道行イメージ

​【保存版】着物の上着 | 羽織?コート?その種類と選び方を解説

はじめに: 和装の魅力と現代のライフスタイル

着物の基礎知識とその歴史

長い歴史を持つ「着物」は、日本の伝統的な装いの中心となるアイテムです。私たちが普段、日常で目にする機会は少なくなってきましたが、それだけに、その存在感や魅力が際立つように思います。着物を身にまとうと、普段の自分とは違った、品格ある印象を持つことができるのではないでしょうか。

着物の基本的な要素として「帯」や「羽織」、「道行」などの言葉が挙げられます。それぞれのアイテムには、季節やシーンに応じた違いがあり、例えば「夏」には涼しげな素材の「浴衣」や「単衣」、冬には「防寒」を意識した商品がおすすめです。こうした各種のアイテムを組み合わせることで、さまざまなコーディネートが楽しめます。そして、それぞれのアイテムには、歴史や背景、使い方など深い知識が隠されているのです。

現代の和装トレンド:和と洋の融合

最近では、和装と洋服を組み合わせた「カジュアル」なコーディネートが増えてきました。例えば、普段着用している「カーディガン」や「コート」を、着物の上に羽織ることで、和と洋の融合を楽しむことができるのです。こうした新しい試みは、現代のライフスタイルにも合わせやすく、特に女性たちからの注目を集めています。またワンピースなどの洋装の上着として着物の道行コートを羽織るコーディネートも人気があります。

また、和装の小物にも目を向けてみましょう。「帯締め」や「帯揚げ」、そして「半幅帯」など、これらの小物は、着物のコーディネートを華やかに彩る重要なポイントとなります。特に帯の選び方や結び方には、さまざまなマナーやルールがありますが、それらを知ることで、より一層、着物の魅力を深く感じることができるでしょう。

このように、着物は深い歴史や知識、そして無限のコーディネートの可能性を秘めています。今回の記事では、そんな和装の魅力や、現代のライフスタイルに合わせた着物の楽しみ方について、詳しく紹介していきたいと思います。

ここからは、さらに深く和装の世界に触れるためのポイントや、現代のライフスタイルに合わせたコーディネートの提案などをお伝えしていきますので、引き続きお読みいただけましたら幸いです。

着物の上着とは? 基本の「き」

着物を着る時は、さまざまなシーンや季節に応じて選ぶ上着の存在がたいへん重要です。

もともとは、外出の際には必ず羽織ものが必要でした。帯はたいへん高価なもので、その帯を道行く人に見せびらかしながら歩くのははしたないことだとされたものです。また、帯を見せて歩いていたのは芸者や遊女だったことからも、一般家庭の女性は、夏でも薄物の羽織を羽織って出掛けていました。

現代では考え方が両極端になりました。古いしきたりを重んずるご家庭では、成人式の振袖でも外では羽織を羽織りますし、新しい考え方のご家庭では、振袖の帯を花魁結びになさるほどです。考え方はいろいろあるでしょうが、ここでは基本的なマナーを学びましょう。

上着の選び方やその種類は、和装の印象を大きく左右する要素として知られています。今回の記事では、着物に合わせる上着の基本を紹介します。

種類と用途で選ぶ和装上着

羽織の特徴と使用場面

羽織は、おしゃれな和装のコーディネートに欠かせないアイテムとして知られています。その特徴は、前を開けて着ることができ、帯の上から着用するスタイルが一般的です。羽織の丈や袖の長さ、素材や柄など、さまざまな種類が存在します。

使用場面としては、フォーマルな場では黒の羽織が多く用いられます。一方で、普段着としては小紋やカジュアルな柄の羽織がおすすめです。夏には、涼しげなレース素材や透け感のある羽織を選ぶ方が多いです。その際は紐の選び方もポイントとなります。紐は羽織のデザインや色と合わせて選ぶと、より印象的なコーディネートが楽しめます。

羽織は紋付ですと準礼装となりますが、紋が付いていないものは普段着となります。また、羽織は室内で着ることも可能ですが、ご挨拶のときは脱ぐものとされていますので、注意なさってくださいね。流行の膝下丈の羽織もコートに近いものとされていますので、室内では脱ぐほうが無難です。

道行や道中の違いとは?

道行」と「道中」、これらの言葉は和装の上着に関するものですが、違いを詳しく知っている方は少ないかもしれません。道行は、外出時に着物の上から羽織る防寒用上着のことを指します。一方、道中は少しの外出時に着るものを指します。

道行は、冬の寒さや雨などの外の環境から着物を守るためのものです。寒い時期には、防寒対策として厚手の道行がおすすめです。道中もちょっとした外出時の上着として適しています。道行と道中の見た目の違いは「道行衿」という、襟ぐりが四角にかたどられています。道行はややかしこまったフォーマルな場面で着用します。

道行も道中もコートと同じ扱いですので、室内に入る前に脱ぐようにしましょう。

冬の対策としてのコートと羽織り

冬の寒さを乗り越えるためには、着物の上に適切な上着を選ぶことが必要です。その際はコートや羽織が考えられます。コートは、洋服のように全体を覆う形で、冬の厳しい寒さから身を守ってくれます。一方、羽織りは、帯の上からさっと羽織ることができるので、手軽に着用することができます。

冬の和装の際には着物の下に洋服用のヒートテックなどの下着を着用したり、羽織やコートの素材も、ウールや厚手のものを選ぶことで、寒さをしっかりと防ぐことができます。

和装の上着選びは、その日の気分やシーン、季節に応じて楽しむことができるので、さまざまなコーディネートを試して、自分らしい和装スタイルを見つける楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。

おしゃれな着物上着の選び方

日本の四季を彩る美しい着物。それぞれの季節に合わせて着物を楽しむのはもちろん、上着の選び方にも工夫が必要です。着物の上着は、ただ寒さを防ぐだけでなく、着物の雰囲気やTPOに合わせて選ぶことで、さらに洗練された着こなしを演出することができます。

季節ごとのおすすめアイテム紹介

春と秋のおしゃれなアウター選び

春と秋は、一年の中でも特に気温の変動が大きい季節。そんな中、着物を楽しみたい時におすすめなのが「羽織」です。

羽織は、薄手の生地で、肩からさっと羽織ることができるアイテムで、春や秋のちょっとした冷え込みにぴったり。特に、小紋や普段着としての着物に合わせると、カジュアルながらも上品な印象を持つことができます。また、紐を使って前を留めることも可能なので、風が強い日などにも便利です。帯とのコーディネートも楽しむポイントの一つ。帯締めや帯揚げと同じ色や柄の紐を選べば、一体感のあるコーディネートが完成します。

そんな羽織の中でも、最近では「カーディガン風の羽織」が人気を集めています。通常の羽織とは異なり、カジュアルなデザインや生地が特徴。普段の洋服のような感覚で楽しむことができるので、着物初心者の方にもおすすめです。

夏の涼しげな羽織やカーディガン

夏の着物選びは、涼やかな素材やデザインが求められます。浴衣はもちろん、夏の正装として訪問着などを選ぶ方も多いでしょう。ですが、外出時の日差しや冷房対策として、適切な上着も必要です。

夏向けの羽織は、透け感のある薄手の素材が主流。特にレースの羽織は、涼しげな見た目とともに、着物の柄や色を透かして見せることができるので、夏の着物との相性が良いです。また、ショールやストールも夏の上着として活躍します。肌触りの良い素材を選び、首元に巻いたり、肩にかけたりすることで、夏の強い日差しや冷房から身を守ることができます。

冬の防寒対策としての上着

冬の着物は、厚手の素材や暖かな裏地が特徴ですが、上着にもしっかりとした防寒対策が必要です。コートは、冬の着物の上から羽織ることができるアイテムで、ウールやフリースなどの暖かい素材が選ばれることが多いです。特に、袖や裾が着物と合わせやすいデザインのものを選ぶと、動きやすさも保てます。

また、冬には「羽織」も重宝します。フォーマルな場面であれば、準礼装の「紋付羽織」がおすすめです。冬向けの羽織は、裏地がしっかりとしていたり、素材自体が厚手であったりすることが多いです。特に、結婚式や入学式、卒業式などのフォーマルな場面では、上品な羽織を選ぶことで、一層華やかな着こなしを楽しむことができます。

季節ごとに異なる着物の楽しみ方。それに合わせて選ぶ上着も、四季を感じる大切なポイントの一つです。おしゃれを楽しみながら、季節の変わり目や気温の変動にもしっかりと対応することで、着物生活をより豊かにしていきましょう。

着付けとコーディネートのポイント

上着を魅せるための着こなし術

先に進む前に、まずは基本からおさらいしておきましょう。着物は日本の伝統的な衣服で、その美しさや風合いは世界中で高く評価されています。けれど、その美しさを最大限に引き出すためには、正しい着付けとコーディネートが必要です。

羽織の正しい着方と帯の組み合わせ

着物を着る際に、特に初めての方は羽織の着方に迷うことが多いのではないでしょうか。羽織は、着物の上に着るアウターのようなもので、主に寒さ対策やフォーマルな場に使用されます。羽織を着る時は、帯の結び方やデザインとの相性も気になるところです。

正しい羽織の着方としては、まず、着物と羽織の襟元をしっかり整えることが大切です。次に、羽織の紐を左右の襟の間で結び、余った紐を綺麗に垂らします。そして、大切なのは帯との組み合わせ。帯の色やデザインに合わせて、羽織の色を選ぶことで、全体のバランスが整い、一層おしゃれな印象を与えることができます。

たとえば、黒の小紋着物に、紅色の帯を合わせる場合は、深い紺や茶色の羽織がおすすめです。これにより、帯の鮮やかさが引き立ち、全体が落ち着いた印象となります。逆に、無地の着物や淡い色の帯の場合は、華やかな色の羽織を選ぶと、全体のアクセントとして効果的です。

上着の色や柄との調和を取るコツ

次に、上着の色や柄と着物の調和について考えてみましょう。室内での宴会や式典など、羽織やコートを脱ぐ場面も多いですが、室外や道中ではしっかりと上着を羽織ることが多いです。その際に、上着と着物の色や柄の調和が取れていると、より一層の完成度の高いコーディネートとなります。

季節によっても、上着の選び方やコーディネートのポイントが変わります。例えば、冬の寒い季節にはウールのコートや厚手の羽織がおすすめです。暖かさはもちろん、寒さから着物を守る防寒対策としての役割も忘れてはいけません。

色の組み合わせに関しては、同じ色系でまとめるのも良いですし、コントラストを利かせて強調するのも素敵です。たとえば、青の着物にはグレーや白のコート、ピンクの着物にはベージュやクリーム色の羽織など、相性の良い色を選ぶと全体がまとまります。

柄との組み合わせも楽しいものです。大胆な柄の着物の場合は、シンプルな無地の上着を選ぶと、着物の柄が引き立ちます。逆に、無地の着物の場合は、柄入りの上着を選ぶと、遊び心が加わります。

おしゃれは自分自身の楽しみ。決まったルールに縛られず、自分の好きな組み合わせやスタイルで、楽しんで着物生活を送ることが大切です。何よりも、自分が着ている着物や上着に自信を持ち、楽しむことが最も素敵なコーディネートの完成です。

男性もおしゃれに! メンズの着物上着ガイド

近年、男性も和装を楽しむ文化が見受けられます。特に冬場の華やかなイベントや結婚式では、男性の着物コーディネートが注目されるようになってきました。今回は、そんな男性のための着物上着について、女性目線で紹介させていただきます。

男性向けの人気アイテムとスタイリング

女性の和装と同じく、男性の和装も、その日のTPOや季節、希望の雰囲気に応じてアイテムを選びます。大切なのは、自分らしさを表現しつつ、着物のマナーや礼装を守ること。それでは、男性のための基本的な羽織やコートを見ていきましょう。

男性のための基本的な羽織やコート

羽織
男性の羽織は、主に正式な場で着用されます。伝統的な素材としては、ウールや紬が人気。寒さ対策としても大変有効です。一般的に、男性の羽織の色は黒や深い色合いが中心となりますが、季節やシチュエーションによっては、明るい色のものも選ぶことができます。

ゆめやの男性用着物から、「鼠色の正絹紬のきものとひげ紬の羽織のアンサンブル」をご紹介しましょう。長着に羽織のちょっとした外出着です。ボソボソと飛び出たひげ紬に味わいのある羽織ですね。お食事や街歩き、観劇などにおすすめです。あまり格式張らない雰囲気のお宮参りや七五三の付き添いにもお召しいただけるでしょう。

コート
コートは、特に冬の防寒対策としておすすめのアイテム。道中や室内での脱ぎ着も考慮しながら、適切な丈やデザインを選ぶと良いです。例えば、礼装には、少し長めのコートが相性が良いですね。また、普段着にはカジュアルなデザインのものを選ぶと、よりおしゃれに楽しむことができます。

カジュアルからフォーマルまでの選び方

和装の中でも、カジュアルとフォーマル、この二つのスタイルに分けることができます。日常のお出かけやちょっとした集まりには、小紋や紬の着物にカジュアルな上着や羽織を合わせると、リラックスした印象に。逆に、結婚式や入学式、卒業式といった正式な場では、黒や濃い色の羽織や、よりフォーマルなコートを選ぶと良いでしょう。男性の着物の選び方にも、いくつかのポイントがあります。

例えば、帯はフォーマルな場では、正統的なデザインや色を選ぶことが多いですが、カジュアルな場では、少し個性的なものや明るい色のものを選んで、自分らしいスタイルを楽しむことができます。また、和装の小物も忘れてはいけません。帯締めや帯揚げ、襟元の形や紐の色といった細部にこだわることで、全体のコーディネートが引き締まります。

和装は伝統的なものですが、それだけにいろいろなルールやマナーがあります。ですが、初めての方でも、基本的なことを覚えておけば、安心して楽しむことができます。男性も、ぜひ、この機会に和装を楽しんでみてはいかがでしょうか。ゆめやのページにも、男性向けの着物の記事が多数紹介されていますので、参考になさってください。

まとめ

着物上着選びの総括

日本の四季は、美しさと変化に富んでいます。春の桜、夏の青空、秋の紅葉、冬の雪景色。その美しさを反映させるのが、着物や和装の魅力の一つですね。特に、上着の選び方で、その時期をより華やかに、または落ち着いた雰囲気で楽しむことができます。

トレンドは毎年変わりますが、和装の基本ともいうべきアイテムやデザインは時を超えて愛され続けています。例えば、江戸時代からの伝統的な羽織やコート。今ではさまざまなデザインや素材が出てきていますが、そのルーツは古くからの日本の文化にあります。

とはいえ、時代とともに、普段着としての着物や和装も少しずつ変わってきました。現代では、カジュアルな場面でもフォーマルな場面でも、自分らしさを大切にすることが重視されています。そこで、自分の好みやライフスタイルに合わせて、上着を選ぶことで、さらにその魅力を引き立てることができます。

上着選びで楽しむ四季の和の美しさ

また、上着選びにおいては、季節の変わり目や気温にも注意が必要です。冬には防寒対策としてウールのコートや厚手の素材、夏には薄手の素材や透け感のあるデザインがおすすめです。また、雨の日には、雨に強い素材やデザインを選ぶと良いでしょう。

そして、上着を選ぶ際のポイントとして、着物の色や柄、そして帯や小物とのコーディネートを楽しむことも大切です。例えば、黒の訪問着には、金や銀の織り込まれた羽織やコートが合わせやすいですね。また、小紋や浴衣には、カジュアルなカーディガンやショールがおしゃれに見えます。

最後に、和装は日本の伝統文化として、多くの人々に愛されてきました。その中で、上着は一つのアクセントとして、また四季を感じるアイテムとして、大切な役割を果たしてきました。自分らしさを大切にしつつ、トレンドや季節の変化を楽しみながら、上着選びをすることで、日常をもっと豊かにすることができるでしょう。

これからも、和の美しさや四季の移り変わりを感じながら、上着選びを楽しんでくださいね。

ゆめやには、レンタルアイテムとしての女性用の羽織、道行コート、道中着をご用意していませんので、実際の商品をご紹介することはできませんが、知識として持っていただき、もしもご家庭に譲り受けた羽織ものがあられる場合は、適切に着用なさってくださいね。

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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