和装花嫁衣裳選びのコツ・第2回 抑えておきたい黒引き振袖のポイントとは?

次に「比翼」です。もともとは、いちばん表のきものの内側に、もう1枚真っ白いきものを着ていたのですが、重たい、動きにくいということもあり、表のきものの内側に部分的に縫い付けて仕立てるようになりました。もう1枚きものを着ているように見せるために、襟元、袖口、裾などの内側に、「ふき」よりも更に見えるように白い布を縫い付けます。この比翼にもふっくらと綿が入っています。「お引き摺り」で歩くときに、白い比翼がふんわりと覗いて、たいへん優雅です。

最後に「寸法」です。振袖はおはしょりを出して着付けますが、「引き振袖」はおはしょりを作らずに帯を結びます。振袖と比べて、衿を大胆に抜いてうなじをたっぷりと見せますし、身頃や脇の調整が必要になる場合もあります。引きずったときに、いちばん美しく見える形に仕立てるのですね。

このように工夫を凝らした、「お引き摺り」用の仕立て方があるのです。成人式に着た振袖を「お引き摺り」としてお召しになりたい場合は、期間に余裕を持ってお衣裳屋さんにご相談くださいね。ご自分のきものではなく、お母さまやお祖母さまの振袖が残っていたら、生地も正絹の光沢や柔らかさにあふれているでしょうし、絵柄も手描き、手刺繍の可能性が高いです。レトロな雰囲気でしっとりとした「引き振袖」に仕上がりますよ。

仕立て直しの料金はお衣裳屋さんによって違うでしょうが、ご参考までに、きものが10~20万円ほど、長襦袢が5~10万円ほどかかるようです。

4.「白無垢」と「黒引き振袖」の両方が着たい!

大丈夫です。両方お召しいただけます。

神前結婚式から、披露宴会場前でのお出迎えまでを「白無垢」になさり、「新郎新婦入場」で「黒引き振袖」になさるのも良いですし、入場までを「白無垢」になさって、「お色直し」で「黒引き振袖」になさっても素敵です。髪型の変化も楽しめそうですね。

5.「黒引き振袖」にするか「色引き振袖」にするか

悩むところですね。格調高い雰囲気を大切になさるなら「黒引き振袖」で、カジュアルな雰囲気を演出したいなら「色引き振袖」という感じですが、きものの柄や髪型の工夫で、「黒引き振袖」もカジュアルにお召しいただくことができます。

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ゆめや通信編集部

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監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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