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【着物のプロが監修】着物の衿芯とは? | 襟を美しく整える秘訣

はじめに

日本の文化といえば、何を思い浮かべますか? お寿司や桜、そして「着物」。着物は日本の代表的なアイテムで、女性の美しい姿を際立たせる存在です。では、その美しく、華やかな着物を引き立てるための小物やポイントについて、あなたはどれだけ知っていますか? この記事では、着物の小物の中でも特に重要な役割を果たす「衿」と、その「衿芯」について詳しく紹介していきます。

着物の衿芯とは?

着物の「衿芯」とは、長襦袢の衿に差し込んで、衿の形を整える小物です。「衿」とは、着物や浴衣、長襦袢などの上部分で、首元を囲む部分を指します。衿元は着物姿の要、美しさの命です。衿がきれいに整っているかどうかで、全体の印象が大きく変わります。

さて、衿がきれいに見える秘訣は何でしょうか。それは「衿芯」です。衿芯とは、衿の中に入れる芯のことを指し、この芯の存在によって衿がしっかりとした形を保ち、美しいラインが作られるのです。

留袖や訪問着など、格式のある着物を着る際には、衿芯の有無がその美しさを大きく左右します。衿芯を使用すると、衣紋が抜けやすくなり、着付けに自信が持てるようになるでしょう。衣紋抜きとは首の後ろの部分に、美しいカーブをつけ、空間を空ける着付けテクニックです。衣紋の抜け方は多過ぎても、少な過ぎてもいけません。成人女性の着物は、拳一つ分だけ衣紋を抜くのが正解です。品良く、大人っぽく衣紋を抜くために衿芯が必要となります。

アンティークきものレンタル ゆめや は、大正時代から昭和初期にかけての着物をメインに取り扱うレンタルショップです。衿芯をしっかりと入れた、ゆめやの着付けを見てみましょう。左端「松竹梅に舞鶴遊亀紋様刺繍の打掛一式」、中央「フランボワーズと薄藍に檜扇の振袖」、右端「青磁色グラデーション辻が花の訪問着」です。首の後ろに拳一つ分の空間を空けて、着物の衿になります。

本記事の目的と対象読者

この記事では、着物の衿やその芯についての基本的な情報を紹介します。特に、着物にまだ不慣れな方や、これから着物を楽しむ女性に向けて、衿とその芯の役割や選び方、利用方法などを分かりやすく解説していきます。

また、実際にどのような衿芯があるのか、どのタイプの衿芯がどのような着物やシーンに合うのか、さらにはおすすめの商品やブランド、購入時のポイントなど、衿芯に関する情報を一覧で紹介します。この情報をもとに、あなたも美しい着姿を楽しんでいただければ嬉しいです。

これからの内容を通して、着物をより深く、そして美しく楽しむヒントを提供できればと思います。どうぞ最後までお付き合いください。

着物と衿芯の基本知識

着物の役割と美しい姿

着物の独特の姿と色彩は、日本の文化として多くの人々に知られ、親しまれています。この着物というアイテムは、日本の歴史や生活の中で長い間、女性たちの美しさを引き立ててきました。

初めて着物を見たとき、その美しさや独特の柄、そして何よりもその着付けの技術に驚くことでしょう。振袖や留袖、訪問着など、さまざまな種類の着物があり、それぞれのシーンや年齢に合わせて選ぶことができます。特に、成人式や卒業式などの特別な日に、きれいな着物を身にまとうと、その美しさが際立ちます。

ですが、着物の美しさは、ただ外見だけでなく、その着る姿勢や歩き方、立ち振る舞いにも現れるものです。日本の伝統的な美意識、すなわち「和」の心が込められているからこそ、着物を着ると、女性の姿がより一層美しく、格調高く見えるのでしょう。

また、着物に関連する小物やアイテムも欠かせません。帯や草履、バッグなど、これらの和装小物もまた、着物の美しさを引き立てる役割を果たしています。これらのアイテムを適切に選ぶと、さらに上品で美しい着物の姿を楽しむことができます。

また、京都の老舗ブランドからの着物や、新着の商品など、さまざまな選択肢があります。無料での問い合わせや注文、そして便利な配送サービスを利用すると、気軽に着物を楽しめるでしょう。

衿芯の役割とその重要性

着物を着る際に、忘れてはならないのが「衿芯」です。着物に馴染みがない人は「衿芯? そんなの見たことない」と思われるでしょう。衿芯は、外側からは全く見えない着付け小物なのです。衿芯は長襦袢の半衿部分に入れる細長い芯で、これがあると、衿がきれいに整い、美しい着物の姿を保つことができます。

着物の衿には種類があります。一つは着物の首から後部分にかけて縫いつけた本衿(ほんえり)、二つ目は掛衿(かけえり)もしくは共衿(ともえり)といい、本衿の上に重ねた布です。長襦袢の衿には、汚れがついたときに取り替えられるよう、着脱が可能な半衿をつけます。半衿は白が基本ですが、お洒落感覚を発揮した柄半衿、刺繡半衿なども人気です。衿芯は、半衿の中に差し込んで使います。

衿芯は、外から見えない着付け小物ですが、その役割はたいへん大きいです。縁の下の力持ち的存在ですね。衿芯を適切に利用すると、長襦袢の衿がしっかりと立ち上がり、顔まわりをきれいに見せられるでしょう。長襦袢の半衿に衿芯が入っていれば、上から着る着物の衿は半衿にあわせて重ねるだけで、美しい衿元が完成します。

衿芯にはさまざまなタイプやサイズがあります。夏用の薄手のものや、冬用の厚手のもの、さらにはメッシュタイプのものなど、季節や着物の種類に合わせて選ぶことができます。差し込まない縫いつけタイプの衿芯もありますが、多少の裁縫技術が必要です。素材はナイロンやポリエチレンが多く、長さは80センチ前後のものが多く見られます。中央が少々細くなっているものが初級者には扱いやすいでしょう。

衿芯は繰り返し使用できるアイテムですが、その保管方法も重要です。長タンスに伸ばして保管する、巻いてクリップで留めるなどして、型崩れしないよう注意してください。

ここまで、着物と衿芯の基本知識についてご紹介しました。着物をより美しく、そして長く楽しむためには、このような基本的な知識がとても大切です。美しさを追求する女性たちのための、心地よい着物の時間を楽しんでくださいね。

どの衿芯が自分の着物にピッタリ?

衿芯を選ぶ際のポイントは、まず自分がどんなシーンでどのような着物を着るか、ということを明確にすることです。たとえば、成人式や結婚式などの華やかな場で振袖や留袖を着るなら、しっかりとした硬めの衿芯がおすすめです。これにより、格式のある場での着物の美しさを最大限に引き出すことができます。

夏のお祭りや花火大会で浴衣を着る際には、涼しくて通気性の良いメッシュタイプの衿芯を選ぶと良いでしょう。このタイプの衿芯は、汗をかいてもサラッとした着心地を保ってくれます。基本的に浴衣の場合は、長襦袢は着ないので、衿芯は浴衣の共衿に差し込んでください。

ゆめやでは、着付けに必要な小物一式がレンタルでき、衿芯も欠かさずセットしています。着物と帯に小物一式が、全て揃ってレンタルできるのでとても便利です。

衿芯を選ぶ際には、着るシーンや気温、着物の種類だけでなく、自分の好みや体型も考慮すると良いでしょう。衿の形や厚み、柔らかさなど、自分に合ったものを見つけると、着物をより楽しく、より美しく着られるようになります。

ここまで、衿芯のタイプとその選び方についてのガイドでした。着物を美しく着るためには、小物やアクセサリーも欠かせない要素となっています。ご自分のスタイルに合わせて、最適なものを探して、日本の伝統的なファッションを楽しんでください。

初心者向け:衿芯の取り扱い方

正しい半衿の縫い方と衿芯の差し込み方

着物を美しく着るためには、細かい部分に気を配ることが大切です。その中でも、衿の形が全体の着姿を大きく左右します。そこで登場するのが、半衿と衿芯。正しい縫い方と差し込み方を学ぶと、きれいな衿のラインが完成します。

長襦袢を購入すると、衿に半衿がついていないことがほとんどです。基本的に半衿は着物を着る人が、着けたい半衿を選び、長襦袢に縫いつけます。

半衿は縫い代を1cmほど取り、アイロンでくせをつけておきましょう。半衿を2つに折り、中心を長襦袢の背中心にあてます。衿の形に合わせ、背中心、左右の衿肩あきを待ち針で留めてください。衿肩あき→背中心→衿肩あきとまつり縫いにします。次に、全体に待ち針を打ち、表裏をざくざく縫いましょう。両端は縫わずに開けておきます。この開けておいた部分に衿芯を差し込むのです。半衿の裏表どちらでも構いません。

入れ方は新幹線のように。衿芯は両端が新幹線のような細い楕円形になっています。新幹線が進むように、衿芯を差し込んでいきましょう。全部差し込めばきれいな衿の形が完成です。

衿芯は差し込み型の他に、縫い付け型のものもあります。三河芯といって固く厚い木綿生地を直接長襦袢に縫い付けたり、半衿に縫い付けたりします。ですが、三河芯は固く縫いにくいため、初心者の方にはおすすめできません。「半衿の縫い付けに自信が無い!」「時間も無い!」「何より面倒くさい!」という人は、着物用の両面テープが市販されているので、こちらを使えば、きれいに、迅速に、手軽に半衿が着けられますよ。

以上の方法で、誰でもきれいな衿のラインが作れるはず。ゆめやの商品や情報を活用しながら、一歩ずつ進めてみてくださいね。

衿芯の代用品

着物を長く美しく着るためには、小物やアイテムをきちんと揃えておく必要があります。ですが、いざ、着物を着ようと思ったら、衿芯が無い! そんな事態に見舞われた経験はありませんか? 特に、外出先で衿芯を忘れたことに気付いたら、どうしたらよいのでしょう? 安心してください。衿芯は身の回りにある物で代用できます。

代用品としてよく使われるのが、厚紙です。厚紙を太さ4cm、長さ80~90cmに切りましょう。長さが足りなければセロハンテープなどで2本を接着してください。また、クリアファイルを切って代用すると、柔らかめではありますが、きれいな衿元を描く衿芯になるでしょう。

まとめ

衿芯選びのポイント再確認

着物を着る際の小物として、衿芯は欠かせないアイテムです。この衿芯選びで、着物の着姿が大きく左右されるのは、多くの方がご存じないかもしれません。そこで、再度、衿芯選びのポイントを振り返ってみましょう。

衿芯は、自分の着物や襦袢のサイズと合わせて選びましょう。次に、季節やシーンに合わせて、夏用のメッシュタイプや、特定の式典での利用を考慮したものを選ぶことも大切です。

衿芯は半衿に差し込んで使います。きちんと入れると衿元がきれいに整えられ、適切に衣紋が抜けるのです。衿芯を使って衿元を整え、美しく大人っぽい着姿を目指してください。

着物をより美しく見せるための最後のアドバイス

着物は、日本女性の美しさを一層引き立てる素晴らしいアイテムです。その美しさを最大限に引き出すためには、小物選びも欠かせません。衿芯はその中でも特に大切なものですが、それ以外にも気を付けたいポイントがあります。

まず、着物や襦袢を保管する方法。きれいな着姿を保つためには、日常的なケアが必要です。衿や袖、背中など、汗をかきやすい部分は特に注意して、しっかりと乾燥させた後に保管しましょう。半衿はこまめに取り替えます。

また、和装小物の中でも、帯や足袋、草履なども、着物の全体の印象を大きく左右します。特に帯は、着物の主要なポイントとも言える部分。結び方や色、柄を楽しむことで、一つの着物でもさまざまな表情を見せることができます。

最後に、着物を着る際の小物やアイテム選びで迷ったら、専門家や購入した店舗への問い合わせも忘れずに。着物を美しく着るためのポイントは、決して難しくありません。少しの気配りと、適切な小物選びで、誰もが美しい着姿を楽しむことができます。日常の中で、着物を楽しむ瞬間を増やして、日本の伝統的な美しさを感じてくださいね。

衿芯を上手に入れて、衿元美人を目指しましょう。

左端「松竹梅に舞鶴遊亀紋様刺繍の打掛一式」 竹取物語を思わせるアンティーク打掛です。表は、ピンクの梅、緑や黄緑の竹の葉が初々しく彩っています。後ろに回ると、亀・松・竹が黄金色に輝き、その上には大きな鶴が羽ばたいています。すべてが手刺繍された、新しい人生への出発に相応しい、豪華な打掛です。

中央「フランボワーズと薄藍に檜扇の振袖」 肩は濃いピンク、裾はブルーという、暖色と寒色に染め分けられた錦紗縮緬に、檜扇・牡丹・菊などが、手刺繍や手描きで描き出された、大正時代のアンティーク色振袖です。振袖だからこそ許される、大胆な色使いです。

右端「青磁色グラデーション辻が花の訪問着」 久保田一竹作、辻が花の訪問着です。金糸が織り込まれた白生地に、絞っては染め、絞っては染めの、手間の掛かる手仕事が繰り返され、朝もやのようにすがすがしいグラデーションになりました。肩や裾に、さりげなく小花が浮かび上がっています。

〈参考記事〉
https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/eri/
http://www.so-bien.com/kimono/brand/sankawasin.html
https://ccep.jp/entrytype-erishin
https://www.youtube.com/watch?v=bBg1e-eUswA

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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