ゆめやの成人式:幻の染物、幻の辻が花とは?〜辻が花の振袖をレンタルしよう〜
「良い着物」「絵柄がすばらしい」と軽くご説明したところで、本題の「幻の辻が花」と呼ばれる不思議についてじっくりとお話しいたしましょう。
もともとの「辻が花」とは、室町時代から江戸時代のほんの初めころまで行われていた、染めの技法です。
中国大陸から渡ってきた刺繍製品に日本人が惚れ込んで、まずは手刺繍が始まりました。その後、金箔が始まり、刺繍と金箔を組み合わせた縫箔が生まれます。染をほどこさない部分を残す防染の技法が生まれたのはこの後です。縫い締め絞り・竹皮絞り・桶絞りなどの高度な防染の技法が生み出されました。
色が入る部分と、色が入らない部分の構成で図柄を描き出し、そこに描絵、刺繍、摺箔(すりはく=金箔と接着剤で衣類を装飾する技法)などを重ねて、後年「辻が花」と呼ばれることとなる染物の技法が誕生しました。
ですが、江戸時代の中頃になると、糸や竹皮で防染するのではなく、糊で防染するという、友禅の技法が普及し、辻が花は急速に廃れて消滅したのだそうです。
手刺繍に始まり、絞り染めに加飾して流れるような絵柄を描き出した、辻が花の染色技術は、わずか100年ほどで姿を消してしまいました。現在残っているのは300点に満たないそうで、「幻の染物」と呼ばれ、博物館や美術館に展示されています。もしもこの時代の「辻が花」が手に入ったら、額に入れて飾っておきたいですね。
いったんは消えてしまった「辻が花」。
これを復刻しようと試みたのが、「久保田一竹」です。
著者情報
執筆者 ゆめや通信編集部
この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
監修者 田村芳子
「アンティークきものレンタルゆめや」店主
着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。
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