紅藤色と瑠璃色グラデーションの辻が花の訪問着【hou04】

【着物のプロが監修】結婚式用訪問着のレンタルの完全マニュアル!

はじめに

結婚式という一生に一度の大切な日に、訪問着を選ぶことは、特別な瞬間をさらに彩る素晴らしい選択です。訪問着は、結婚式などのフォーマルな場にふさわしい、上品で格式高い着物の一種です。しかし、多くの方が着物や和装について詳しくないため、レンタルする際に何を基準に選べば良いのか、どのような準備が必要なのか、不安に感じることも少なくありません。

この記事では、結婚式で訪問着をレンタルする際のポイントを、初めての方でも分かりやすく解説します。レンタルの流れ、選び方の基準、注意点、豊富な種類の中から自分に合った訪問着を見つけるためのヒントをご紹介します。特別な日にふさわしい一着を見つけるお手伝いができれば幸いです。

結婚式での着物レンタルの基礎知識

結婚式に参列するにあたり、和装を考えている方にとって、着物レンタルの基礎知識は必須です。ここでは、訪問着の基本からレンタルの流れまで、結婚式にふさわしい訪問着を選ぶためのポイントを詳しく解説します。

訪問着とは?結婚式での役割と意味

訪問着は、フォーマルな場にふさわしい着物の一種で、準礼装として結婚式や披露宴などのお祝いの席に着用されます。特に、結婚式では、親族やゲストが着用することで、その場の格式を高める役割を担っています。訪問着は、上半身と下半身に縫い目を跨いで豊富な色彩で描かれる繊細な絵羽柄が特徴で、着る人の年齢や季節に合わせて選ばれます。

例えば、年齢で言えば若い頃は明るめの着物を選び、年齢を重ねる毎に色のトーンを落としていくようにします。

季節に関しては、季節に適した織り方の着物を着用します。春、秋、冬は袷(あわせ)と呼ばれる裏地付きの着物を着用し、夏場は絽(ろ)や紗(しゃ)といった薄物を着用します。

このような配慮が新郎新婦への心遣いであり、お祝いの現れでもあります。

レンタル選びの第一歩:サイズと色の基本

着物レンタルを選ぶ際の最初のステップは、自分に合ったサイズと色を選ぶことです。サイズ選びでは、身長や体型に合わせて適切な訪問着を選ぶことが重要です。レンタル店では、様々なサイズの訪問着が用意されており、試着をすることで最適な一着を見つけることができます。

色選びでは、前述の他に結婚式の場や自分の役割に合わせて、適切な色味を選ぶことが大切です。例えば、春の結婚式には桜や淡いピンク色の訪問着が、秋の結婚式には落ち着いた紅葉の色をイメージした訪問着が適しています。また、結婚式の場の雰囲気や自分の好みに合わせて、小物の色や柄も考慮すると、より一層の印象を深めることができます。

紅藤色と瑠璃色グラデーションの辻が花の訪問着【hou04】
幻の染物として人気の高い「辻が花」染めの訪問着と帯です。紅藤色から瑠璃色へのぼかしが施され、描かれているのは、牡丹、桔梗、菊、桜、藤、紅葉でしょうか。デフォルメされているので花々の種類は定かではありませんが、春にも秋にもお召しいただける訪問着です。帯はブルーとグレーの2本の「辻が花」染めをご用意しています。

着物レンタルの流れと予約のポイント

着物レンタルの流れを理解し、事前に予約のポイントを押さえておくことは、スムーズに理想の訪問着を見つける上で重要です。ここでは、レンタルの手順と予約時に注意すべきポイントを詳しく解説します。

スムーズなレンタルのための予約方法

訪問着のレンタルを検討する際、まずは希望する日にちで利用可能な訪問着があるかどうかを確認することが重要です。予約は、特に結婚式のシーズンや週末になると混み合うため、可能な限り早めに行うことをお勧めします。予約方法は、店舗によって異なりますが、多くの場合、電話やオンラインでの予約が可能です。

予約時には、以下の情報を準備しておくとスムーズです。

  • 使用する日にちと時間帯
  • 希望する訪問着の種類や色、サイズ
  • その他、特別な要望

また、予約時にはキャンセルポリシーを確認しておくことも忘れずに。万が一の事態に備え、キャンセル料が発生する期間や条件を把握しておくと安心です。

下見と試着の重要性:何をチェックすべきか

訪問着をレンタルする前には、必ず下見と試着を行うことをお勧めします。下見では、実際にレンタルを検討している訪問着の質感や色、柄を確認できます。また、試着をすることで、サイズが自分の体型に合っているか、動きやすいかなどをチェックできます。

試着時に注意すべきポイントは以下の通りです。

  • 訪問着のサイズ感:特に身長や体型に合っているか
  • 色や柄が自分の肌色や好みに合っているか
  • 着用時の快適さ:動きやすさや着心地

年代別おすすめの訪問着スタイル

前述の通り、自分に合った訪問着を選ぶことが重要です。ここでは、20代〜30代と40代〜50代の女性に向けた訪問着の選び方をご紹介します。年代ごとの特徴を踏まえた上で、結婚式に相応しい訪問着をレンタルする際のポイントを解説します。

20代〜30代のためのフレッシュな選び方

20代から30代の場合は、若さを大切にします。明度、彩度の高い色柄の訪問着は、その年齢が持つフレッシュさを強調してくれます。レンタルする際には、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 親族として参列:着物の格は紋の有無と数によっても変わってきます。式の主催者側に近い立場である親族の場合、基本的に紋付が適切です。紋の数は1つ、3つ、5つとあり、数が多いほど格が高くなると言われ、訪問着は三つ紋まで付けられます。近親者であれば三つ紋、遠い親戚の場合は一つ紋で良いと思います。
  • ゲストとして参列:ゲストとしてお呼ばれの場合は、上記のことからも紋無しが最適です。ちなみに柄にも格があり、モダン柄よりも日本の伝統的な古典柄の方が格上とされます。格式のある式場の場合は、雰囲気によって古典柄を選ぶのが吉です。また、花嫁も和装をする場合は色柄が被らないように事前に確認を入れておくこともマナーです。

40代〜50代におすすめの上品で落ち着いたスタイル

40代から50代の女性には、品格のあるコーディネートが求められます。しかし、立場も難しくなるもので、より周囲への気遣いが大切です。レンタルする際のポイントは以下の通りです。

  • 親族として参列:既婚の近親者の場合は、黒留袖が多くなります。周囲との関係性によってはそれに準ずる品格の着物が求められます。新郎新婦の母、祖母が黒留袖の場合に、近親者でありながら一歩引いた装いをするのであれば、三つ紋訪問着は最適です。前述のように、柄によっても格が上がる他、金や銀の多さも高さに影響を与えます。これは、袋帯にも当てはまります。また、帯も20代であれば変わり結びなども良いですが、二重太鼓の方が正式であり、大人の品があります。
  • ゲストとして参列:この年代に共通していることですが、20代、30代との違いは一番は色選びです。同じピンクでも、明度、彩度を落とすことで落ち着いた印象を表現します。ただ、あまりに年齢よりも落ち着いた着物は老け見えに繋がります。とても難しいですが、少しだけ若い印象にするのがコツです。

年代に応じた訪問着の選び方を理解し、結婚式での装いに彩りを加えましょう。

季節ごとの訪問着選びと人気の柄

結婚式における訪問着の選びに季節感を取り入れることで、その時期ならではの美しさを表現することができます。ここでは、春夏秋冬の季節ごとに適した訪問着の選び方についてご紹介します。

春夏秋冬:季節感を表現する訪問着の選び方

春には、桜や梅の花など、花をモチーフにした明るく華やかな色の訪問着がおすすめです。桜の花言葉は純潔や優美といった意味合いなので、結婚式にもよさそうなものです。しかし、桜が全面の図柄というのはいただけません。桜の花は散るのが早いので、嫌う方は嫌うからです。そうは言っても、近年はそこまでマナーにもうるさくありません。ですが、気を使って損はないのも事実で、桜で言えば意匠化されたデザインを選ぶか、メインのデザインを他の花にするなど調整するのが無難です。いずれにせよ、ピンクや淡い黄色など、春の訪れを感じさせる色合いを選ぶと、季節感がより一層際立ちます。

夏は、涼しげな印象の薄物の訪問着を選びましょう。青や水色、淡い緑などの清涼感のある色や、絽(ろ)や紗(しゃ)などの透け感のある生地が適しています。柄は夏の自然を象徴するような、流水や竹、朝顔などの柄が人気です。

秋には、落ち着いた色合いの訪問着がふさわしいです。紅葉や菊、稲穂など、秋の収穫や自然の変化を表す柄が選ばれます。色は、オレンジや深緑、茶色など、秋の深まりを感じさせるものが好まれます。

冬は、冬の静けさや凛とした空気感を表現する訪問着を。白やグレー、深い青などの色が適しており、雪の結晶や松、南天など、冬を感じさせる柄が人気です。もちろん、こういった季節の雰囲気は帯でも表現できます。帯や小物も含めたトータルのコーディネートを意識しましょう。

季節を彩る訪問着とは

季節に合った訪問着と言われると、季節に合っていないと着てはいけないように感じますが、特にそういったことはありません。例えば、古典柄の一つである四君子柄は、蘭、竹、菊、梅の4種の草花が描かれています。君子のような気品のある柄として好まれるこの柄ですが、季語としてそれぞれを見ると、蘭は夏の季語ですし、竹は秋であったり、春であったり、夏であったり判然としません。菊も一般的には秋ですが、年中用いていいと言われます。このように、完全にその季節の風景を描いた柄でない限りはそこまで気にすることではないと言えます。

そもそも、多くの着物が複数の季節を跨いだような柄付けがされています。また、実際は少し季節を先取りした柄選びの方が、粋であると言えます。このように、無闇矢鱈に季節に囚われるのではなく、純粋に祝いの雰囲気を意識した柄選びで良いと言えます。

白地に赤で花々がデザインされた総絞り訪問着【hou178】
白い正絹地に赤で絵柄がほどこされた、総絞りのアンティーク訪問着です。手絞りの温かみに満ちた作品に仕上がっています。帯は龍村美術の織物を合わせました。どっしりとした金色に、カラフルな絵柄が織り込んであります。

着物レンタルでの注意点とよくある質問

結婚式で訪問着をレンタルする際には、美しい和装を楽しむための準備として、いくつかの注意点があります。また、レンタルならではのサービスを知っておくことで、よりスムーズに、そして安心して訪問着を選ぶことができるでしょう。ここでは、レンタル時の落とし穴を避けるためのポイントと、サービスをご紹介します。

レンタル時の注意点:避けるべき落とし穴

着物レンタルを検討する際、以下の点に注意してください。

  • レンタル期間と料金:レンタル期間や返却日、追加料金が発生する条件など、契約内容をしっかりと確認しましょう。特に、結婚式の日程が近い場合は、余裕を持ったスケジュールで予約することが重要です。
  • セット内容の確認:訪問着だけでなく、帯、草履、バッグなどの小物もセットに含まれているかを確認します。また、着付けに必要な小物が全て揃っているかも重要なポイントです。
  • キャンセルポリシー:万が一のキャンセルに備え、キャンセルポリシーを確認しておきましょう。キャンセル料が発生する場合もあるため、事前に知っておくことが大切です。
  • クリーニングと保険:レンタルした訪問着のクリーニング費用が含まれているか、また、汚損や破損時の保険があるかも確認しておくと安心です。

レンタルによくあるサービス

着物レンタルで多くみられるのが、着付けサービスです。着物に着慣れない方は着付けに苦労すると思います。ぶっつけ本番の着付けでは恐らく、上手には着られないでしょう。しかし、通常着付けを着付け師に依頼をしたら5千円から2万円位とかなりの出費です。ですが、レンタルの場合は多くの場合でプロの着付けがサービスでついています。

また、ヘアメイクのサービスもついている場合があります。美容室だと、着付けとセットで3万円みたいな金額設定はよくあるので、如何にお得であるかが分かります。

他には、クリーニング代のサービスです。着物のクリーニングも同様に数万円単位が一般のところ、多くはクリーニング無しで返却が出来ます。

もちろん、追加オプションという形でつく場合もありますが、それでも、それぞれで依頼するよりもかなり良心的な価格で提供してくれます。こういった、オプションもレンタル店選びの参考にしましょう。

まとめ

結婚式という一生に一度の大切な日に、訪問着を選ぶことは、多くの女性にとって特別な意味を持ちます。色や柄、季節感を考慮しながら、自分に合った訪問着を選ぶことで、その日の主役である新郎新婦を美しく引き立てることができます。また、レンタルサービスを利用することで、高価な訪問着を手軽に着用することが可能になり、特別な日をさらに華やかに彩ることができます。

最後に、着物レンタルを検討する際は、事前の下見や予約、そして試着を忘れずに行うことが重要です。また、レンタル店選びにおいては、品揃えの豊富さやサービスの質、クリーニングや保管状態などもチェックポイントです。結婚式の和装を通じて、日本の美しい文化と伝統を次世代に伝えていくことができるよう、心を込めて準備を進めましょう。

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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