ゆめやの成人式:総絞りとは?〜お友達とかぶらない総絞り振袖のススメ〜

人とかぶらない振袖をお探しのお嬢さんに、とっておきの着物をご紹介しましょう。手間暇をかけた総絞りの振袖です。世の中では黒系統の単色が多いなかで、ゆめやではアンティークからレトロまで、カラフルな総絞りをレンタルしています。どうぞごゆっくりご覧ください。

 

白地に大きなバラの総絞りの色振袖

白い正絹地に、赤・紫・青のぼかしで、大きなバラの花が描き出された、総絞りの色振袖です。

お父さま、お母さま、おじいさま、おばあさまなど、これまで育ててくださった保護者様といっしょに選ぶ場合は、赤やピンクなどのかわいらしい色に決まることが多いでしょう。これまで愛情を持って育ててこられたのですから、こども時代の締めくくり、おとなへのスタートとして、成人式の晴れ着で、かわいい色の振袖を着せてあげたいと思われるのも、ありがたい親心です。

 

そのかわいらしい色のなかでも、人とかぶらない振袖を選びたいですよね。そこで、総絞りの振袖をご紹介しましょう。

 

総絞りは着物愛好家もあこがれる高級な着物です。たいへんお高いのですよ。絞りがあるのと無いのでは、品格が格段に違いますので、総絞りは無理でも、せめて部分的にでも絞りがほどこしてある訪問着を選ばれるご婦人もいらっしゃいます。

 

愛好家もあこがれる総絞りを振袖で着るなんて、たいへんな贅沢ですよね。成人式でもほとんど見かけることはありません。総絞りとはどのような着物なのか、これから紐解いてみましょう。

 

空色の総絞りに波、菊、雲取紋様の振袖

波と雲取り文様の中に、花菱の吉祥文様が、総手絞り、手刺繍でほどこされた、ゆめや自慢の逸品です。

 

ポコポコとした着物の生地を思い浮かべることができますか?その生地が絞りをほどこした生地です。その名のとおり、総絞りは生地を絞っていきます。粒の数は20万から22万粒と言われています。気が遠くなるほどの数ですね。

 

ひとつの粒を作るのに、4回から6回、京都の疋田絞りなど、産地や技法によっては8回や12回も、糸で巻くのです。巻く回数が多ければ多いほど、ひとつの粒に高さが出て、仕上がったときの凹凸感が大きくなります。絞る分だけ生地が縮みますので、絞りを入れない振袖の反物が12m必要なのに対し、総絞りの振袖の反物は16mも必要になります。

反物の長さは袖丈も影響します。振袖の袖丈は3種類に分かれています。長い方から、大振袖・中振袖・小振袖となります。

 

成人式にお召しになるのは中振袖で、袖の長さが98cm前後で、ふくらはぎのあたりで収まります。

 

大振袖は花嫁衣裳として着る振袖です。袖の長さが113cm前後で、地面に付きそうなほどの長さです。

 

ですが、現代の女性は背が高くなりましたので、大振袖でもふくらはぎあたりで収まり、中振袖のイメージで着ることができます。中振袖に比べると柄数も多く見栄えがしますので、背が高い方はぜひ大振袖を成人式でお召しになってください。

 

小振袖は袖の長さが85cm前後で、主に袴といっしょに着る振袖です。成人式や卒業式で袴をお付けになる場合は、どうぞ小振袖をお選びください。

 

大振袖の総絞りとなると、16mでは足りず、22万粒も越えるのかもしれません。

総絞りにちかいものとして「辻が花」という着物もございます。総絞りが着物全体に絞りをほどこしてあるのに対し、辻が花はデザインされた部分だけに絞りをほどこします。

 

裾模様だけの場合もありますし、ほとんどすべてに絞りをほどこすものまで、絵柄のデザインによって絞りの範囲はさまざまです。絞りの方法は単一ではなく、何種類もの絞りの技法を使い分けて、立体感のある美しい絵柄を作り出します。

 

この辻が花の着物も、14~16mの反物を必要とし、粒の数も20万個を越えるそうです。

 

ゆめやのアンティークきものは、もちろん手巻きです。グルグルと糸を巻き付けて絞った生地を染料に漬けて、乾かしてほどくと、糸を巻き付けた部分だけ、もとの生地の色が残っています。染料に漬けるのは1度だけではなく、回数を分けてぼかしを表現したり、よりしっかりと色を入れたりするために、この地道な作業を何度も繰り返します。

 

グリーンのぼかしに菊と牡丹の総絞りの色振袖

グリーン系のぼかしに、菊や牡丹の花が総絞りで描き出されたレトロな振袖です。

 

巻いた糸をほどく作業もたいへんなのですよ。生地を引っ張って粒を低くしないように、糸といっしょに生地を切ったりしないように、ひとつひとつ細心の注意を払いながら根気よく解いていきます。この作業の手間だけでも希少価値があるというのがわかりますね。

 

さて、粒だけで、どうやって絵柄をほどこしているのでしょうか?

 

きものを思い浮かべてください。振袖の絵柄は総絵羽です。全身にわたって絵柄がつながっています。ですがきものは、上前・下前・衽(おくみ)・後ろ見頃の右と左・袖・衿など、いくつにも分かれていますね。

 

反物はアンティークで9寸5分(約36cm)、現代物で9寸8分(約37cm)です。この反物をつなぎ合わせて、きものは仕立てられています。

 

全体にわたる総絵羽模様を、幅狭い反物にどうやって描き出すのでしょうか。

 

黒色束ね熨斗紋様総絞りに松梅菊の振袖

黒がベースとなっており、松とリボンのような布が、絞りの技法で描かれています。錦紗で縁取りされた松がアクセントになっています。

まずは白生地を振袖用に裁断します。裁断した反物を振袖に仮縫いし、いちど振袖の形に仕上げてから、下絵を描いていきます。生地も絵柄も、絞りで縮むことを計算に入れなければなりませんので、熟練の技が必要です。仮縫いして下絵を入れた状態を仮絵羽と呼びます。

 

下絵を描いた仮絵羽をほどき、もとの反物の状態に戻してから、絞りを入れていくのです。たいへんな作業ですね。しかも、着物の工程は分業が多いのに対し、総絞りは1人の職人が初めから終わりまでを担うというのですから、仕上がりまでに長い月日が掛かってしまいます。2年から数年ほどかかるものもあったそうです。

 

今では、振袖は成人式で初めて着るというイメージですが、昔はもっと早くに振袖を着ていました。13歳や15歳で成人・元服というシーンをテレビドラマ等でご記憶の方もいらっしゃるでしょう。13歳を過ぎるとお嫁入りする年頃でもありましたから、凝った振袖を作りたい場合は、女の子が生まれてまもなく注文をしていたのでしょうね。

 

苺色の波間を花紋様舞う総絞りの振袖

苺色の波と、波間を舞う花紋様が描きだされています。

さあ、裁断・仮縫い・下絵付けで仮絵羽にして、ほどいて、絞って、色を入れて、乾かして、解きます。色のグラデーション・ぼかし・複数の色を入れる場合は、色を入れたくない部分をビニール等で覆いながら、何度も同じ工程を繰り返します。絞りの作業が終わったら、いよいよ本格的に仕立てます。さらにこだわりの着物は、手刺繍や金駒刺繍をほどこします。

 

凝りに凝ったきものの完成でしょうか? いいえ、まだまだです。

 

せっかく入れた絞りが、つぶれたり伸びたりして平たい生地に戻ってしまうのを防ぐために、裏打ちをいたします。きものの裏に、薄い正絹生地を、細い絹糸で斜めに縫いつけて留めていきます。全体の裏打ちが終わると、やっと完成です。

 

これだけの手間暇をかけた振袖です。熟練した1人の職人が1枚の振袖と向き合って、数年をかけて完成させるのです。職人さんの根気強さとデザイン力に脱帽ですね。

 

大きな熨斗目に吉祥柄の総絞りの色振袖

大きな熨斗目の柄に、御所車や梅、菊などがラメ糸で手刺繍された色振袖です。ラメ糸ではありますが、全体が黒の総絞りですので、引き締まった印象があります。

職人さんが手間暇かけた振袖ですが、若いお嬢さんにはいまひとつ人気が無いようです。お客様にお伺いすると、「総絞りは太って見える」とか、「鈍感に見える」などと仰います。

 

生地のポコポコ感がそう思わせてしまうのでしょう。ですが、そのようなことは無いのですよ。

 

総絞りは、太って見えたり、鈍感に見えたりするのではなく、ふんわりとたおやかな印象です。やさしい日本人の顔には、絞りの雰囲気がしっくりと馴染みます。高級感もあり、上品な印象もありますし、なによりも、総絞りの振袖をお召しのお嬢さまは少ないです。人とかぶらない振袖に、総絞りをおすすめいたします。

 

ゆめやでは山梨本店や東京店で、ご試着をしていただくことができます。まずは総振袖のきものを着てみてはいかがでしょうか?あわせて、都内の複数個所での前撮りプランもご用意しています。ご家族やお友達とごいっしょに、優雅な前撮りで成人の記念を残されてください。
 

ブルーのぼかしに花々が総絞りで描かれた色振袖

白い正絹地にブルーのぼかしの総絞りで花々が描かれた色振袖です。ぼかしの具合が、まるで陽の光にゆらめいているかのようです。

 

練色に唐草と菊の総絞りの色振袖

色が付いているかどうか分からないほど上品な練色(ねりいろ)地に、唐草や菊の花が総絞りでほどこされた色振袖です。前身頃の唐草と菊の花はぼかしになっています。

 

ご試着申し込み

ゆめや東京店・山梨店では無料でご試着いただけます。完全予約制のため、下記ページよりご予約をおねがいいたします。

お電話でのお申し込みはゆめや東京店 03-5422-8422 まで。

ご試着のお申し込み方法

この動画ではゆめや東京・山梨店での試着WEB予約の方法をご紹介します。

 

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