錆納戸色に紅葉と亀甲の一つ紋付訪問着【hou160】

【プロ監修】小学校の卒業式に出席する母親向け!着物の選び方ガイド

はじめに

「卒業式」という言葉を聞いて、どんな印象を受けますか?新たな門出やお子さまの成長、親としての誇らしさなどを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

そんな卒業式に出席する母親にとって悩みの種となるのが、どんな服装で出席すれば良いか、ということです。卒業式には洋装の母親も多いですが、なかには着物を着たいと思っている方もいるのではないでしょうか

そこで今回は小学校の卒業式に適した着物の選び方気を付けるべきポイントなどをご紹介いたします。コーディネートや小物の選び方についてもまとめていますので、卒業式に着物を着たいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

卒業式に母親が着物を選ぶ理由

母親が卒業式に着物を選ぶ理由はさまざまです。以下では、そのいくつかの理由をご紹介します。

  • 格式のある装い: お子さまの卒業式という大事な日だからこそ、格式のある着物がふさわしいと感じている母親も少なくありません。
  • 着物を着るチャンス: 現代ではあまり着物を着る機会がないため、貴重な着物を着る機会の一つとして捉えている方もいます。
  • 地域の習慣: 地域や学校によっては、お子さまの卒業式は着物が一般的という場合もあります。

上記はほんの一部であり、他にもさまざまな理由があるでしょう。しかし、どんな理由であれ、意識したいのがお子さまの卒業式という場にふさわしい着物を選ぶということです。今回の記事を通じて、卒業式の着物選びをスムーズに進めていただければ幸いです。

卒業式に着る母親の着物の種類

小学校のお子さまの卒業式に出席する際、どんな着物を選べば良いか迷っている母親もいるでしょう。特に着物にはいくつか種類があるため、何が正解なのか迷われてしまう方は多いです。

お子さまの卒業式に着ていく着物としてふさわしいと言われているのが、「訪問着」「付け下げ」「色無地」の着物です。以下では、各着物の種類についてご紹介いたします。

訪問着とは?

訪問着は、礼装の一つで、卒業式のほか、入学式やゲストとして参加する結婚式、パーティーなど、さまざまな場面で活躍してくれます。

訪問着の特徴の一つが、縫い目部分の模様がつながった、絵羽模様です。色や柄も豊富な種類があるため、着用するシーンに合わせて選ぶと良いでしょう。卒業式のような場では、落ち着いたデザインのものが好まれます。

ゆめやの訪問着から1着ご紹介します。落ち着いた銀鼠色に辻が花が描かれた上質な訪問着。すっきりとしたスクエアに柄が描かれていますので、大人っぽい雰囲気になります。帯は濃いめゴールドの袋帯で、引き締まった印象に。30代・40代のお母さまにおすすめの逸品です。

付け下げとは?

付け下げも訪問着と同じく、フォーマルなシーンに着ていける着物です。訪問着よりも格は下がりますが、卒業式のほか、入学式や結婚式などでも着用することができます。帯などの小物の合わせ方によっては、カジュアルなシーンでも活躍してくれるでしょう。

年齢を問わず着られるデザインが多いので、幅広い年代の方におすすめです。訪問着と似ていますが、控えめなデザインのものが多いので、落ち着いた印象の着物を探したい方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

アイボリーにチューリップが咲く春の付下げ」裾やお袖に描かれたチューリップが春らしい雰囲気を出してくれます。まさに卒業式や入学式にふさわしい付け下げの着物です。

色無地とは?

色無地とは、その名の通り、柄が入っていない黒以外の無地の着物を指します。柄がないため、使う帯や小物によって全体の印象が変化します。

また、紋の数によって格が変わり、一つ紋を入れると略礼装として着ていくことができます。また、三つ紋以上を入れると、訪問着よりも格が上がります。逆に、紋が入っていないものはカジュアルな場面で活躍してくれるため、TPOに合わせて紋の有無を選ぶと良いでしょう

若苗色に織り柄の一つ紋付色無地」無地と言っても、華や鶴の織り柄があり上品さがあります。無地の着物だからこそ、柄の袋帯が引き立ちます。花菱の一つ紋付ですので、卒業式などのフォーマルな場所にも最適です。

卒業式の着物コーディネートのポイント

着物を選ぶ際には、どのようなシーンで着るのか、どんなコーディネートが適しているのか、といった点を気にされる方も多いですね。特に、卒業式のようなフォーマルな場での着物選びは、一つ一つの要素を大切にしながら選んでいくことが求められます。

母親として上品で適切なコーディネートで出席することは、自分自身のためだけでなく、お子さまに対する気配りとしても重要です。では、具体的にどんなポイントを意識すれば良いのでしょうか。

  • 色選び: 卒業式の主役はあくまでもお子さまですから、悪目立ちするような派手な色合いは避けた方が良いでしょう。淡いブルーやピンク、グレーなど落ち着いた色合いの着物を選ぶことで、上品な印象を与えることができます。
  • 柄の選び方: 着物の柄は、華やかすぎない、控えめなものを選ぶことで、周りの方々とも調和しやすくなります。お子さまが主役となる卒業式の場では、柄の主張が激しい着物は、避けるのが無難でしょう。
  • 帯の選び方: 卒業式はフォーマルな場面ですので、それに合わせて帯もフォーマル用の袋帯を選ぶと良いでしょう。ただし、派手すぎる帯は、悪目立ちしてしまいますから、注意してください。

これらのポイントを組み合わせることで、卒業式にふさわしい、上品で適切なコーディネートを楽しむことができます。

レンタルと購入、どちらがおすすめ?

卒業式のための着物選びでは、もう一つの大きな選択が待ち受けています。それは、卒業式に着る着物を「レンタル」するか「購入」するかという選択です。ここでは、レンタルと購入、それぞれのメリットや注意点をご紹介いたします。

レンタルのメリットと注意点

メリット

  • 予算を抑えられる: レンタルであれば、高い品質の着物や帯、小物一式をまとめて借りても、購入するより費用負担を抑えられることが多いです。特に、一度きりの使用を予定している場合は、購入するよりも経済的でしょう。
  • 幅広い選択肢: レンタル専門の店舗では、さまざまなデザインや色の着物があるため、着用シーンに合わせて選ぶことができます。お子さまの卒業式に適した着物が分からない場合は、店舗のスタッフに相談すると良いでしょう。
  • 手間を省ける: 購入の場合は、自分で着物のお手入れをしなければなりませんが、レンタルの場合は、着用後に返却をするため、お手入れの心配がありません。また、保管場所の用意や管理の必要もなく、手間を省けます。

注意点

  • 返却期限を守る: レンタルした着物は、指定された期限内に返却しなければなりません。期間内に返却できない場合は、延長料金が発生することもあるので、事前に返却期限や返却方法をしっかりと確認しておきましょう。
  • 取り扱いに注意: 着物はデリケートな衣類のため取り扱いには注意が必要です。汚れの度合いによっては別途料金が発生する場合もあります。天気が悪い日に着用する場合や、食事をする予定がある方は、特に汚れやシミなどに注意しながら着用してください。
  • 自分のサイズがあるか確認: 身長や体型によっては、着たい柄やデザインが置いていなかったり、種類が少なかったりします。心配な方は、事前に自身のサイズを測り、店舗に確認を取ると安心です。

購入のメリットと注意点

メリット

  • 繰り返し着用できる: 訪問着、付け下げ、色無地は、卒業式以外のシーンでも活躍してくれる着物です。複数回着用する予定があったり、今後積極的に着物を着用したいと思ったりしている場合は、レンタルよりも購入した方が結果的に安く済む場合もあります
  • 家族と共有できる: 着物は、管理をしっかりと行えば、長い間着ることができます。保存状態が良い着物は、お子さまやお孫さまなどに受け継ぐこともできます。
  • 自分だけの着物を仕立てられる: イチから着物を仕立てる場合、自分の体型にしっかりとフィットした着物を手に入れられます。体に合った着物は、着物姿をより一層美しく見せてくれますよ。

注意点

  • メンテナンスが必要: 購入の場合は、レンタルと違い、自分自身で着物のメンテナンスをしなければなりません。汚れやシミができた場合は、専門のクリーニング店にお願いすると良いでしょう。
  • 保管場所の用意: 保管を誤ると、カビやシミなどが発生してしまうこともあります。着物を適切に保管できる場所を用意すると共に、適切な管理を行うようにしましょう。
  • 費用がかかる場合も: 着物の価格はピンからキリまでで、それなりに良いものを用意したい場合は、ある程度の出費は覚悟しなければなりません。予算を明確にしてからお店に相談に行くとスムーズでしょう。

レンタルと購入、どちらが良いということはありません。人によって選ぶべき選択肢は異なります。いずれの場合も大切なのが、それぞれのライフスタイルや予算、好みに合わせて選ぶことです。どちらを選ぶにしても、特別な日に美しい着物を着て、心からのお祝いの気持ちを表現することができれば、それが最も良い選択と言えるでしょう。

卒業式の着物に合わせたい小物

着物に合わせる小物は、コーディネートを左右する重要なポイントです。ここからは、母親が着る卒業式の着物に合わせたい小物の中から、草履・バッグ・足袋についての選び方のヒントをご紹介いたします。

草履

草履は、着物を着る際に足元を彩るアイテムです。卒業式、カジュアルなデザインは避け、フォーマルな場にふさわしいものを選びましょう。また、サイズもきちんとフィットするものを選ぶことが大切です。自身の足のサイズに合っていない草履は歩きにくいため、必ず足に合ったものを選びましょう

礼装用の草履は金地やクリーム色のものが多く、鼻緒に織り柄や刺繍が施されています。

左端「金地に織りの鼻緒の礼装用草履」は金地に淡いピンクの織りの鼻緒が可愛らしい礼装用の草履です。さまざまな色の着物に合わせやすいですね。中央「クリーム色に金銀花唐草の鼻緒が輝く礼装用草履」黒とメソや訪問着に合わせていただける唐草模様のシックな礼装用の草履です。右端「金の土台に白いレース編み鼻緒の礼装用草履B」礼装の着物でしたらどんな着物にも合わせやすい金色の草履です。鼻緒に白いレースがあしらわれていますので、春から夏にかけて使用することで涼しい雰囲気を出すことができます。

バッグ

バッグは、全体のコーディネートを引き締めるアイテムとして重要です。卒業式では、和装用の礼装用バッグを選ぶと良いでしょう。草履と色味を合わせてコーディネートすると、一体感が生まれます。

左端「金駒イメージの格式高い金銀ビーズバッグ」黒留袖や訪問着に合わせていただける格式のあるビーズバッグです。落ち着いた色の着物では華やかなアクセントとなるでしょう。中央「ノスタルジックなゴールドのビーズバッグ」色無地の着物に濃いめのゴールドの帯を合わせ、こちらのビーズバッグを持つと帯とバッグの一体感が出ます。右端「薄桃色に梅の花のビーズバッグ」薄桃色のビーズバッグは、春の入学式や卒業式にぴったりの温かい雰囲気があります。濃いめの着物に合わせても春らしい柔らかい雰囲気にしてくれるでしょう。

足袋

色や柄の入った足袋は、カジュアルな印象を受けるため、卒業式のような場面では適切ではありません。フォーマルな場面で着る場合は、白い足袋を選ぶのが基本です。

年代別・体型別の卒業式の着物の選び方

ここまで、母親が卒業式に着る着物の基本的な選び方についてご紹介いたしましたが、自身により合った着物を選びたいという方も多いでしょう。そこで、ここからは、年代や体型に合わせた着物選びのヒントをご紹介いたします。

年代別の着物の選び方

以下の年代別の着物の選び方は、この年代だからこの色や柄を着なければならないというものではありません。あくまでもヒントとして参考にし、自分の好みやなりたいイメージに合わせて選ぶと良いでしょう。

20代は、若々しさを感じられる明るい色味の着物が似合います。とはいえ、卒業式の主役はあくまでもお子さまですので、派手すぎる色や柄は避けた方が良いでしょう。

30代・40代の母親は、落ち着いた柄や色合いの着物を選ぶと良いでしょう。ただし、地味すぎる色合いは年齢が高く見えてしまうこともあります。

50代以上の母親は、明るい色の着物は、華やかすぎてしまう場合もあります。淡い色合いやシックな色合いなどが似合います。

年齢が上がると似合う着物の柄やデザインが変わることもあります。実際に着物を合わせて見るなどして、自分に似合うのかどうか確認をすると良いでしょう。

身長や体型に合わせた着物の選び方

着物は、身長や体型に合わせて選ぶことで、より美しいシルエットを引き出すことができます。以下では、身長や体型に合わせた着物の選び方をご紹介いたします。

身長が低めの方は、同系色で統一するようなコーディネートをしたり、小さめの柄が施された着物が似合います。逆に高身長の方は、メリハリがあるコーディネートや大ぶりな柄を選ぶと良いでしょう。

また、細身の方は、優しい雰囲気の色合いを、ぽっちゃり体型の方は、直線的な柄の着物を合わせると似合うでしょう。

まとめ

母親としての卒業式での着物の楽しみ方

卒業式は、お子さまの成長を感じる大切な門出の日です。母親として、この特別な日を着物で迎えることは、一生の思い出として心に刻まれることでしょう。

今回は、母親が卒業式に着ていく着物を選ぶ際に参考になる情報をお届けしました。以下は、ご紹介した内容中でも特に、意識したいポイントです。

  • 着物の種類: 母親が卒業式に着る着物には、訪問着・付け下げ・色無地がおすすめです。
  • 色や柄の選び方: 卒業式の場にふさわしい落ち着いた柄や色合いの着物を選びましょう。
  • 帯や小物の合わせ方: フォーマルなシーンにふさわしい帯や小物を合わせてください。

ぜひ今回の記事を参考に、お子さまの卒業式に着る着物選びを進めてくださいね。

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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