和装花嫁衣裳選びのコツ・第2回 抑えておきたい黒引き振袖のポイントとは?
そして「大振袖」、一番本式の振袖ですので「本振袖」とも呼ばれます。袖の長さは三尺以上(113.4cm以上)です。お召しになると袖が床に届きそうな長さです。近年は身長の高いお嬢さまも多いので、三尺より長くお作りになる方も増えてきました。ご自分の結婚式で花嫁衣裳としてお召しになる「大振袖」です。
余談ですが、身長が高いお嬢さまは、「大振袖」が「中振袖」のようなバランスになるため、成人式でお召しになる方も多いようです。袖が長い分、絵柄が多くなりますので、さぞ豪華な成人式でしょうね。
きものの世界では、長さの単位を昔のまま「尺」や「寸」で表します。「曲尺(かねじゃく)」と「鯨尺(くじらじゃく)」の2種類があり、きものは「鯨尺」で表します。「一尺」が約37.879 mm、「一寸」はその10分の1で「約3.788mm」です。
竹やステンレスの定規、巻尺(メジャー)の裏側には「尺」で目盛りを刻んであるものを見かけますね。これが「尺」ですが、和裁用の定規は「鯨尺」、大工さんの定規は「曲尺」で刻まれています。ご購入の際はご注意ください。ちなみに「曲尺」の一寸は約30.303 mmで短いため、「短尺」と呼ばれることもあるそうです。
3.振袖と「引き振袖」の違い
インターネット画像やカタログなどをご覧になった方は、「振袖と比べて、ふんわり、どっしり、豪華だなあ」という印象をお持ちではないでしょうか。
実は、帯や持ち物以外にも、きもの自体の仕立て方に違いが3つあるのです。
まずは「ふき」です。裾や袖口などの裏生地を表生地から見えるように引き出し、中に綿を詰める仕立てです。江戸時代は一寸もの厚さに仕立てていたそうですし、訪問着や留袖にもうっすらと「ふき」を仕立てていました。今では、花嫁衣装や、歌舞伎などの舞台衣装に残っているだけでしょう。重みがありますので、バタバタとひるがえることなく、落ち着きや重厚感を醸し出しますし、その厚みはふんわりとした幸せそうな花嫁さんを表現してくれます。