に合わせた修復技術で、留袖を元の美しさに近い状態へ戻してもらうことができます。

また、仕立て直しによって現代人の体型に合わせた調整などを施すことも可能です。留袖の価値を長く保つためにも、修復や仕立て直しは大切な選択肢の一つとしてよいでしょう

適切なケアを施すことで、留袖の美しさを長い期間保ち続けることができます。保管やクリーニング、必要に応じて修復や仕立て直しなども行うことで、留袖も次世代へと受け継ぐことができる貴重な文化遺産となります。

まとめ

着物のレンタルは伝統的な日本の和装文化に手軽に触れることができるサービスです。留袖をはじめとする多種多様な着物を通じ、日常から離れた束の間の非日常を体験することができます。

この記事のまとめとして、数ある着物の中での留袖の立ち位置や魅力、着物レンタルを最大限に楽しむためのアイデア、そして忘れがたい着物体験を実現するための秘訣をご紹介します。着物を通して、新しい発見や感動を経験していただければ幸いです。

留袖という着物が意味するもの

数ある和装の中でも、最も格式のある第一礼装と呼ばれる着物が留袖です。中でも未婚者には着ることが許されない黒留袖は、既婚者の第一礼装として新郎新婦の母親や祖母などだけが着用できる特別な立ち位置を確立しています。

それに対して黒以外を基調とした色留袖は三つ紋、一つ紋など紋の数を工夫することで、準礼装として親戚の結婚披露宴やパーティーなどで着用できる懐の広さを持ちます。いずれにしても訪問着や付け下げなどのカジュアルな着物とは着用シーンが異なる、周囲への礼儀を示す意義を持つ着物といえるでしょう。

着物レンタルで味わう、非日常の一日

留袖を用意する際に着物レンタルを利用することの最大の利点は、日常では着用機会のない着物を気軽に入手することができる点にあります。購入するという選択肢も気になっているけれどまだ勇気が出ないという人も、留袖を着用する場に合わせてまずはレンタルを利用してみて、その後長期的にも留袖を着たいと思えるようであれば本格的に検討する、という考え方もよいかもしれません。

最高の着物体験をするために

着物の着用体験をすてきなものにするためには、着用シーンに合わせた着物選びはもちろん、着物にマッチしたメイクやヘアセット、美しい着姿を保つための正しい着付け方や和装小物の組み合わせ方など、トータルコーディネートの要素となる細部一つ一つに気を配ることが不可欠です。

着物のレンタルショップなら着付けのサービスやヘアセットのオプションなども用意されていますので、これらを賢く利用しながら、気軽に着物の世界に足を踏み入れてみてくださいね。

〈参考記事〉
https://sakuto.jp/kimono-column/tomesode_kimono/
https://kimono-rentalier.jp/column/tomesode/irotomesode-kurotomesode-chigai/
https://www.studio-alice.co.jp/seijin/furiho/furisode_pattern/
https://www.kimono-tuji.com/storage/
https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/irotomesode/222/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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