江戸友禅に手刺繍の南蛮船、大彦製五つ紋付黒振袖【tom44】

【結婚式】新郎新婦の母親向け和装レンタルの秘訣|黒留袖の選び方

はじめに

結婚式は、新郎新婦にとっての人生で最も記憶に残るイベントの一つであると同時に、新郎新婦の母親にとってもわが子の記念すべき日に自身も美しくありたいと願う場であることと思います。

母親として結婚式に臨む衣装として、和装、特に黒留袖は大切な日にもふさわしい選択となります。今回の記事では、そんな留袖を用意する際のレンタルの流れ、予約の方法、必要な小物の選び方などを解説していきます。

着物に詳しくない方でも分かりやすく、また和装を選ぶ際のお手伝いとなれるような記事となれば幸いです。

黒留袖の基礎知識:結婚式で輝く母親の和装をレンタルで

結婚式は新郎新婦にとっての大切な一日であり、その家族にとっても新たな門出を祝う日となります。特にその母親にとっては、主役である新郎新婦に最も近しい親族として、お祝いに来てくれたゲストへの感謝を示す立場が求められます。

黒留袖は、そのような母親の立場にもふさわしい選択肢となる和装です。ただ、そんな黒留袖を選ぶ際にも何を基準に選べばよいのか、レンタルをどのように利用したらよいのかなど、分からない部分も多いのではないのではないでしょうか。

まずは黒留袖の選び方や和装レンタルのメリットなど、基本から解説していきます。

母親のための留袖選び

母親にとって、結婚式はお子さまの門出を祝う大切な日です。この日の和装選びは、特に慎重に行いたいものです。

黒留袖は既婚女性の第一礼装であるため、新郎新婦の母親が着用する衣装としても定着しています。黒留袖には縫い目を跨いで絵画のように施された絵羽模様と呼ばれる絵柄が裾部分にのみ入っているのが特徴で、その模様も松竹梅や雪輪、宝船といった縁起の良いものが多く選ばれています。その点もおめでたい結婚式の場にぴったりといえるでしょう。

黒留袖が文字通り黒を地色にした留袖である一方、色留袖と呼ばれるものも存在します。こちらはいわば「黒以外の留袖」で、既婚・未婚を問わず着用できます。黒留袖と比較するとカジュアルな立ち位置にあり、留袖において格式を上下する指標である紋の数によって黒留袖に近い格を持たせることも可能ですが、やはりゲストを迎えるという母親の立場を踏まえ、色留袖ではなく黒留袖を着るのが主流となっています。

和装を手軽に揃える、レンタルのフルセット商品

結婚式の和装選びにおいて重要なのは、全体の調和です。

和装レンタルで用意されているフルセットの商品では、本体となる留袖はもちろん帯や草履、バッグといった小物まで全てが一式揃えられています。プロの目線で吟味したコーディネートにより、和装の知識がない方でもマナーをわきまえた装いを完成させることができます。

先ほども少し触れたように、留袖においては紋の数によってその格式を調整します。すでに所有している留袖であれば生家あるいは嫁ぎ先の家紋が入ったものを使用することになりますが、レンタルの場合には誰でも使用できる「通紋」と呼ばれるものが入ります。そのためレンタルの利用時に紋の種類について気にする必要もありません。

プロの目で色や形が調和するようチョイスされた留袖や和装小物によって、統一感のある装いを簡単に実現できます。自分で小物一つ一つを調達する手間も省けるため、フルセット商品のレンタルを利用することで、時間と労力を大幅に節約しながら結婚式にふさわしい母親としての立ち姿を確実に演出できるのです。

留袖レンタルの選び方:母親にぴったりの和装を

留袖選びは、結婚式における母親としての立場を明確に示す重要な和装選びでもあります。サイズや形、そして模様選びなどについて見ていきましょう。

和装のサイズは身長とヒップサイズを目安に

留袖に限らず、和装におけるサイズ選びはその着姿を左右する重要な要素でもあります。多くの和装レンタル店では身長とヒップサイズによっていくつか着物ごとにサイズ分類がなされているため、正確な採寸によってご自身の数値を把握し、体型に合わせた留袖選びを心がけましょう。

可能であれば和装レンタル店で試着も行い、店舗スタッフとも相談をしてみるなどして、最適な留袖を見つけられるようにしてください。

留袖の模様と色の意味

留袖に施された絵羽模様には、いわゆる吉祥文様が数多く散りばめられています。祝いの場の意味合いを演出する模様について、個別に見ていきましょう。

  • 鶴亀や松竹梅:いずれも長寿や不老を願う定番のモチーフです。
  • 貝桶:二枚貝を合わせた貝桶は、二つで一組であることから夫婦円満の象徴に。
  • 扇や宝船:見た目にも分かるその縁起の良さは、栄華栄達や発展といった意味を持ちます。

留袖における色については先ほどご紹介した通りです。母親という立場であれば基本的には黒留袖を選ぶことになりますが、黒地だからといって没個性で地味というわけではなく、絵羽模様に使われる金や銀で華やかさや気品も演出できます。

「岩と流水に松と鷲の五つ紋付黒留袖【tom23】」は、苔むした岩と流れる清水に、松の木と鷲の家族が、手描き、手刺繍で描かれた五つ紋付きアンティーク黒留袖です。雄と雌のつがいに、5羽の雛が描かれ、たいへん縁起の良い絵柄です。袖口には比翼がほどこされ、正絹の上質さと、絵柄の貫録にあふれた着物です。

和装レンタルサービスの利用手順

結婚式における和装レンタルは、特別な日の装いを賢く手軽に揃えてくれる便利なサービスです。和装レンタルのサービスを利用する際の流れについてあらかじめ大まかにでも把握しておくことが、ストレスのない和装の手配にもつながります。

和装レンタルの手順はシンプルなものですが、事前の下見や予約、契約時の細かな注意点などはしっかりと押さえておきましょう。

下見と予約の重要性

和装レンタルで理想の留袖を見つけるためにも、可能であれば実際に店舗を訪れて留袖や小物を直接目で見て、触れることで質感や色合いを確かめておきたいものです。下見の際には留袖のサイズ感やデザインだけでなく、帯や草履、バッグといった和装小物とのコーディネートも意識してみましょう。

また、予約は可能な限り早めに行うのがおすすめです。特に春や秋などの人気シーズンや土日祝日に結婚式が行われる場合は、希望した留袖がすでに予約済みだったという可能性も出てきます。早め早めに予約を行うことで、選択肢が豊富にある時期から理想の留袖を確保することもできます。

レンタル契約時の注意点

レンタル契約を交わす際には、レンタル期間や返却方法、キャンセルポリシーなどを必ず事前に確認しておきましょう。留袖や和装小物に汚損が生じた場合の対応や、そのほか追加料金が発生する条件などもあらかじめ把握しておく必要があります。契約内容をしっかりと読み、不明点があればお店のスタッフに、あるいはサイトのメールフォームなどで質問するようにしましょう。

式当日に備えて、留袖や小物の取り扱い方法や着付けに関するアドバイスなども受けておくと安心です。和装レンタルのサービスをフルに活用して、結婚式における母親としての着姿を美しく、そして心に残る一日にするための準備を整えましょう。

結婚式当日の和装準備

結婚式当日、新郎新婦の家族という立場はとても忙しいもの。母親としての役割を果たすために、その着姿を整える着付けや和装小物の準備も重要になってきます。

留袖の着付けと注意点

自分で着付けに挑戦する際に覚えておきたい基本的なポイントです。

  • 肌着の正しい重ね方:留袖に限らず、着物の下はまず肌襦袢→長襦袢の順に着用します。肌着は留袖の下にスムーズに収まるように。黒留袖においては長襦袢は白色が原則です。
  • 帯の種類と結び方:留袖の印象を大きく左右する帯は、伝統的には丸帯が用いられてきましたが、近年では扱いやすさから袋帯が主流となっています。「おめでたいことは何重にも」という意味を持つ二重太鼓で、年配の方の場合は低い位置で結ぶようにします。

和装小物との調和

和装小物は留袖の美しさをさらに引き立てる大切な要素です。ここでは特に、草履とバッグについて具体的に見ておきましょう。

  • 草履:正礼装である黒留袖には、同じく礼装用であるかかとの高いタイプの草履を選びます。4センチから6センチ程度あるものを選ぶとよいでしょう。草履自体の色も黒留袖には金か銀が原則。特に台と鼻緒が同色のもの、あるいは同素材のものがふさわしいとされています。
  • バッグ:和装バッグも草履と同様、礼装用のものを選びます。草履とバッグを金なら金、銀なら銀と同じ色で統一するのがスマートです。レンタルの場合は両者がセットになっていることも多く、デザインも共通性のあるもので揃えられているため手軽に調和の取れた装いが目指せます。

草履やバッグといった小物選びにおいては、黒留袖との調和を意識することが大切です。

結婚式における和装レンタルの費用と相場

結婚式での和装レンタルは、特別な日にふさわしい装いを完成させるための賢い選択肢です。ただ、多くの方が気になるのがその費用面ではないでしょうか。

和装レンタルの費用はさまざまな要因によって異なりますが、ここでは留袖レンタルの一般的な価格について、また費用を抑えるためのコツなどについてもご紹介します。

レンタル価格と予算

留袖レンタルの価格は一式のセット内容やレンタル期間、商品個々の品質などによって大きく変わってきますが、一般的には留袖フルセットでのレンタル料金は数万円から数十万円の範囲で設定されています。フルセットには留袖本体のほか帯や帯揚げ・帯締め、草履とバッグ、半衿付きの長襦袢、衿芯や帯板、末広などが含まれます。

予算計画を立てる際には、まず必要なアイテムが全て含まれたフルセットの価格を確認し、それに着付け料や美容料(ヘアセットやメイク)を加えた総額を考慮に入れるとよいでしょう。

費用を抑えるコツ

和装レンタルの費用を抑えるには、いくつかポイントを押さえることが重要です。

  • 早期予約割引を利用する:レンタル店によっては、数カ月前からレンタルを確約することで割引が適用される場合もあります。
  • 必要なアイテムだけを選ぶ:フルセットではなく、必要なアイテムだけを個別にレンタルするのも一つの方法です。ただしトータルでフルセットの方がお得な場合も多いため、総額を比較してみましょう。
  • 複数の店舗を比較する:見た目にはそう変わらない黒留袖でも、店舗によって価格やセット内容が異なることが多々あります。複数の店舗を比較し、最もコストパフォーマンスの高いレンタルプランを選ぶようにしましょう。

レンタルサービスの利用方法次第で、予算内で理想の装いをかなえることも十分に可能です。事前の準備と計画をしっかりと行って、特別な日を賢く演出しましょう。

「江戸友禅に手刺繍の南蛮船、大彦製五つ紋付黒振袖【tom44】」は、江戸時代から明治時代に工芸家・収集家として活躍した野口彦兵衛のアンティーク黒留袖です。愛好家の間では大彦として有名です。南蛮船だけを手描き・手刺繍した黒留袖は、正絹の質、染めの深さ、江戸友禅の雅さ、手刺繍の細かさともに秀逸です。五三の桐の五つ紋が印されています。市松と花々が織り出された丸帯でコーディネートしました。

結婚式の和装レンタルでよくある質問

結婚式での和装レンタルに関して、特によく問われているポイントをご紹介します。結婚式当日をスムーズに迎えるためにも、起こりやすいトラブルや対処法をしっかりと心得ておきましょう。

和装レンタルの期間について

レンタルの期間については、結婚式における和装レンタルでも特に注意しておかなければならない点といえます。

  • 例えば結婚式が土曜日に行われる場合、木曜日ぐらいからレンタル期間を設けるのが一般的です。これによって、金曜日に十分な準備時間を確保できます。
  • 早めに準備を始めたい場合、あるいは返却が遅れることが事前にわかっている場合などはあらかじめレンタル期間を長めに設定しましょう。1日単位の追加料金で対応してくれるお店が多いようです。逆にレンタルを開始してからの申し出となる場合、さらに高額での対応となるかあるいは対応してもらえない可能性もあります。

余計なストレスなく安心して和装の準備を進めるためにも、レンタル期間の延長対応や返却方法については契約時に店側としっかりと確認しておくことが大切です。

トラブル回避と対処法

和装レンタルでは、予期せぬトラブルも発生しえます。事前の準備と知識を備えて、スムーズに対応できるようにしましょう。

トラブル回避のために

  • 状態確認:留袖や小物を受け取る際、レンタル店で一緒に傷や汚れがないかを確認しましょう。帯に引っかき傷がないか、草履に極端な使用感が見られないかなど、細部までチェックを行ってください。
  • 写真撮影:受け取った和装の状態をスマートフォンなどで写真に残しておくと「受け取った時の状態」と「返却時の状態」を証明することが可能になり、返却時のトラブル防止にも役立ちます。

トラブルが発生した際の対処法

  • 速やかな連絡:当日の着用後、留袖に汚れを発見した場合などは、すぐにレンタル店へ連絡を取ります。わかる範囲で具体的な状況を伝え、どのように対処すればよいかアドバイスを求めましょう。
  • 備えあれば憂いなし:レンタル店から指示があれば、その指示に従って対処します。また、事前に着付け師や身近な人に和装の基本的な扱い方を聞いておくと、小さなトラブルにも冷静に対処できます。

どれだけ気をつけていても、レンタル品にはトラブルがつきもの。できるだけ回避する、起きても最小限の被害にとどめる、などをしっかりと心がけましょう。

まとめ

今回は、結婚式における母親の立場での和装レンタルについてお話ししてきました。

母親という立場にふさわしい品格を有する黒留袖だからこそ、事前の準備と適切な知識をもって漏れなく準備を行っておきたいもの。今回の記事が、そうした黒留袖を準備するにあたって生じる疑問や不安の解消の手助けとなれば幸いです。

美しい和装で特別な日を迎え、お子さまの門出を心から祝福してあげてくださいね。

〈参考記事〉
https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/tomesode/1189/
https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/kimono/2888/
https://www.haregino-marusho.co.jp/contents/kurotomesode/2468.html
https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/tomesode/210/
https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/tomesode/840/
https://ichiru.net/column/kurotomesode/
https://ichiru.net/column/thing-to-set-up-kimono/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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