帯揚げ【oba068】

【着物の帯揚げ完全ガイド】基本の結び方からアレンジテクニックまで

はじめに

日本の伝統的な装い、着物。幼い頃から人生の節目に、誰もが身にまとった経験があるのではないでしょうか。着物は、その色や柄だけでなく、着方や帯の結び方にもさまざまな魅力が詰まっています。特に、帯の結び方は、多種多様。帯揚げ、帯締めによって、さらにコーディネートの幅が広がります。今回は、そんな帯揚げの結び方についてご紹介します。

着物の美しさを引き立てる帯揚げの役割

着物を着る際に、小物やアイテムの一つとして欠かせないのが「帯揚げ」です。着物や帯を引き立てる名脇役といえるでしょう。帯揚げは、帯をきれいに見せるためのアイテムで、帯締めや帯枕と共に使われます。簡単に言うと、帯枕を包む布のこと。この帯揚げは、和装の中でとても大切なのです。帯揚げは、帯の上からほんの少ししか見せない小物ですが、体の正面で結ぶので、結びがきちんとできていないと、残念な印象になってしまいます。

帯揚げの色や柄、結び方によって、着物の印象もガラリと変わります。例えば、振袖を着るときは、華やかな帯揚げを選んで結び方を工夫すると、全体の印象がより一層豪華に見えるでしょう。また、普段着の着物には、落ち着いた色の帯揚げを合わせて、上品な雰囲気を楽しみます。

この記事でわかること

着物初心者の方も安心して読み進めていただけるように、この記事では帯揚げの種類、基本的な結び方から、少し変わったおすすめの結び方、さらには着付け時のポイントまでを分かりやすく解説していきます。着物を自分で着る際のコツや、帯揚げの結び方で迷ったときの参考になるような情報をまとめていきます。

また、帯揚げの結び方だけでなく、着物全体のバランスや、他の小物とのコーディネートのポイントについても紹介します。それぞれの帯揚げの結び方に合わせて、帯締めや帯枕の選び方も簡単に触れていきます。

この記事が、着物をより深く楽しむきっかけになれば嬉しいです。着物は、伝統的な文化を受け継ぐだけでなく、ファッションとしても楽しめる素晴らしいアイテムです。帯揚げの結び方をマスターして、さらに着物の世界を深く楽しんでください。

帯揚げの種類

一口に帯揚げといっても、実は多くの種類があります。着物にはいくつもの種類がありますが、着物、帯の種類に合わせて、帯揚げも最適のものを選ぶ必要があるのです。帯揚げの種類や素材を理解し、着物に合った帯揚げを選んでください。

最も高級でポピュラー、綸子(りんず)

最も多くの種類があるのが、綸子の帯揚げです。正絹(絹100%)で光沢があり、柔らかい手触りが特徴といえます。帯と一緒に季節感のある色柄を選びましょう。フォーマルシーンで活躍します。

はっきりした色目が特徴、縮緬(ちりめん)

縮緬の帯揚げは、重量感があり、はっきりとした色目を持っています。小紋・紬・ウール・化繊といった普段着の装いに最適です。

振袖にぴったり! 総絞り(そうしぼり)

たっぷりとしたボリューム感にふんわりとした柔らかさを持った、総絞りの帯揚げは、振袖姿にぴったりです。ふんわり感を活かしてアレンジ結びができます。

夏着物には絽(ろ)と紗(しゃ)

絽と紗はどちらも夏着物の布で、透け感があり、涼しさを演出する素材です。絽や紗の夏着物を着る際は、帯揚げも絽か紗で統一しましょう。

着付け時の注意点

帯揚げを結ぶ際の注意点として、以下のポイントを押さえておくと、より美しい仕上がりになります。

  • 帯揚げの生地によっては、結び目が厚くなりがち。そんなときは結び目を作らず、帯の上部に帯揚げを添わせ、余った部分は脇で処理してください。
  • 着物や帯の色、柄とのコーディネートも楽しむ部分。伊達衿と色目を合わせるのも、おしゃれな仕上がりになります。着物のコーディネートを考えるときは、着物の上に帯を置き、帯の上に帯締めを載せ、帯の上端に帯揚げを置いて、配色を確認しましょう。
  • 着付けの際に帯揚げをきちんと整えると、全体のシルエットが美しくなります。結び終わった後も、時々確認し、微調整を忘れずに。外出時は化粧室などで、帯揚げの確認をし、必要であれば結び直します。

着物の衿合わせ、帯揚げの結び目、帯締めの結び目が正確に体の中心にあると、きちんとした着姿になります。飾り結びや、特別な細工が入っている場合は、体の中心よりやや右寄りや左寄りになる場合もあります。着物を着る際の小さな工夫や気配りが、全体の印象を大きく左右することをお忘れなく。美しい着物姿を楽しむために、これらのポイントを心がけてみてください。

人気の帯揚げ結び方3選

着物の美しさをさらに引き立てる帯揚げの結び方。その結び方にはさまざまなバリエーションがあります。今回は、数ある結び方の中から特に人気のあるものを3選ご紹介します。着物に初めて挑戦する方から、さらなるバリエーションを求める方まで、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

トップ3のおすすめ結び方

  1. 基本の本結び
    まず一つめにご紹介するのは、どんな着物にも合わせやすい本結びです。左右の帯揚げを3分1の幅に折り、さらに折山を上にして半分の幅にします。体の中心で左を上にして交差させ、下から上に一結び。下側の帯揚げを横向きにして、上側の帯揚げをくぐらせるようにもう一結びして軽く引き締めましょう。余った部分は下から巻いて、帯の中に入れ込みます。本結びは、基本であり定番の結び方です。初めて着付けを学ぶ人もがんばって習得しましょう。
  2. 高貴な印象、入り組(いりく)
    帯揚げを結ばずに、着物と帯にかけ「入」の字を作ります。かもめ結びとも呼ばれます。振袖姿に最適で、総絞りの帯揚げを使うと、高級感のある装いとなるでしょう。古くからある帯揚げのかけ方で、武家の令嬢が好んでいた方法です。皇室女性が振袖を着る際にも、入り組が使われます。
  3. 一文字結び
    帯揚げを結ばずに、3分の1幅にして、帯の上部に添わせます。左右を重ねて、一文字に見えるように添わせましょう。振袖姿に用いられ、幅広の帯揚げが豪華で華やかな印象を与えます。

振袖に「本結び」だと、このような仕上がりになります。成人式の振袖では、たっぷりと引き出すとよろしいでしょう。結び目自体もゆったりと大きく結ぶと良いですね。お友達の結婚式に出席なさる場合は、あまり引き出さずに、控えめに出しましょう。未婚・既婚にかかわらず、訪問着や留袖の帯揚げも、画像のように控えめに出されると適切です。

アレンジ技で個性を出そう

帯揚げは、着物のコーディネートにおいて、その日の気分やシーンに合わせてアレンジできる楽しいアイテムです。個性を表現する方法は、無限に広がっています。ここからは、少し遊び心を加えた、帯揚げのアレンジ方法をご紹介します。初心者の方も、着物上級者の方も、新しい発見やインスピレーションを得られる内容となっていますので、どうぞお楽しみください。

リボン結び
帯揚げをリボンのように結ぶと、女性らしい甘さや華やかさが演出できます。体の中心よりも少し、右寄りか左寄りにリボンを結び、アクセントを加えましょう。リボン結びは、カジュアルな着物スタイルや、ちょっとしたお出かけにもおすすめです。

ツートーン結び
二色の帯揚げを使用して結ぶツートーン結び。これは、色の組み合わせを楽しむ方法の一つです。異なる色の帯揚げを一緒に結ぶと、立体感や奥行きを感じられます。また、シーズンやトレンドの色を取り入れると、旬なコーディネートを楽しめるでしょう。古典色と流行色のツートーンも新鮮ですね。

振袖や成人式での帯揚げの結び方

振袖は、日本の伝統的な衣装の中でも特に華やかで美しいものとして知られています。成人式や結婚式など、人生の大切な節目で着ることが多い振袖。多くの成人が振袖をまとう中で、帯揚げの結び方は、個性を表現する方法の一つとなります。ここからは、成人式の振袖におすすめの、帯揚げの結び方についてご紹介いたします。

成人式は、一生に一度の特別な日。そんな大切な日には、帯揚げも特別な結び方で、自分らしさを表現したいですよね。成人式の振袖には、総絞りの帯揚げが好まれています。

蝶結び
成人式には、華やかさと女性らしさを引き立てる蝶結びがおすすめです。大きくふわりとした結び目が特徴で、帯周りを美しく見せてくれます。半幅帯の蝶結びと同じように結び、体の中心を避けてリボンを作りましょう。余った部分は帯に入れ込んでください。ふわりとかわいらしい印象になるでしょう。

花結び
もう一つ、成人式にぴったりの結び方として「花結び」があります。名前のとおり、帯揚げを花のようにアレンジする結び方で、とても女性らしい雰囲気を持っています。帯の上部に、小さな花を咲かせるように帯揚げをアレンジしてください。輪ゴムなどを使って、バラ、椿、カーネーションなど、大好きな花の形を作ってみましょう。

ウェーブアレンジ
左右の帯揚げを屏風畳みにして、ゴムや紐で押さえます。少しずつ広げて波打つように帯に入れ込み、ウェーブを作ってください。綸子とレースなど素材の違う2色の帯揚げを使ってフリフリにするのもよいですね。

振袖に結ぶ帯揚げは、帯揚げだけでかなりの存在感のあるものを使うことが多いです。「色とりどりの青海波に白い椿の総絞り色振袖」には、ブルーグリーンに花柄の手絞りを合わせ、帯締めは赤と黄色の編み込みに七宝の房留めが付いた凝った誂えでコーディネートしました。

振袖や成人式は、人生の中で特別な瞬間を彩るもの。その大切な時に、帯揚げの結び方で自分らしさを表現して、一生の思い出に残る一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。帯揚げの結び方一つで、振袖の魅力をさらに引き立てることができるのです。着付けの際には、ぜひこれらの結び方を試して、自分だけのスタイルを楽しんでください。

左から、入り組、花結び、一文字です。振袖に使う総絞りの帯揚げは、しぼが大きいものが似合いますね。左端「綸子に揚羽蝶の手描き友禅、色振袖」と、右端「モノトーンの縮緬にエンジ色の桜が咲く色振袖」は、ゆめやの着物のコーディネートです。

よくある質問(FAQ)とその回答

着物や帯揚げの結び方に関して、私たちに寄せられる疑問や質問は数多くございます。ここでは、特に多い質問とその回答をまとめてみました。着物初心者の方も、少しのコツで美しい着姿を楽しむことができますよ。

帯揚げの結び方に関する一般的な疑問

Q1. 帯揚げは必ず必要なのでしょうか?

A1. 帯揚げは、帯枕を使う帯結びの場合は、必ず必要となります。帯枕や、着付けに使った紐類を隠す役目もあるので、大切なアイテムです。袋帯、名古屋帯でお太鼓結びをする際は帯揚げを使用します。日常的なカジュアルな着物に半幅帯を合わせる場合は、帯揚げを省略することもありますが、振袖や訪問着などのフォーマルな着物には欠かせません。

Q2. 帯揚げの色や柄を選ぶ際のポイントは?

A2. 帯揚げの色選びは、着物や帯の色とのバランスを考慮することが大切です。季節や帯の柄、そして着るシーンに合わせて選ぶのがおすすめ。一般的には、着物や帯の色よりもやや落ち着いた色を選ぶことが多いですが、最近ではアクセントとして鮮やかな帯揚げを選ぶ方も増えています。帯締めと色を合わせて選ぶと、落ち着きや統一感が出せるでしょう。

Q3. 自分で着付けができません! 帯揚げがほどけてしまったら?

A3. 成人式に出席中に帯揚げがほどけたり、崩れたりしたときは、上記「人気の帯揚げ結び方3選」中の「一文字結び」で対応しましょう。すぐに覚えられ、誰にでもできる結び方です。一文字結びと呼ばれますが、帯揚げを帯にそわせて巻くだけで、結び目は作りません。

帯や帯締めとの組み合わせは?

帯揚げだけでなく、帯枕、帯締めや帯飾りといった着物の小物も、帯周りを美しく見せるための重要なアイテムです。

帯枕
帯枕は、帯の形をきれいに保ち、帯を背中にぴたりと着けるためのアイテムです。帯結びによって、帯枕の形状も変わってきます。帯揚げは帯枕を包み、外から見えないように隠します。

帯締め
帯締めは、帯をしっかりと締めるためのアイテム。帯揚げと帯締めの色柄を合わせると、全体のコーディネートが引き締まります。また、帯締めの素材やデザインによって、さまざまな表情を楽しむことができます。

帯飾り
帯の左上部に差し、帯を飾るアクセサリーです。携帯ストラップのように帯の上に垂らして使います。手芸用のパールや天然石を組み合わせて自作すると、成人式がより思い出深いものになるでしょう。

まとめ

本記事を通して、着物や帯揚げの魅力やその結び方、さらには関連する情報を多くの方々と共有することができました。最後に、そのまとめと、最新の着物情報について触れていきたいと思います。

帯揚げ結び方で着物の魅力を最大に

着物の柄や色、素材に加え、アクセサリーや小物は、その取り入れ方、結び方で、異なる印象を持たせることができる、魅力的なファッションアイテムです。帯揚げの結び方や帯の結び目は、着物のコーディネートの中でとても大切なポイントとなります。特に帯揚げは、その結び方や使い方によって、全体の印象が大きく変わります。

帯揚げは、帯の上端からちらりと見える小物。このちらりと見せる部分が、実は大きな役割を果たしているのです。帯の結び方や帯揚げの色、柄の組み合わせによって、日常の着物から、特別な日の振袖まで、さまざまなシーンでのコーディネートを楽しむことができます。

帯揚げの結び方やコーディネートのコツを知ることは、着物をより深く楽しむための第一歩と言えるでしょう。この記事を通して紹介した結び方や小物の選び方を、ぜひ参考になさって、ご自分だけの着物スタイルを楽しんでくださいね。

着物に関する情報は尽きることがありません。これからも、最新のトピックや情報を共有していきたいと思います。今回の記事が、着物や帯揚げの魅力を感じるきっかけとなれば幸いです。

帯揚げの結び方を習得したい! いろいろなアレンジに挑戦したい! という方には、以下のサイトや動画もお役に立ちますよ。

〈参考記事〉
https://kitsuke-school.jp/basic/45/
https://kimono-story.com/259.html
https://www.youtube.com/watch?v=nF2rzcG6pIg
https://www.youtube.com/watch?v=KyE3Z-STbcA

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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